八王子 印鑑 楽善堂
創業1899年:明治32年。東京:八王子 文字工房楽善堂では良いものを長く、一生お使いいただくのにピッタリの感触をご確認いただきたく、実際に印鑑材料をさわってみて、指との相性を見ていただく事をおすすめしております。
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────
こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。
今日は第4土曜日で店は休みです。店に来てブログを書き始めました。平日、店に座っていると、お客様の応対、電話受け、その後の受注処理で、今週はパソコンを立ち上げる時間を見逃してしまうことがままありました。
先日、模刻(もこく)といって、紙に押してある印鑑(正確には印影という)と同じに作って下さいという、注文がありました。
こんな時にまず、お客様にお話するのは、「100%全く同じには作成できません、私の技術で95%までですが。銀行さんの届け印で押捺して預金引き出しを行なおうとしたときに、印影違いです、とはじかれる可能性も少しありますが、よろしいでしょうか?」と申し上げて確認をしています。さらに大事なことは、山田さんが見えて「山田」の刻字なら問題ないのですが、山田さんが「佐藤」と彫ってくれ、という場合、可能性として何らかの犯罪の場合も考えられます。お名前がわかるもの(保険証、免許証)をご提示いただいています。ここに印鑑の値打ちがあって、「印鑑はアナログのIDカード」と私は思っています。
今回のお客様の場合、預金引き出しには関係のない使用とおっしゃっていただいたのでお受けいたしました。仕事としては荒彫りの作業のあとに、仕上げの作業をしますが、通常の仕事なら仕上げは自分のセンスで線質を作っていけばよいものですが、模刻だと、机の上にお預かりした印影を見て、各線質ごとに同じに仕上げていきます。
お客様には「手間のかかる仕事なので、通常のお値段の3倍かかりますがよろしいでしょうか?」と伺っています。材料によって価格もちがうので、木製のつげ材の場合はこのお値段にしています。たいていは、印鑑の材質よりも紙に押した時の印影が同じことがお客様のご要望なので、価格的に安価なつげ材を選ぶ方がほとんどです。
▲紅葉が美しい、八王子の富士森公園。本文とは関係ありません。散歩の途次、見つけました。
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