印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ

東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る

英語版のYouTube動画を公開しました!!

八王子 印鑑 楽善堂

創業1899年:明治32年。東京:八王子 文字工房楽善堂では良いものを長く、一生お使いいただくのにピッタリの感触をご確認いただきたく、実際に印鑑材料をさわってみて、指との相性を見ていただく事をおすすめしております。

印鑑の模刻(同型印の作成)

2009年11月28日 | 店舗経営 接客
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

今日は第4土曜日で店は休みです。店に来てブログを書き始めました。平日、店に座っていると、お客様の応対、電話受け、その後の受注処理で、今週はパソコンを立ち上げる時間を見逃してしまうことがままありました。

先日、模刻(もこく)といって、紙に押してある印鑑(正確には印影という)と同じに作って下さいという、注文がありました。

こんな時にまず、お客様にお話するのは、「100%全く同じには作成できません、私の技術で95%までですが。銀行さんの届け印で押捺して預金引き出しを行なおうとしたときに、印影違いです、とはじかれる可能性も少しありますが、よろしいでしょうか?」と申し上げて確認をしています。さらに大事なことは、山田さんが見えて「山田」の刻字なら問題ないのですが、山田さんが「佐藤」と彫ってくれ、という場合、可能性として何らかの犯罪の場合も考えられます。お名前がわかるもの(保険証、免許証)をご提示いただいています。ここに印鑑の値打ちがあって、「印鑑はアナログのIDカード」と私は思っています。

今回のお客様の場合、預金引き出しには関係のない使用とおっしゃっていただいたのでお受けいたしました。仕事としては荒彫りの作業のあとに、仕上げの作業をしますが、通常の仕事なら仕上げは自分のセンスで線質を作っていけばよいものですが、模刻だと、机の上にお預かりした印影を見て、各線質ごとに同じに仕上げていきます。

お客様には「手間のかかる仕事なので、通常のお値段の3倍かかりますがよろしいでしょうか?」と伺っています。材料によって価格もちがうので、木製のつげ材の場合はこのお値段にしています。たいていは、印鑑の材質よりも紙に押した時の印影が同じことがお客様のご要望なので、価格的に安価なつげ材を選ぶ方がほとんどです。


▲紅葉が美しい、八王子の富士森公園。本文とは関係ありません。散歩の途次、見つけました。


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鏑木清方の落款印

2009年11月24日 | 印鑑の文字
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日の勤労感謝の日、ファミリーでサントリー美術館に行きました。天気が心配でしたが、小春日和の晴天に恵まれました。車で出かけました。中央高速、首都高とも、行きも帰りも渋滞はありませんでした。

「清方ノスタルジア 名品でたどる鏑木清方の美の世界」というタイトルで、鏑木清方(かぶらき きよかた)の絵画が多数展示されています。江戸情緒を残す美人画が多く、歌舞伎題材の絵、風景画などもありました。500円でヘッドフォンとリモコンを借りて作品の音声ガイドを聞きました。作品の番号を押せば丁寧に説明してくれます。

仕事柄、作品の右下あたりにある、落款印文字に興味が行きました。少なく見ても3種の落款印を使っていました。ひらがな表記の角判があり(落款印は角判が多いが丸判もある)、「あちさゐ」(あじさい)までは読めて、残りの2文字が判読できませんでした。美術館の出口で、切符販売の所にいる方に落款のことについて尋ねたら、作品帳を調べながら親切に教えてくれました。「あちさゐのや」と読むとのこと。アジサイの家ほどの意味です。この落款は、主に美人画に多く見受けられました。

「清くあれ 潔くあれ うるはしくあれ」とは、鏑木清方の言葉です。そんな思いを感じさせてくれた、作品鑑賞でした。


▲鏑木清方の日本画「春雪」。帰宅した夫の羽織を妻がたたんでいる。右端の落款印は教えてもらい「あちさゐのや」とわかった。
これは、サントリー美術館の入り口でいただいたカラーチラシです。厚手の上質紙です。


サントリー美術館
http://www.suntory.co.jp/sma/


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外国人旅行者への象牙印鑑

2009年11月21日 | 店舗経営 接客
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

朝晩は冷え込みますが、日中は暖かく店の暖房は一時的にOFFにしています。
前回のブログで書いた、象牙印鑑の仕入れと販売の報告、記載台帳への記入を完成して関東経済産業局へ発送しました。

関東経済局から送付された資料の中に、接客時に「うっかりしてしまいそうだ。」と思った内容のことがありました。外国人旅行者への象牙印鑑の販売です。日本からの持ち出しが認められていません。(例外的に、1975年(昭和50年)7月1日以前に輸入されたことが証明できる書類があれば承認される、と書いてありました)せっかく象牙印鑑を作成しても、出国手続き時にもし取り上げられたとしたら、ご本人はとてもいやな思いをされます。

うちの店では、しばしば外国人のお客さまもお見えになりますが、八王子で飲食関係の店を開店して、スタンプや名刺を作成する、というケースがほとんどです。しかし、日本人のお客様がお見えになり、友人の外国人に象牙の印鑑をギフトにしたい、こんなケースがうっかり注文をうけて作ってしまいそうです。漢字の当て字にしても、彫刻の文字で外国人の方とわかりますから、気をつけたいと思います。


▲店頭で象牙の実印の棚に貼ってある、英文注意書きです。


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象牙印鑑の動きを報告

2009年11月17日 | 店舗経営 接客
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日、経済産業省の関東経済産業局から郵便物が届きました。象牙印鑑の仕入れと販売について、取引を報告してほしいという依頼内容でした。2年に1度、この報告を行なっています。

「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」があり、象牙だけでなく、うみがめ科の甲(こうら)などを扱う業者は、環境大臣、経済産業大臣に取引状況を届け出ることになっています。

具体的には、仕入先の問屋名を明記して、仕入れの月日と仕入れた象牙印材の内容(直径や長さ)や本数を書き、また、お客様に販売した月日と象牙印材の内容を報告します。この法律は、「絶滅のおそれのある動植物を保護するため」が目的です。象の乱獲や、密輸入を防止するためです。ひとつ、仕事が増えましたが協力していきたいと思います。


▲環境省、経済産業省から以前に支給された「象牙を扱うことを許可された事業者のカード。」登録番号があります。


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印鑑店でメルアドを販売

2009年11月12日 | 店舗経営 接客
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日から、オリジナルメールアドレスや、簡易ホームページ作成の取次ぎを始めました。
印鑑店(はんこ店)に、会社設立のお客様や、名刺、会社ゴム印を作成のお客様が見えた時にオリジナルメールアドレスや、簡易ホームページ作成のご提案をしていこうというものです。

8月に「株式会社夢幻舎」の営業の人が楽善堂に来て、説明をしていきました。その後何度か契約についてのやり取りがあり、今回の取次ぎ販売になりました。夢幻舎(むげんしゃ)としては、印鑑店がオリジナルメールアドレスや、簡易ホームページの販売窓口に向くのではと、考えて営業に来たようです。

プラン内容は、以下のとおりです。

プランA
初期費用 980円  月額費用 980円

プランB
初期費用 4800円  月額費用 4800円

プランC
初期費用 9800円  月額費用 9800円

プランA・・・オリジナル電子メール。メールアドレスの数は無制限
プランB・・・プランAに加えて、簡易ホームページ付き。1ページ。更新はお客さんが行なう。
プランC・・・プランAに加えて、簡易ホームページ付き。5ページ。更新は月1回、業者がサービスで行なう。


▲オリジナルメールアドレス販売用のパンフです。

夢幻舎ホームページhttp://mugensha.jp/

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魯山人の陶芸展

2009年11月09日 | 徒然(つれづれ)なるままに・・・
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日の日曜日、散歩の途中にふと街角の掲示板のポスターを見て、北大路魯山人の陶芸展が最終日と知りました。幸い夕方6:30までに入れば見られるので、出掛けました。場所は街中の甲州街道沿い、八王子市夢美術館です。

この美術館には粋な計らいがあって、“着物で来場した方は入場料が半額”という特典があります。普段着の着物があったので、襦袢でなくスタンドカラーのシャツの上にウールの着物を着て出掛けました。

魯山人は初め書家、次に篆刻(てんこく)家という経歴があるので、陶芸の作品にも文字が書かれてある作品がありました。書体は隷書と篆書です。文字に個性がよく出ていました。笠間日動美術館コレクションの「紅葉絵鉢」も紅葉の色が葉それぞれに違っていて見入ってしまいました。

魯山人は、「食器は料理のきもの」と語っていたそうで、どのようにしたら料理を美味しく食べられるか、を考えて陶磁器を作成したのでしょう。40歳を過ぎて陶芸家になりましたが、作品数は10万点を超えています。

魯山人没後50年、魯山人の宇宙に浸ることができました。


▲魯山人の陶芸展のパンフレット。昨日が最終日で、展示を見ることができた。


八王子市夢美術館  http://www.yumebi.com/

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ビュッフェ美術館に

2009年11月05日 | 店長のプライベート
印鑑 八王子 楽善堂
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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

3日の文化の日あたりから、急に冬になったように寒くなりました。
まだ暖かかった、1日(日)、静岡県にあるベルナール・ビュッフェ美術館に行きました。
以前からビュッフェの絵画の作風が何となく好きでした。近くへ行く機会があったので、帰りによって来ました。

美術館の中で絵の下にある説明文を読んでいるとこんな記述がありました。「なぜ、ビュッフェの絵は日本人に好まれるのか? それは書道とビュッフェの線描は非常に近いものがあるからだ。」ビュッフェのアトリエにただ一人入室を許された写真家、フルノルの言葉です。

休日にのんびり美術館で過ごす、私には心の栄養になります。帰りに近くの「クレマチスの丘」を散策して帰りました。


▲ビュッフェ美術館でいただいたパンフレット。サインの文字、縦長で伸び伸びした線質が私は好きです。絵は、「肉屋の少年」


ベルナール・ビュッフェ美術館 http://www.buffet-museum.jp/


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圓楽師匠の死を悼む

2009年11月02日 | 徒然(つれづれ)なるままに・・・
印鑑 八王子 楽善堂
──── 八王子で印鑑を作り続けて110年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

先週の29日、五代目、三遊亭圓楽師匠がお亡くなりになりました。落語家として一番尊敬していた師匠だけに、つらいものがありました。「笑点」のテレビ番組を放映している日本テレビは、今朝も圓楽師匠の映像を流していました。

「八王子寄席」という小さな寄席の会が、私が高校、大学生くらいの時にあり、店の裏にある「見番」(けんばん、芸者さんの手配をする事務所)の二階大座敷で、年に3回、生の落語を聞いていました。200人くらいの寄席ですからマイクなどは使いません。

ある時、圓楽師匠が来てくれて、落語の合間に質問時間があり、私は手を挙げて師匠にこんなことを訊きました。「星の王子様は、どんないきさつで名乗るようになったのですか?」
当時、昭和50年前後でしたが、それでも師匠、「古いことを言いますね。」とおっしゃった後、「電車に乗っていて、ふと隣の女子高生を見ると『星の王子様』を読んでいた。私のような不男が星の王子様を名乗ると面白いと思った」と答えてくれました。

その後、昭和55年頃、また師匠が「八王子寄席」にお見え下さり、その時の演目が「浜野矩随(のりゆき)」(下段にあらすじ)でした。この話を聞いて私は正式に印判師(はんこ職人)の道を目指そうと思うようになりました。ある意味、圓楽師匠のこの落語で人生の仕事を決めたと言ってよいものです。師匠の真に迫る演技に涙したのを覚えています。その後、20年以上経って、浅草で「余一の会」(よいちのかい、月末の31日の落語会)で再度師匠の「浜野矩随」を聞き、同じ感動を覚えました。私にとって、最高の落語です。「落語事典」(弘文出版)を紐解くとこの演目は、現在、圓楽師匠の独壇場となっている、と書かれていました。

「天国でゆっくりお休み下さい」と申し上げたいです。でもやはり、落語好きにせがまれて一席、話すのでしょうか。ご冥福をお祈りいたします。

※「浜野矩随」(はまののりゆき) 講談からきた話。浜野矩随という金属彫刻師、父親は名人だったが、腕が下手で父の死後得意先からどんどん見放され、若狭屋だけが下手な作品を買ってくれた。その若狭屋にも、母親にも「死んでしまえ」と言われ、矩随は一心不乱になって観音様を彫る。これを若狭屋に持って行くと、まだ父の作品があったのかと三十両で買ってくれた。これが矩随の作品と聞いてびっくり。これをきっかけに矩随は開眼して名人と言われるようになった。矩随の作品を買い求める人の列が、新橋から品川までできたという。


▲朝日新聞、10月31日の紙面より。師匠の笑顔がすばらしい。


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