印鑑の楽善堂 四代目店長 平澤 東のブログ

東京 八王子 印鑑文字工房 楽善堂の店長が印鑑や文字の魅力を語る

英語版のYouTube動画を公開しました!!

八王子 印鑑 楽善堂

創業1899年:明治32年。東京:八王子 文字工房楽善堂では良いものを長く、一生お使いいただくのにピッタリの感触をご確認いただきたく、実際に印鑑材料をさわってみて、指との相性を見ていただく事をおすすめしております。

印鑑の文字(11) 行書

2008年09月30日 | 印鑑の文字

──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日、今日と秋雨前線が活発で東京は雨続きです。気温も肌寒く薄いセーターを昨日から着始めました。

今日は印鑑の書体、行書について書いてみたいと思います。
楷書を速く書くため、また草書では(草書は行書よりも早くに存在した)読むのに難解という状況から、行書が生まれてきました。中国の前漢(西暦で25年~220年)の末期ころになり、行書としての特徴がはっきり出ている文字が出現しました。

印鑑の作風としては、文字を小さく入れて外枠に文字が付かない、または左払い、右払いの伸びる線などは軽く枠に触れる程度です。

篆書や古印体の堂々と構えたどっしり感よりも、横画の細い華奢(きゃしゃ)な作風になります。
男性よりも女性におすすめの文字といえます。


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印鑑の文字(10) 草書

2008年09月26日 | 印鑑の文字

──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

明日は、第四土曜日、月に1度の土曜日休みで、2連休をさせていただきます。

今日は印鑑の文字で「草書」です。楷書、行書は普段に見慣れていますが、草書となると
書道の作品や掛け軸の絵にある文字、などでしか見かけないですね。読み慣れていないと判読がしにくい書体でもあります。

草書は隷書(以前のブログ、印鑑の文字(7) 隷書を参照)から派生して出来上がりました。
隷書を速く書こうとして生まれたのが、章草(しょうそう)という書体、そこから派生して草書が生まれました。行書がさらに簡略化されてできたものではありません。

今回の作品例、「田島」さん。「田」は読めますが、「島」は読みにくいと思います。
印鑑の文字は、実印や、銀行印の場合、所有者が読めて、他人は読めない(判読できない)くらいが都合がいいです。少しオーバーな言い方ですが、銀行印ならカードの暗証番号のようなものです。

そんな点でこの草書もオススメでございます。実際の仕事では、お客様との相談でどの程度の文字の崩し加減がいいかは、話し合いで決めていきます。行書に近い草書ならば判読しやすくて、そうでなければ、書に馴染みのない方には判読不能にも作れるからです。


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フェルメール展

2008年09月25日 | 店長のプライベート

──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

17世紀のオランダの画家、フェルメール展が、上野の東京都美術館であり、夏日となった23日(秋分の日)にファミリーで鑑賞に行ってきました。

彼が生涯で残した作品数はわずか30数点。1つの作品の中に明暗、光の表現が実によく描かれていました。人物画などは、1つの方向からだけスポットライトが絵の中に照らされているのでは?と思えるくらいに光の表現がよくなされていました。

フェルメールと同時代のオランダの画家の作品も同時に展覧されていました。その中で私が「いいなあ!」と足を数分止めて鑑賞したのは、フェルメールの風景画「小路」(こみち、と読むのではないかと思う)でした。写真にある風景画です。 


風景画の場合、絵の前に立って、気持ちだけは絵の中に勝手に入り込んで、自由に絵の中を歩き回って遊ぶ、そんな鑑賞の仕方を私はしています。すると、2~3分すぐ経ってしまいます。

美しいものを見ていくと、感性の中に美のセンスが養われ、やがてそれが仕事に生かされてきます。絵画に限らず、神社やお寺の屋根の形とライン、庭園なども美しいものです。

私は印鑑作りの職人ですが、字入れ(印鑑の文字を書く)の時に、この美のセンスが間接的にでも生きてきます。いろいろな書体、表情の印がありますが、「美印、美人の顔をした印」を作りたい、そんな思いを持っております。


フェルメール展 
http://www.tbs.co.jp/vermeer/
12月14日(日)まで、東京都美術館で開催中。月曜休館。 ▼東京都美術館エントランス


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印鑑の文字(9) 楷書

2008年09月22日 | 印鑑の文字

──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

「暑さ、寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、今日は店のエアコンを使わないで
快適に過ごせています。

今日は、皆さんにお馴染みの書体、楷書です。
学校で習う文字が楷書、スタンプ系の商品だとシャチハタのネーム9(ナイン)が楷書です。このネーム9、一番多く市販されて流通しているシャチハタスタンプです。

朱肉を付けて押す、印鑑の書体ということになると、日々の仕事ではほとんど楷書は注文になりません。書体のご提案は、お客様からご指定が無い場合、判読しやすさの書体の場合、男性なら隷書または古印体で、女性ならば行書というオススメをしているからです。

あまり強く楷書をご提案しない理由は、シャチハタのネーム9が楷書、ということがあります。印鑑の直径はネーム9よりも大きいことがほとんどですが、どこのご家庭にもおそらく宅配便の受け取り用などに、ネーム9が置いてあるからです。その書体のスタンプとは分けて印鑑を管理いただきたい、そんな店長の思いがあります。

歴史的には前漢の時代の末期には生まれていたので、楷書は2000年以上の歴史のある文字です。横画が右肩上がりは楷書の特徴、景気になぞらえて「楷書がいい! !」のお客様も時々いらっしゃいます。

「印は人を表す」。基本に忠実、きっちりと物事を推し進めたい、そんな方の印鑑にはオススメです。



印鑑の楷書(店長作品)ネーム9よりも大きく字を入れてある。筆意表現にも違いあり。

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breakfast (断食破り)

2008年09月20日 | 徒然(つれづれ)なるままに・・・

──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

食いしん坊で、ついつい食べ過ぎてしまうので、私は毎朝、起きると体重を量るようにしています。1キロ増えた時は早めの調整で、午後7時までに夕食を完了、内容はコンビニのおにぎりと、サラダ程度で済ませてしまいます。その後就寝まで何も食べずにいると、翌朝は1キロ減って元の体重に戻っています。

朝ごはん、英語で言うとbreakfast. このfastは断食の意味でbreakfastの原義は「断食を破る」です。なるほど、この原義のようにすると、朝ご飯がおいしくなります。

「病気にならない生き方」の著者、医師の新谷弘実氏のライフスタイルは、午後6:30に夕食を終えて、11時の就寝まで何も口にしないそうです。喉が渇いたときには水を少々とのこと。

私の今日の朝ご飯です。まず水を200cc、その後レモンや他の果物を食べながらさらに水を200cc飲みます。写真の水は2杯目の水です。食後にまた200cc。水は1日で1600ccくらい飲んでいます。

食習慣と健康は密接な関係にあるようです。


▲水とフルーツの後に、ご飯と味噌汁をいただきます。


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印鑑の文字(8) 古印体(こいんたい)

2008年09月18日 | 印鑑の文字

──── 八王子で印鑑を作り続けて100年 ────

こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

今日は印鑑の文字(8)、古印体(こいんたい)です。
100円ショップでも売られている既製の印鑑は、ほとんどが古印体で作られています。
ただ、同じ古印体でもご注文で(オーダーで)作った印鑑の古印体は、見映えは全く違ってきます。同じ線の中に太い、細いがあり文字の交差部分は“墨だまり”という古印体特有の、のったりした表現部分があります。

砂を手の中に持って少しずつこぼしながら字を書いていくと、交差の部分は2回砂が落ちて砂の量が多くなりますね。その感覚でできたのが“墨だまり”です。交差部分以外は例えて言うとチョコレートでできていた文字が融けて円(まろ)やかな線質が出来た、という感覚です。

この古印体、中国にはありません。江戸時代の末期に幕府御用印師が、今まであった寺社の印を参考に考え出しました。篆書(てんしょ)と違い読みやすいのが特徴、しかも味があります。通常の古印体は隷書古印体で、隷書を基本に古印味(こいんみ)を加えたものです。

▲「田」字の中の十文字の交差部分、外枠との接点が“墨だまり”


下の作品は「楷書古印体」です。横画の右肩上がり、縦画の太さなど、楷書の特徴は残しつつ、古印味が表現されています。

▲楷書古印体、普段の仕事ではほとんど作らない

古印体は、仕事印として職場で使う用途にオススメです。誰からも判読してもらえる書体だからです。


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敬老の日のとらえ方

2008年09月16日 | 店長のプライベート

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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日は敬老の日でした。
中学1年になる息子が背泳ぎが不得意だからと、ふだんは行かないプールへ連れて行き
泳法を教えてあげることになりました。

プールの入り口で驚いたのは「今日は敬老の日なので、無料です。」と言われたことです。
子どもの日や体育の日ならともかく、敬老の日でプールの入場料が無料とは!
中に入ってみて合点が行きました。水着でプールで泳いでいる方(または水中歩き)の7割くらいが、60歳以上と思えるご年配の方々でした。日常にご年配のスイマーが多いから、敬老の日で入場料を無料にしたわけでした。

時代の流れで昔は棄老(きろう、老人を捨てる。昔の名残で姨捨山(おばすてやま)などがあります。)そして、養老(老人を養う)、昭和41年に敬老の日ができる。

最近は、ご年配を敬い、労わるだけでなく、“元気なご年配を応援する”ための敬老の日に
なってきているようです。

昨日は、うちの息子、娘がおじいちゃん、おばあちゃんに和菓子を持って行きました。近未来の敬老ギフトは、スポーツ用品や趣味のグッズが喜ばれるのでしょうか。


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印鑑の文字(7) 隷書

2008年09月13日 | 印鑑の文字

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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

今日から3連休、9月は祝日が2日(敬老の日と秋分の日)があって、土日がフルにお休みの方には、合計で10日のお休みがあり、9月の30日間で3日に1日はお休み、ということになります。私の店、土曜日は第4だけが休日なので、今日は営業しております。
貴重な休日、有効に使いたいものです。

印鑑の文字シリーズの続きで今日は「隷書」です。印鑑に一番多く使われる篆書(てんしょ)については今までいろいろと書いてきました。この篆書を速く書こうとして奴隷が牢獄で考え出した文字が「隷書」です。それで、奴隷の「隷」が付いています。

篆書から派生して出来たので、篆書と相似する点は、
1. 線質は横画は水平、縦画は垂直を基本。楷書のように横画は右肩上がりにならない。
2. 筆で書くと、起筆は露鋒(ろほう)でなく、蔵鋒(ぞうほう、筆の穂先を中に入れる)で書く。
3. 横画は太く、縦画は細い。(楷書や行書はこの逆です)

違う点は、篆書は縦長の方が格好いいですが、隷書は扁平(横に広い)の文字の表情、と言う点です。波磔(はたく)といって、文字により1本の横画のみ波のような長い線質を入れる。
(下の「田島」の「島」字にあり)
さらに何といっても、判読しやすい書体、という点があります。

街で見かける隷書は中華料理屋さんの看板とか、メニューの文字など、中国的なもの、古典的なものに多く使われています。

▲「島」の上から4本目の線が波磔(はたく)です



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経営セミナーに出席

2008年09月12日 | 店長のプライベート

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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

お早うございます。
今日もさわやかな天気です。日中は暑くなりそうですね。

昨日の夜は昭島市の商工会さん主催の講演会(セミナー)に行って来ました。
タイトルは「小さなお店の経営革新」~今すぐできる自店の魅力づくり~
でした。

講師は(株)スプラム 代表取締役 竹内 幸次 先生。熱弁で2時間以上、休憩なしで
誰も居眠りなしで聞き入るセミナーでした。

サブタイトルにある、「今すぐできる」は「ビジネスブログを始めよう」という提案と
解釈しました。私も八王子商工会議所に依頼、エキスパートバンクというシステム(東京都内の商工会議所なら申込み可能と思います)で竹内先生が来店、個別指導のアドバイスから「ビジネスブログ」をこのように始めた次第です。

竹内先生、ありがとうございました。

竹内先生のブログ (読者の方で、もう知っていたら余計なお世話でした)
http://blog.goo.ne.jp/2300062/

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印鑑の文字(6) 縦書き、横書き、斜め書き

2008年09月10日 | 印鑑の文字

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こんにちは。東京、八王子で印鑑を作っている職商人(しょくあきんど)の平澤 東(とう)です。

昨日、9月9日は「救急の日」救急業務や救急医療について一般の理解と認識を深め、救急医療関係者の士気を高める日。と、記念日の説明にありました。

それよりも、私には「重陽の節句」の方が先に頭に浮かんできます。奇数は古くから「陽」の数で、その「陽」の数の最高値「9」が重なって「重陽」です。菊の節句とも呼ばれ菊を飾ったり、菊を浮かせて酒を楽しんだとか。


今日は、印鑑の篆書(てんしょ)の文字の並べ方、について書いてみます。
まず、縦書き。
上から下に読むので読みやすいですね。ただ、見本字の「田島」の「田」は狭苦しくありませんが、横線の多い「島」は窮屈(きゅうくつ)な感じがします。漢字は横線が多い文字なので、縦書きにしたスペースに画数の多い字が来ると、狭苦しくなります。



2番目は、横書き。
縦書きの時にあった、「島」字の狭苦しさはなくなりました。
印鑑の場合、縦書き文書の最後に押したという慣例から右から左に読みます。理屈をいえばこれも縦書きで、1つの行に1文字のみ、それが2行になっている、という解釈もあります。この作品だと、普通は左から読むので「島田」と読んでしまう可能性も十分あります。見本にこの「田島」を選んで作ったのはこんな理由からです。苗字によって、2文字を右から読んでも左から読んでも、両方の苗字が存在すること、ままありますね。「田中」さんと「中田」さん。「川本」さんと「本川」さん。「山下」さんと「下山」さん、などなど。



3番目は、斜め書き。これは右上から左下に読みます。「田島」がすんなりと読めるのではないでしょうか。しかも、「島」字も楽に印鑑の中に納まっています。漢字のスタイルも人のスタイルと同じで、スマート、背が高い、足が長い、が格好いいものです。



日常、接客をしていて、お客様のお名前が画数の多い場合、横書きか、または斜め書きを
ご提案しています。狭苦しくない文字の印鑑は、長く使い込んでも朱肉の目詰まりも来にくい利点があります。

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