烏合庵奇譚

Welcome to Raven's roost
渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

“柳前(ヤナギノマイ)”を餡掛でいただく

2010-09-02 22:19:23 | 烏合庵の食卓
先週末,例によって休日のスーパー.鮮魚コーナーの一角に据えられた発泡のトロ箱.青い秋刀魚の隣には赤いコイツ,柳前.小樽産とのこと.少々小振りだが一匹付けには丁度良い.1尾¥100-は御の字.人数分を掴む.


鮮度の良い大振りのものなら刺身,一匹付けサイズならば煮付けや塩焼きが定番の魚だが,空揚げもなかなか捨てがたい.下拵えしてつれあいに託し,餡掛に仕立ててもらう事にしよう.


鱗を引き,わたと鰓を抜いて洗い,水気を切ったら背骨に沿って両側の身頃中ほどまで切込みを入れておくと火が通りやすくなる.ごく軽く塩をして水切りバットに並べ,冷蔵庫に休めておく.


一寸野暮用足しに出て,戻ればつれあい,仕立てのまっ最中.水気を拭取って片栗粉(馬鈴薯澱粉)を塗し,中温の油,お玉で廻し掛けつつじっくりと.
千切り野菜(玉葱・人参・青椒)を炒めて市販の麺つゆを薄めて加え,片栗粉でとろみを付けた餡を掛ければ出来上がり.熱々を,いただきます!


メバルやソイの仲間としてはやや身の柔らかめな魚だが,ほろほろとした白身の軽やかな甘さは捨てがたい.甘辛・和風味の餡との相性も良い.あるいは揚げたてをシンプルに,花椒塩とレモンで頂くのも良いかも.少々の難は,骨が硬いので中骨ごと齧れるようには揚げづらい(身に火が入りすぎる)ことと小骨が少し煩い事か.
ともあれ美味しく,いただきました.今度見掛けたら,清蒸にでもトライしてみようかな.

補追:
ヤナギノマイは,通例“柳舞・柳之舞”と漢字書きするが,やなぎ(海底のウミシダやヤギ類のこと)の前に棲む(或は獲れる)魚を意するとの説を採って“柳前”とした.
ソイ類としては身が柔めと書いたが,尺近い型物の,未だ硬直が残るような鮮度のものは適度に身が締り,刺身魚としても申し分ない.
オレンジの皮目が美しく,皮際のゼラチン質(流行りに言えば‘コラーゲン’かな)に何とも言えぬ好い甘味があるので是非とも焼霜に造りたい.ただ,皮目の柔らかさとゼラチンのせいで,私の拙い切付けでは,大概,剥がれちゃうんだよなァ (^^;)ゞ
柵取りした後の粗は,勿論,潮か三平に仕立てる.ホント言うと,そっちを味わうために刺身を造ってたりして…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする