DIARY yuutu

yuuutunna toki no nikki

阪田寛夫(1925-2005)「葉月」(1977年):どんなにひどい目にあっても、男は惚れた女を恨まない。「恋は盲目」だ!

2018-06-18 00:58:08 | 日記
こんやは2時間も待ったのに Tonight, I waited for you for two hours.
なんで来てくれなんだのか Why didn't you come here?
おれはほんまにつらい I am very disappointed.

《感想1》
好きな女に2時間待たされ、そのあげくすっぽかされて、一途な男は落ち込む。

あんまりつらいから I am so disappointed
関西線にとびこんで死にたいわ that I want to throw myself on the railroad of Kansai line.

《感想2》
あんまりつらくて、鉄道へ飛び込み自殺したいほどだ。男の純情だ。

そやけどあんたをうらみはせんで However I don't hate you.
あんたはやさしいて As you are a kind
ええひとやから and good person,
ころしたりせえへん I won't kill you.
死ぬのんはわしの方や It's not you but I that have to be killed.

《感想3》
恋の力は偉大だ。どんなにひどい目にあっても、男は惚れた女を恨まない。「恋は盲目」だ。

あんたは心がまっすぐして You are sinsere,
おれは大まがり while I am very crooked.

《感想4》
女に惚れたとき男にとって、悪いのは、いつも自分だ。女は女王であり、自分はその臣下だ。

さりながら However
わいのむねに穴あいて my heart comes to have a big hole
風がすかすか抜けよんねん。 and a wind lightly flows through it.
つべとうて I am cold,
くるしいて and painful.
まるでろうやにほりこまれて I feel like that I am put in prison
電気をパチンと消されたみたいや and the light is turned off.

《感想5》
だがこの苦しみ、悲しみ、失望は、どうにもならない。

ほんまに切ない お月さん I am very sad, Mr Moon.
・・・お月さんやて Hi, Mr Moon,
あほうなこと云いました I said stupid things.

《感想6》
大の男が、女に2時間待たされた位で、「電車に飛び込んで死にたいほど苦しく、悲しい」などと云うのは、確かにあほうだ。

さいなら わしゃもうあかん Good-by, I have reached my limit.
死なんでおれへん I cannot but die.
電車がええのや A train is useful to me.
ガーッときたら It comes toward me,
ギョキッと首がこんころぶわ and my head is violently cut and rolled around.

《感想7》
あほうでも、つらいものは、どうにもならない。電車に飛び込むしかない。首がちょんぎれ、こんころぶ!

そやけど However,
むかしから since a long time ago,
女に2時間待たされたからって was there a man who killed himself
死んだ男がおるやろか only because he waited for a woman for 2 hours but in vain?
それを思うとはずかしい When I think about this, I am ashamed.

《感想8》
男は、少し頭が冷えてきた。女に2時間待たされて、がっかりして電車に身を投げた男など、これまで、いたはずがない。かくて男は気を取り直した。

《注》詩の区切りは評者による。
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