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映画『ボヤージュ』遊 Voyage(2013年、香港)スカッド監督:《生命or人生or意識》とは、《無生命or無人生or無意識》という《宇宙》の《一瞬の自己確認》だ!

2021-11-05 10:18:31 | 日記
(1)失われた世代:「下放」され自殺する!
1968年文化大革命時代の中国。1000万人以上の学生らが「下放」として地方へ行かされた。内モンゴルに生かされた青年。葬式を経験する。死体をナイフで数カ所切り裂く。死体は狼に食わせる。青年は本を取り上げられ絶望し、死体と同じように体をナイフで切り裂き自殺する。(その後、毛沢東が1976年に死に、「下放」は終わる。)
(2)天国へ行く:ある東洋の国での「殉死」!
ある東洋の国の街で、祖父が死んだ。その子どもたちが毒入りの食事をとり「殉死」する。街の者たちがその儀式を見守る。「死後、天国に行ける」という。
(3)旅:「遊」あるいは「Voyage」!
リョー(亮)・コーデンがアムステルダムからヨットで一人、出航する。彼は精神科医だが、自分自身、鬱病だ。人生、最後の旅に出る。
(4)マレーシア:女の占い師レッドと息子ジェイソン!
女の占い師レッドには一人息子がいる。息子ジェイソンが仕事で出かけた先の台湾で、自動車事故で死ぬ。ジェイソンと他の多数の裸の幽霊が現れる。彼らは「冥界」(天国でも地獄でもない死者の国)に居る。
(5)ドイツのハノーバーにて:セバスチャンとレニ!
画家志望のセバスチャン(東洋人)が小説家のレニに恋をする。レニは「自分は恋愛詩を書くが、恋をする気がない」とセバスチャンに告げる。失恋したセバスチャンは、銃で自殺する。
(6)オランダのアムステルダム:リョー・コーデンと中国人青年アードレ!
リョー・コーデンと中国人青年アードレは、ホモセクシュアルの関係だが、「飾り窓の女」たちを訪れる。リョーが、「1万9千ページの遺書を書いて自殺した者がいる」と言った。
(6)-2 リョー・コーデンはヨットを楽しむ!
リョー・コーデンはヨットから海に飛び込み泳いだり、船内で音楽を聴いて楽しむ。彼は一人で航海している。
(6)-3 オーストラリアのアリス・スプリングス!
リョー・コーデンと中国人青年アードレが、砂漠を車で旅行し楽しむ。
(7)香港:発話障害の息子ミンと母親リーラ!
息子ミンは20歳位だが、発話障害のため就職もできない。48歳の母親リーラがミンの面倒を見る。ミンを風呂に入れ、ミンの性器を手でしごき射精させてやる。やがてミンは死ぬが、死ぬ前「死は怖くない」と言った。ミンの遺骨を母親リーラが海に散骨する。死んだミンの幽霊が出る。
(8)死後の世界では誰もが等しくなり、そこは善人の世界だ!
リョー・コーデンのヨット内に父親の幽霊が現れる。「死はあらゆる違いを取り除き、死後の世界は誰もが等しく、善人の世界だ」と父親の幽霊が言う。リョー・コーデンは死後の世界に憧れる。
(9)香港:チャンおじさん!
チャンおじさんは1950年代に中国から香港に渡り、企業家として成功した。妻とは円満に金婚式を祝い、息子たちも成功し立派になった。だがこれからの「老い」の階段が「嫌だ」とチャンおじさんが嘆く。
(10)成功者ライアン!
企業家・芸術家(スター&監督)のライアンは、壮年の成功者だ。にもかかわらず「もう嫌だ」と人生に飽きる。しかし「君が全てだ」と愛に生き、「これまで悪事を働いたことがない」と自負する。だが彼女とデートの待ち合わせを始めて忘れた時、「I am fly!」と衝動的にビルから飛び降り自殺する。
(11)女占い師レッドの新しい夫(男)!
息子ジェイソンを自動車事故で失い、すっかり意気消沈していた女占い師レッドに、今や新しい夫(男)が出来た。
(12)セバスチャンを捨てたレニが新しい男と暮らす!
ドイツのハノーバーで、画家志望のセバスチャン(東洋人)が小説家のレニに恋をした。レニは「自分は恋をする気がない」と告げる。セバスチャンは銃で自殺する。そのレニが今や恋をして、新しい男と暮らしている。
(13)香港:母親リーラは大金持ちとなった!
発話障害の息子ミンを無くした母親リーラは、やがて成功し、大金持ちとなった。
(14)オーストラリア:青年アードレは小鳥を丁重に葬った!
中国人青年アードレがオーストラリアの砂漠を自動車で走行中、小鳥と衝突し、小鳥を死なせる。彼は小鳥を拾いシャツに包み、聖なる岩の精霊たちに祈り、丁重に葬った。
(15)イエスが天に昇っていく幻!
十字架にかけられたイエスが天に昇っていく幻をリョー・コーデンは、ヨット内で見る。彼は「いずれ誰もが死ぬ」、「終わりの先に何があるか?」と思う。
(16)反ホモセクシュアル主義者!
裸のままで海岸を戯れるリョー・コーデンと中国人青年アードレの二人が、反ホモセクシュアル主義者に発見され、二人とも射殺される。

《感想1》映画は「死」というテーマを扱う。「いずれ誰もが死ぬ」、そして「終わりの先に何かあるのだろうか?」と問う。
《感想1-2》評者は「終わりの先に何もない」と思う。《生命or人生or意識》とは、《無生命or無人生or無意識》という《宇宙》の《一瞬の自己確認》だ。
《感想2》《生命or人生or意識》はたくましく、「発話障害の息子ミンを無くした母親リーラは、やがて成功し、大金持ちとなる」し、「『恋などしない』と言ってセバスチャンを振り自殺させたレニが、今や恋をして新しい男と暮らす」。


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