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烏合庵奇譚

Welcome to Raven's roost
渡烏の戯言など… お聞き流し下さい.

“きなんぼ(マンボウ)”を共ぬたで頂く

2011-10-13 22:49:49 | 烏合庵の食卓
職場で内業していると,ウチの連中と一緒に噴火湾方面に出張っていたSクンが意味有り気に目配せしながら現れた.
“raven さん.おみやげ,要る?” このヒトがこ~ゆ~言い方する時ァ大概,ミョーなモンなんで. “…何さ?”
“きなんぼ.食べる? 出先のスーパーで見掛けたんだけど,ウチだけじゃ多くってサ”,取出した白身のブロックと肝のセット.
おー!こりゃ若造の頃鞄持ちで出向いた大分の小料理屋(上司の奢り)以来四半世紀以上振り.有難や,是非頂きますともッ! つーワケで.
帰庵して“軽く霜振って,ぬたに造って”とつれあいに託し,風呂から上がればビアテイストの肴.飛切新鮮なら肝も生で食えるそうだが,今日は安全を採って確り湯掻き,酢味噌に摺込んでもらった.
(つれあい任せなので調理画像は無しネ ^^)ゞ


拵えた身と共酢味噌を卓上で和えて頂く.青味は小葱や若布を添えても好いと思うが,今日は有り物.長葱の青いトコを刻んで.
好いですね.歯触りは魚と言うより烏賊と鶏笹身を綯交ぜた印象.味いはあっさりした帆立,赤味の強い所(血合筋)は仄かに目地鮪の風味.霜降りの表面と内側のコントラストも狙い通り.休肝日とて芋焼酎で流せないのが恨めしい.
反省点は,初見(大分)の供し方に拘り肝を全部使った共酢味噌が余り気味だったこと.もっと平たく,肝はスライスして身に添え,普通の芥子酢味噌で頂いた方が持ち味を生かせたと思う.あと,身に酢味噌を和えるとどんどん水気が出て酢味噌がユルユルになってしまうので造り置きは無用.
道内でも太平洋や噴火湾では時折定置網に乗り,大概地元で消費されると聞くが,今度何処ぞで見掛けたら,是非とも(芋焼酎と一緒に)リベンジしたい素材ではある.
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2011初秋;初秋刀魚を塩焼きで頂く

2011-08-20 21:24:52 | 烏合庵の食卓
起きれば秋を感ずる高い空の週末ながら,恒例の買出しにImpを出せば一転.俄に掻曇った空から降注ぐ雹の20ミリ砲弾幕.何とか掻い潜り辿り着いたスーパー.
今年解禁以来,あまり“コレは!”と言う魚体を見掛けなかったが今日は漸く.1本100円,卸せば刺身でもイけそうだったが,初見はやっぱり.


背中の盛り上がり,イイでしょ?
サイドの皿は昨日のぷちツー;タンクバッグに納めた南小樽市場の惣菜(つくね串と串カツ;いかメンチは売切れorz)です.


ワタ際の脂乗りは申し分無し,自己消化は少なく肝も甘い.漁場が陸に近いのだろう,昨秋のスーパーでは終ぞ見掛けなかったコンディション.坊主に当った1尾はワタ(消化管)に残ったオキアミが鮮に紅かった.
産地(陸揚げ)表示は北海道なれど,みちのくの舟が一所懸命揚げてくれた分も相当在る筈.畢竟,有難し.
ぽん酢を垂らしたたっぷりの大根卸に混ぜ,身に纏わせて頬張れば,一足早い処暑の至福.


<平らげて骨美しき秋刀魚かな> 田中節夫
拙の喰いさしは全く然とは申し兼ねるが…
余さず頂きました.ご馳走様でした!
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挑戦! 煮干出汁で“冷たいラーメン”

2011-08-17 21:20:42 | 烏合庵の食卓
盆休暇の昼飯を思案,当然麺モノ.久々少し暑くなりそうだが…
近頃は札幌でも冷し中華ではない“冷たいラーメン”を供する店が増えてきたそうだが私は未食.然有れば仕立ててみましょうか, つ~ワケで…
(つれあいと二人分の大盛仕様;麺3玉想定デス ^^;)

先ずは出汁.昨夏ざるラーメンで味を占めた片口煮干と昆布を主体に,前夜の仕込み.
普段の蕎麦汁等に鰹節と併せる時には単に割くだけだが,今回はワタと鰓を除く.買置きの煮干には今回潤目が結構混じっていたのでそれも積極利用.


1リットル弱の水に割いた煮干(片口10尾・潤目5尾ほど)・昆布(5cm角5~6枚)・干椎茸(スライス;1個分ほど)を浸し冷蔵庫に一晩休ませる.


次にカエシ,こちらも前夜.醤油2・酒2・味醂1(計1カップ程)を合せ弱火でさっと煮立て,粗熱が取れたら昆布(5cm角1枚)を浸し,此方は常温で一晩.


矢張りラーメンだから,一寸油気は欲しい.サラダ油(大匙2程)に潰した大蒜(小1片)・長葱粗微塵(大匙1強)を加えて弱火でじっくり香り出し.焼き色が着きはじめる直前で火を止め,冷めたらこれも冷蔵庫に一晩.


さて,当日の用意はコチラ.つれあい作の鶏ハムと鶏酒蒸しの煮汁の残りが冷凍庫にあったのでしめしめと.麺は旭川風を選んでみた.


煮干の水出汁を弱火に掛け,くらっと沸き掛けたら火を止める.昆布(引揚げて細切り)と干椎茸をカエシの鍋に移す.


カエシを弱火に掛け,サッと沸かす.粗熱が取れたら出汁を漉してカエシと合せる.さらに酒蒸しの煮汁と仕込んでおいた油も漉して合せればスープは上がり.鍋ごと氷水の入ったボウルに浸して冷しておく.



麺の茹で時間;パッケージの指定は2分半~3分.冷たい仕立てなので最短より10秒ほど押してみた.上げたら2~3度,水(仕上げは氷水)で洗い〆.
スープを張った丼に麺を泳がせて,スープから上げた昆布と椎茸・山菜水煮・鶏ハムをトッピング.薬味の小葱を散らしたら,烏合庵流“冷たいラーメン”,上がりです!


美味いです! 強くてキレイな出汁が採れました.具材のハムも手伝って,ほんのり鶏のアクセントがイイ感じ.麺との相性も悪くない(本当はもう少し加水率の低いストレート系の麺を使ってみたい).胡椒よりも七味との相性が佳いかと…(‘丸ッきり山菜そばじゃん!’とのツッコミは,御尤デス ^^;)ゞ  油は作った全量を使ったが,(冷製には)もう少し控えめでも良かったかな.

ひとつ,出来ました! 酒蒸し自体を具材にすれば手数も絞れるし,温かいのもこのテの出汁でイけそうです(煮豚作って煮汁をタレに使っても好イかも). 拙庵定番化,成るか?
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“はちがら”を煮付けで頂く

2011-04-17 23:27:00 | 烏合庵の食卓
例に拠っての休日スーパー.
入荷が有りさえすれば是非にと求めたい陸奥(みちのく)の浜の恵みは,事象後一月を過ぎて(鮮魚としては)未だ届かず.沖に出ることも儘為らぬ漁師の無念を,今更に想う.
代りに札幌のスーパーでは終ぞ見掛けたことの無い道南/函館産のコイツを,有難く求める.


和名“ムラソイ(斑曹以)”.北海道での地方名は体色の変異の多さに因む“八柄”が由来とか.主に体色に因って4亜種に分けられているが,山吹色の斑紋が鮮やかなコイツは“オウゴンムラソイ(黄金斑曹以)”にあたると思う.


大きさ(尺を越えれば大物)の割に引きが強く,道南では磯の夜釣の好対象として夙に人気も高いが,市場には余り出回る魚ではない.
今日の入荷は大きさにより3~6尾のパック,600円前後.気分で煮付け用に大きめの3尾パックをチョイス.開けてみれば活〆こそ施してはいないが硬直が解れ始めたばかり,そのまま切り付けての刺身にはまだ早いほどの鮮度.早速仕込み.


鱗を落して腹を割きワタと鰓を外したら,背骨の下身側(盛付けて下になるほう)に沿って隠し包丁を入れておく.
身厚の煮魚の場合,味の廻りが良いようにと身頃に×(バッテン)の切込みを入れるレシピも多いが,背骨に沿ったほうが味も廻るし身崩れも少ないように思う.


あとは何時もの如く.
昆布を浸しておいた鍋に はちがらを並べ酒(水と等量)を振込みほんの少しの薄切生姜を散らして弱火に掛ける.
くらっと沸いたら煮汁の味をみて(大事なことなので,何度でも言いますよ),味醂と醤油で薄めに塩梅.
再び沸きかけたらキッチンペーパーの落し蓋をして,ペーパーの上から煮汁を廻し掛けながら10分程くらくら炊いて火を止め休ませる.

食べ際に弱火で温めて皿に盛り,片栗粉(馬鈴薯澱粉)で緩いとろみを付けた煮汁をたっぷりと掛けて供する.彩には冷凍市販の鞘隠元を煮汁(とろみを付ける前)でさっと煮付けて添えてみた.
“はちがらの煮付け”,早速いただきます!


うん,なまらイイ感じです.
きしゅきしゅと歯の上で軋むほどの身締り.加えて磯臭さが微塵も感じられない白身の仄かな甘さとむちむちした皮目の脂の旨味はソイ類のなかでも群を抜き,“北の鯛;ソイ”の名に些も恥じない.
で,有ればこそ.煮立てた濃い煮汁にどっぷりと浸し,ものの2~3分で仕上げてみたい欲求に駆られるが,それは煮汁を使い廻せるプロだけに許される手法だわな.残った煮汁の美味さは保証するから,誰か試してみてくれないかなァ?

今度良さゲな型モノが手に入ったら,是非とも紙〆の焼切りに造ってみたいなァ! 勿論,粗は潮でネ (o^ ')b
今日も有難く,存分に いただきました!
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かすべの燻魚風

2011-04-03 23:28:44 | 烏合庵の食卓
前の記事でも触れたが,小欄で検索からの閲覧が多い記事が“かすべのぬた”である.
駿河出自の私がかすべを食べたのは此方に来てから(初見は煮付け)だが,今では好物のひとつ.定番はやっぱり煮付け,気分で唐揚げ(北海道流に言えばザンギ)だが,今回はチト新作を.

仕入れはコチラ,“水かすべ(ドブカスベ←何とも可哀相な和名だ)”.
確かに真かすべ(メガネカスベ)と食べ較べれば筋繊維がやや粗いし水気も幾分多めだが,供給量は多いようだし何より安い(真かすべの半値ほど).喰わないテは無いでしょう!


で,“燻魚(シュンユイ:xun yu)”.大元は字義どおり魚の燻製だが,宛も燻製したように仕上げる揚げ物(くすべ揚げ)の手法.ただ,これをやると揚げ油が滅法傷んでしまうので使い回しの油が無い今回は変則法.


先ずは下拵え.かすべはざっと洗って水気を切り,酒2:醤油1,味醂(または砂糖)少々と微塵の長葱・生姜を併せた漬け汁に2時間ほど漬け込んでおく.


で,変則の仕立て.かすべの漬け汁を切ったら(漬け汁はタレ用に残しておく)片栗粉(馬鈴薯澱粉)を叩きサラダオイルを引いたフライパンを暖め中火で焼き付ける.確りと,“一寸,過ぎたかな?”,ムニエルで食べるには躊躇する焼き目が付くくらい.下地の醤油(と酒や味醂の糖分)が焦げて燻製紛いの香りが漂えば頃合だ.供する器に上げておく.


たれはササっと.かすべを焼いた鍋を強火に掛けて少々の胡麻油を垂らし,かすべの漬け汁を回し入れて煮立てる.半量ほどに詰まったら弱火に落し,鍋縁のこびり付きを汁に確りこそげ戻して水溶き片栗粉でまとめ,取り置いたかすべに掛ける.
白髪の葱をたっぷり天盛りして,“かすべの燻魚風”,出来上り!


うん,美味しい.たっぷりの油で狸色に揚げるのがベストだけど,これはこれ.惣菜には十分美味いです.
出来れば,皮付きの真かすべ(真かすべの真価はやはり皮付きと思う)でやってみたいなァ.
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日高の“鮫鰈(サメガレイ)を尽くす

2011-03-21 14:35:43 | 烏合庵の食卓
休日恒例のスーパー買出し.鮮魚のショウケースに日高よりの異彩.かちっと活〆,刺身用.札幌で,丸のまんまは,初めてだ.


並んだ3尾のうちで最も小振りを求めたが,それでも全長40cm・体重は約1.1kg.


有眼側には卸金のようなざらざらの鱗.


無眼側は白っぽい個体もあるようだが,今回のものは全面暗紫褐色.大きさや棲み場などにも因るのかも知れない.鱗は無く,皮はだぶつき滑りが強い.
刺身主体のつもりなので,先ずは皮剥き.兜とワタ,周りの鰭を落とし,軍手を穿いてベリベリと力ワザ.


剥き上がれば裏腹,艶やかな白身が顔を出す(画像は無眼側です).釧路;和商市場などではこの姿で“むきかれい”として店頭に並べられている.


後は普通に五枚に卸し柵取りしたら,中落ちと兜は粗炊きに.


兜はサッと熱湯に潜らせ霜振り,冷水に取ってヌメを落す.中落ちは霜を振らなくても大丈夫.


水を張り昆布を敷いた鍋に兜と中落ちを並べて酒を振り入れ,薄切りの生姜を散らして中火に掛ける.
ふつと煮立てば弱火に落とし,さっとアク引き.煮汁を味見,味醂と醤油で塩梅.キッチンペーパーで落し蓋してくつくつ20分ほど炊いたら火を止める.

肝は肝醤油用に.さすがに生では,の状態だったので,酒で炒り付けながら潰し,粗熱が取れたらごく少量の醤油を合せておく.


粗炊きを温め刺身を引いて,鮫鰈の夕餉,いただきます!




刺身はぽん酢(市販品)に炒り肝を好みで溶いて,小口の小葱と七味で頂く.脂載り・身締りとも良く,甘味があって美味い.こりこりのエンガワが結構取れるのでお値打ち感もあり.


粗炊きはほろほろ・とろりとして旨味も十分.“きんきの煮付け”が御好きな向きは,地味な色目に惑されず,こちらも是非にお試しを.


そして一興.昆布出汁で,刺身を軽くしゃぶしゃぶと.たれは同じく,肝ぽん酢.白身の甘さが一層開く.
エンガワは刺身,身頃はしゃぶしゃぶがイチオシかな.

どれも美味しく,ご馳走さま!
道内の浜も,先日の津波の被災少なからずと聞え伝わる最中.
  漁(すなど)り,届けてくれる皆さんの,
   気持ちも一緒に,いただきました!

p.s.;
初めて見掛ける素材は,兎角扱ってみたい性分(たち)なので,壱も弐も無く皮剥きに挑んだのだけれど,正直一寸,梃子摺りました.
いや,剥けるんだけど,剥がす切ッ掛けを探るのに手間取ったり,身を押さえるのに余分な力が入り過ぎたり.
随分素材を,イジメちまったよーな…
プロにはきっとワザが有ると思うので,次回見掛けた折には意地を張らず,魚屋さんにお任せしようかな,と (^^;)ゞ

今更ながらだが,今回は“むきかれい”の姿に拘ってしまい,折角自分で剥いた皮の使い道まで気を回せずにそのまま捨ててしまった.
思えば表(有眼側)の皮はカリッと素揚げして塩を振れば“皮煎餅”としてビールのアテに恰好だったかも知れないし,無眼側の皮もヌメを落して煮付ければ好い煮凝りが出来たかも知れない.
次回はもっと,尽くします.
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2011 正月仕度 #02;厚田産,数の子を仕立てる

2010-12-30 22:13:59 | 烏合庵の食卓
御節の準備には余り手間を掛けない拙庵だが,私とつれあい,それぞれ何品かを手作りしてお重に詰める.数の子の仕立ては毎年私の担当.
昨年は,初めて道内産の塩数の子(佐藤水産本店にて購入;箱入りではなく小振りや折れ子も混じった店頭限定廉価バージョン)を使うことが出来たが,今年はさらにローカル.10月,増毛方面のドライブついで,厚田漁港の朝市で糠鰊とともに求めたものだ.


ご店主によれば“その糠鰊の子だよ”とのこと.“素人だから,結構折れ子も入ってるけど…”
いやいや,ご謙遜.なかなか立派じゃないですか.色艶も良し,自家用ならば十二分.一袋(8本ほど)千円は,破格です!


先ずは塩抜き,昼から始め.さっと洗って薄めの点塩(約1%;吸い物くらいの塩加減)に沈め冷蔵庫.寝る前一度,点塩を変え,翌日昼には塩抜き完了.


薄皮(あまり付いてはいなかった)を剥き,姿の良い3本を刺身用として一寸濃い目(1.5%程度と思う)の新しい点塩に浸して冷蔵保管.残りを味付に回す.


昆布と鰹で飛切り濃く取った出汁に酒と味醂を煮切って加え,昆布を沈めて醤油で塩梅.昆布が解けたところで容器に並べた数の子に掛けまわし,昆布を被せて冷蔵庫.


美味しく漬かってくださいね.
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2011 正月仕度 #01;我流,鯨汁を仕立てる

2010-12-29 23:36:22 | 烏合庵の食卓
学校給食の食材に鯨が当り前に使われ,自身のカラダの多分一割強は鯨で培われたと自負する世代.駿河湾奥の出自,鯨は愚か,湾東の伊豆の在からフレッシュな海豚の赤身やら,果ては皮付きの皮下脂肪がアタリマエに魚屋の店先に並べられ,結構日常的に食してはいたのだが…
塩をした鯨の脂で仕立てた“鯨汁”なるものを頂いたのは渡道後の事なれど,確か出先の定宿で出された初見のそれが,何だか妙に“懐かしい”味わいの一皿だったことを思い出す.
独身時代何度か試し,それなりに再現は出来たと思ったのだが,つれあいは鯨の脂がからきし駄目(鯨ベーコンにも箸を着けない;そのくせ鯨カツや竜田揚は美味いウマイと喰う)のようで,一度作って喰わせて以来,拒否権を発動し続けていた.
今回の鯨脂は近所のつれあい友人からの頂き物(夫君が札幌中央卸売市場で塩干品を扱っていらっしゃる;期限落ち前のロット払いとは思うが有難く).長男坊も帰札する年越しは丁度良い機会,とゆーワケで…


本来は黒皮付きの塩鯨で仕立てるらしいが,今回のものは皮を削いだ刺身用の柵(ミンククジラと思う).豆腐に突き蒟蒻,根菜(牛蒡・人参)・山菜などを取合せ.仕立ては一寸,変則的.


そのまま煮ると脂でエライ事になるので脂抜き.粗塩を焦した中華鍋で乾煎り(塩鯨の場合は塩を入れない).


染み出た脂は他の具材を炒める分だけ残してお玉で掬い取る(後で味が弱い場合に加減するため,ボウルなどに取っておく).






突き蒟蒻・崩した豆腐・出汁を取った後の昆布の順で加えて確り炒りつけ,




野菜類にも軽く脂を回したら昆布出汁をひたひた.酒・味醂・醤油で塩梅,くつくつと1時間ほど煮込めば好い具合に煮汁の脂が乳化してくる.


この乳化した脂のテクスチャは,個人的には,故“富公@狸小路七丁目”のラーメンスープ(三味,見た目も味もほぼ同じ)を髣髴する.同所で名跡の技を継がんと志す“味道 一徹”さんの出汁に,寸胴(φ≒30cm)一鍋あたりマッチ箱ほどの塩鯨を放り込めば,“私の・想う・富公”に,より近付きそうな予感は有るのだが… 閑話休題.

粗方煮込んだら琺瑯の鍋に移し,粗熱を取って出来るだけ涼しい(寒い?)ところに休め,一日一度,軽く火を通す.


長男坊の気に召すか? 年取り膳が楽しみだ.


p.s.;駿河の戦後世代:鯨や,或は海豚の喰い様:
SSの皆様には白い目で見られるかも知れませんが…
赤身は,所謂“生姜焼き”で食べることが多かった.共働きの両親に代って時折家族の夕餉を仕立る(小学生の)私にも無難に作れたので.鯨カツは,親父が上手だった.
海豚の赤肉も生姜焼きが殆ど.こっちはカツには向きません(特有の‘乳臭さ’が篭ってしまうので).脂身(皮付き)は五分角に賽の目.乾煎りして脂を確り落し,揚げ際に強めに塩してカリカリの熱々を頬張る(コレも親父の得意技;御袋は苦手).矢張り乳臭く,今日ビにウケる味じャぁ無ェが… も一回,喰いてーナぁ!
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頂き物,蝦夷鹿で二品…

2010-12-21 23:57:09 | 烏合庵の食卓
旧知が今年,ディァハンターとしてデビューした.ライフルはまだ持てない(散弾銃=ショットガンの経験10年以上が必要)が,スラッグ弾で目出度く初の一頭を仕留め,肉も掃けたと言う話を聞き及んではいたが…

予期せぬ着電,“先輩の猟師さんの手伝いで急に出たンすけど,肉,要ります? 俺は外しちゃったんだけど (^^;)ゞ”
要る々々,是非とも下さいな (^^)! ソッコー届けてくれた1kg強.フレッシュミートは初めてだ(冷凍のものは何度か扱ったことが有る).二日前に猟った若牝とのこと.鹿肉の美味さは熟成次第とも聞くのだが,そりゃ経験しなけりゃ解るモンじゃない.取敢えず幾分かを若いまま頂いてみる事にする.

“殆ど腿肉です”とは言うものの,幾つかのパウチに収められたそれらを検めれば,きっちり筋肉毎に採られているのが解る.
“これは外腿・これは内,こいつはシンタマじゃないかな? おー,少しだけど内ロース(所謂‘ヒレ’)と,あと,レバーも入れてくれてる!有難や…”

偶さか少し手に入ると気負って手を掛けすぎて仕舞がちになるのだが,実は前週釧路出張の帰りに“道の駅 白糠恋問”で仕入れた冷凍ストックも有るので鷹揚なもの.スーシェフ(つれあい)と相談.




ヒレ(画像上)と外腿(同下),レバーは頂いた翌日にカツで,


内腿は中一日置いてカレーで頂く事にする.

一品目;先ずは鹿カツ.
精肉はスーシェフ任せで不安なし.私の仕事は彼女が苦手な内臓系,レバーの下拵えだけはその日のうちに.


見たところ,捕獲後の放血はとても綺麗に出来ている様だが,レバーは少し血の気を抜いてやったほうが食べ易いだろう.




先ず,ブロックごと1%程度の点塩に1時間ほど沈めて太い血管に凝固した血液を緩め,


シンクの上で断面を下に向け,両手の掌で挟みやんわりと押して緩んだ血液を絞り出す.


ここから本番.揚げる厚さにスライスしてボウルに取ったら,


“魔法の粉”;粗製糖(所謂三温糖)をパラリと振掛け,組織を壊さないように優しく掻き混ぜれば,暗赤色だったレバーがたちまち綺麗な紅に変る.


後はドリップ(結構生々しい鮮紅色です)を切って水切りの付いた保存容器に移し,冷蔵庫に一晩休ませてスーシェフに託す.

翌日帰庵すれば,夕餉の仕度は既に整う.蝦夷鹿のカツ,ヒレ・外腿とレバーの盛合せ.精肉は1cm程にスライスして包丁の背で厚さ半分ほどに叩き,下味は塩・胡椒.あとは普通の一口カツと同じ手順で揚げたそうだ.


何も付けずに先ず外腿を一齧り.
若い雌鹿の肉は柔らかく,食感は子牛に近いが,筋肉の繊維は更にしなやかで緻密.捕獲時の処理が良いのだろう,仄かに鉄の酸味を感じるが,クセで無くむしろ好ましい風味(本鮪の赤身の味と言えば良いかな).味はヒレの方がやや濃いかな.
ソースは普通にとんかつ用や中濃,好みでトマトケチャップを足したり,白胡麻を当って加えても好いと思う.
今回は,丁度使いかけのマンゴージャムがあったので,下味のアタリを補う程度にウスターソースで延ばして合せてみたが大当り! フルーツの甘味と,ジューシーな鹿肉が抜群に合う!
鹿レバーは(食すのも)初めてで,実は一寸構えてしまったのだが,こちらも呆気ないほどにクセを感じず,牛・豚のレバーがお好きな方には逆に物足りないのではないかと思わせる味わいだ.タルタルソース(チューブ入り市販品)との相性もなかなか.

いやァ,良い肉だ! どれも美味しく,いただきました!
ひとつだけ一寸失敗は,ヒレのスライスが(腿と比べ)少し薄かったこと.ジューシーさをやや損ねた感じ.こっちは叩かないほうが良かったかも (^^;)ゞ …ってか,カツよりブロックのままポットローストしたほうが引き立つかな?… 今後の課題ではあります.

補追;“レバーの血抜きには三温糖!”は,“近江屋 WEB”さんから手法を拝借いたしました.多謝!

(以上記述:2010/12/21;to be continued…)


さて二品目;ざっくり鹿カレー


一晩魚の献立を挟み,この夕帰庵すればカレーの鍋がくつくつと.

“辛いのがイイなぁ,ジャワカレーとか…”,私の希望を唐辛子系の辛さに弱いスーシェフはあっさり却下.拙庵定番,中辛混合(こくまろ+熟カレー).
内腿は,だいたい2cm角の賽の目.塩・胡椒で下味,薄力粉を叩いてバターで炒付け表面を固定.何時ものビーフ(大概,オージーの腿)と同じ仕立てだ.煮込みは短め,1時間程度とか.


炊立てご飯にたっぷり掛けてもらい,さて,いただきます!
おー! 何時もの,ウチのカレーですね.全く違和感,ありません.肉はオージーの腿より寧ろ柔らかく,仄かな鉄味の主張とカレーソースの相性も好ましい.


自作の凝ったカレーソースも面白いだろうが,市販のルーでも十二分に美味い.同じように,市販のビーフシチューの素で煮込んでも,きっと美味しいだろうな.何しろ今日ビ,市販のルーは旨すぎる.

Fクン,ありがとう! 美味しかった !!
こーゆー肉なら,何時でもウェルカム (o^ ')b
機会があったらまた声かけてくださいな.決して無駄にはいたしません.弾代くらいは出すからネ(サボットスラッグ1発≒¥500-;エライカイタタキヨウダナ;爆).

二品とも,たいへん美味しく,いただきました!

(以上記述:2010/12/24)


補追(2011/11/27);
野生シカ肉喫食によるE型肝炎ウィルス感染リスクについて
正直言えば,私は鹿の刺身が大好きです.出張の定宿だった民宿の親父さんがハンターだった事もあり随分頂きました.今でも,新鮮な肉が手に入れば料理の下拵えの時に一片を生で味見したりもします.レバーにしても本心,胡麻油と塩でバクバク喰いたいです.
ただ,少ないとは言えリスクが知られる以上,生肉は(良い物は出したいのだけれど)家人にも供していません.
野生ニホンジカ(亜種エゾシカ含む)のウィルス感染履歴について解り易い資料を見付けたのでリンクしておきます.地域毎の検体内訳も示されており,判断基準になるかと思います.御参考となれば幸いです.
⇒シカのE型肝炎ウイルス抗体保有調査(兵庫県森林動物研究センター)
個人的には,食用に供されないマングースより,レアに近い状態で食される事も多い牛肉などについてのデータを示して頂ければ大いに有難いと思うのですが…
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糠鰊と大根葉で スパゲティ・アーリォオリオ

2010-11-14 23:34:55 | 烏合庵の食卓
休日昼餉.今日は私が担当.
冷凍庫から取り出したのは厚田産のぬかニシンと当別産の大根の葉.どちらも先日増毛方面へのぷちドラついで,厚田漁港の朝市と当別の野菜直売所で求めたものだ.こいつで一寸,以前から暖めていたレシピ(キィワード = アンチョビ へしこ パスタ)に挑戦!

と,ゆーワケで,用意の材料(分量は,だいたい…です ^^;)ゞ


スパゲティ乾麺(1.7mm):500g(多めの3人前)
ぬかニシン:1尾(頭を落としたもの;糠付きで 150gほど)
大根の葉(刻んで湯掻いたものを冷凍保存):150g
大蒜(冷凍保存):中ぐらいの大きさのもの:4片
鷹之爪(種をはずして):2本
オリーブオイル(EXV):適宜
塩(パスタの茹で湯用):適宜

先ずはぬかニシンの下拵え;表面の糠は鱗落しも兼ねて包丁の背で,腹に詰まった分はティースプーンで拭って燃えるゴミに.端から水で洗い流したほうが手早いが,下水道への負荷軽減(タダノジコマンゾクデス).


糠を落して洗ったら水気を拭って三枚に卸し,腹骨を引いて小口から5mm程に刻んでおく(中落ち・腹骨際は,この単品では使わない;ちょっと勿体無い気も…).

次はソースの仕立て.パスタを湯掻くのと同時進行したいところなのだが,そこまでテキパキと出来る自信が無いので予め.


フライパンにたっぷりとオリーブオイルを引き,包丁の腹で潰して背で粗く叩いた大蒜と粗く輪切りにした鷹之爪を,常温で確り馴染ませてから弱火に掛ける.そのままじわじわと,大蒜から小さな泡がじくじく染み出る加減でオイルに風味を移してゆく.


染み出す泡が落着き加減になったら鰊を入れて,火をやや強め炒めてゆく.この時も,鰊に泡が浮くようになったら火を弱め,じくじくと炒める(と言うより,煮るイメージかな).


鰊の身が解れてきたら大根葉を入れ,同じ要領でじくじくと.鰊の蛋白質と大根葉からの水分でオイルが乳化してきたら頃合だ(本当はこの時点でパスタが茹上るのがベスト).
そのまま熱を加え続けると再びオイルが分離してしまうので潔く火を止め,パスタを湯掻きにかかる(正直言えば,下の画像は一寸分離し始めてます ^^;)ゞ



沸かしておいた湯にたっぷり目の塩(1%強かな:吸い地より一寸塩辛いくらい)を入れ,パスタ投入.


ソースを吸う余裕を残したいので,パスタの茹で時間の目安はパッケージの指示より1分ほど短め.予定の2分ほど前に1本齧って加減を確め,上げる1分ほど前にソースのフライパンを中火に掛け,お玉半分ほどの茹で湯を加えて伸ばしながら温める.温まり,乳化が均等になったらとろ火に落しておく.


パスタを上げて,表面の水気を飛ばさぬように直様とろ火に掛け置いたフライパンに移し,ソースと和えれば出来上り(笊には上げず,茹で鍋から直接ソースパンに手繰り入れるのがベスト).皿に盛り,パルミジャーノはお好みで.
“糠鰊と大根葉のスパゲティ・アリオリ”,ボナペティート!


おー! 出来ちゃいました. モルト・ボーノ (o^ ')b
その辺の壜詰めアッチューゲでつくるより美味いんでナイかい,コレ? 家人の評価も“また食べたい!” 拙庵パスタメニュー久々のクリーンヒット.
まあ,仄かに糠が香るんで,イタリアンの方々には正面切ってはお勧め為兼ねるところでありますが (^^;)ゞ

いやー,糠鰊,三平汁は固より結構洋モノとも相性が良さそうだ.こりゃ,バーニャカウダとか,そうそう,馬鈴薯との相性は実証済み(皮のまま茹でた‘インカの目覚め’に焼いて解した糠鰊を添えて↓)なので,“ヤンソン氏の誘惑”も是非,試してみなければ!



おまけの一品(加筆:2010/11/18);糠鰊の酒酢びたし
此方は仕入れたその日の仕立て.

糠鰊は同じ要領で下拵えして皮を引き小口から1cm程の幅に削ぎ切り,酢水(1:3程度)で洗って軽く絞っておく.敢えて塩抜きはしなかった.


酢で〆ると言うより酒浸しに一寸酢の風味を添える気持で.煮切った酒3:酢1を合わせ,鰊と多目の白髪葱(水には晒さない),輪切りの鷹之爪(適宜)をひたひたに浸して冷蔵庫に1~2時間休ませれば出来上り.
軽く汁気を切って小鉢に盛る.鰊の身に白髪葱をふわりと纏わせ,鷹之爪ひとひらを天に盛れば程好い景色になる.


美味いです.芋焼酎のロックにはばっちり(ビール類にはお勧めしません).酒肴とて,敢えて塩辛め・クセを残した仕立てなので好みは分れようが,“鰊切込”がお好きな方のお口には合うかと…
鰊を三枚に卸した後,一晩ほど塩抜きしてから大根・人参の千切りと共に甘酢(芥子を少し溶いても良い)に漬ければ,口当り良く仕上がると思う.
コメント
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