虹色雑談

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「ライダー」の名の意味 その1

2007-09-02 21:40:50 | ヒーロー

 最近もえたんの影響か、英和辞典を開く機会がありました。そこで「ride」の意味を調べてみました。「仮面ライダー」の存在で、我々が「ride」で真っ先に思いつくのが、「(バイクに)乗る」という意味です。僕が持っている新英和中辞典(研究社)だと、バイクなどの乗り物に「乗る」という意味は他動詞の1項目目に乗っていますが、問題は「乗る」対象です。その対象は馬、自転車、オートバイ、バス、そして列車です。ちなみに車など中に入り込む乗り物の場合は「drive」、飛行機の場合は「fly」が使われます。その他、交通機関に乗客として乗る場合、「ride」は通例的に使われます。ここで注目すべき点は乗る対象に「列車」が入っているということ。そう、現在放映中の「仮面ライダー電王」のメイン要素がまさに列車。放映前はデンライナーがクローズアップされ、「史上初列車に乗る仮面ライダー」として各マスメディアでも取り上げられ、電王はバイクには乗らないのかと、ファンの間で物議を醸しましたが、結果的にデンライナーの操縦席を兼ねるバイク、マシンデンバードが登場し、騒ぎは沈静化しました。しかし、英単語「ride」の「乗る」対象に「列車」が含まれているということは、例えバイクが登場せずとも列車を操る電王は「仮面ライダー」という名前が実はぴったり適用していたのです。これまでもバイクに乗らないのに「ライダー」とついたライダーが数多くいました。そこで今回は、英単語「ride」の意味を様々な面から見つめ、バイクを持たない仮面ライダーに「ライダー」と名乗れるかどうかを検証してみようと思います。

 まず最初に英単語「ride」の意味をずらりとならべてみましょう。以下に並べる意味は、新英和中辞典(研究社出版、1995年)より抜粋し、要約したものです。
1a.馬に乗る、乗馬する
1b.馬に乗っていく
2.(乗り物に)(乗客として)乗る、乗っていく
3a.(・・・の上に)馬乗りになる、またがる
3b.(波などの上に)乗る
3c.(人気、成功などに)乗る
4a.(船などが)浮かぶ、停泊する
4b.(月、太陽が)天にかかる
5a.(馬、乗り物などが)(・・・に)乗れる、乗り心地が(・・・で)ある
5b.(走路が)乗り具合が(・・・で)ある
6a.(・・・に)(支えられて)動く
6b.(・・・に)寄っている、かかっている
7.(折れた骨、印刷などが)重なり合う
以上が自動詞。
1a.(馬、自転車、オートバイ、バス、列車などに)乗る
1b.(馬、自転車、オートバイ、バス、列車などに)乗って(・・・へ)行く
1c.(騎手が)(馬に)乗る
2a.馬[自動車]で(道、場所などを)通る、渡る、越す
2b.馬(など)に乗って(レースなどを)行う(争う)
3.(人を)(・・・の上に)乗せる、馬乗りにさせる、乗せていく、乗せて運ぶ
4.(船、鳥などが)(・・・に)浮かぶ、乗って運ばれる
5.(特に重なるようにして)(・・・に)かかる、乗っている
6a.(・・・を)支配する、圧制する、悩ます、苦しめる
6b.(人を)からかう、いじめる
7.(雄の動物が)(交尾のために)(雌の動物に)乗る
8.(後退などして)(パンチを)もろに食わないように受ける
以上が他動詞。
あとは別の単語などと組み合わせる文節などがあるので、純粋に「ride」の項目に乗っているのは以上25通りです。これらの意味から「仮面ライダー」の名の意味を検証していきます。

 まずは初のバイクを持たないライダー、「真・仮面ライダー序章」より仮面ライダー・シンです。真は原作者・石ノ森章太郎氏の「仮面ライダーの真の姿を描きたい」という意向から企画された作品、故にその変身は強化服が覆い被さるものではなく、純粋に肉体変化です。ブラックは肉体変化の上に強化皮膚が被さりますが、シンは肉体変化してそのままです。物語ラストで彼は「MASKED RIDER」というコードネームをつけられ、狙われる身となりますが、これはシンこと風祭 真がオートレーサーだったことからつけられたと推測されますが、あの時点ではシンはまだバイクを戦闘に用いていません。もしあのままシリーズ化していたら、強化服を纏ったり、専用バイクを手に入れたりもしたでしょうが、それらは結局「if」の展開、現状確認出来る物語においてシンが変身後、バイクを戦闘や移動に用いた描写はありません。では、彼を「ライダー」と呼ぶにはどの意味の「ride」を当てはめるべきか。真は物語終盤で全てを失います。愛する人も、父親も・・・。しかし恋人・愛の死後、彼女の胎内のミュータント・ベビーは真に進むべき道を指し示します。まるで全てを失った彼を支えるかのように・・・。ミュータント・ベビーに支えられ、真は新たな戦いへと歩き出す・・・、この解釈ならば、自動詞の項目6a、「(・・・に)(支えられて)動く」が適用され、彼はバイクに乗らずとも「ライダー」という名が適用されます。
 続いて「映画・仮面ライダーアギト PROJECT G4」より仮面ライダーG4です。初の映画限定ライダーとして話題を呼びましたが、劇中G3-Xのような専用バイクを持った描写はありません。かといって、G4の一連の設定や動向を観察しても、上記にあげた項目に該当するものがありません。ギリギリなのがG3-XとG4、生と死の戦士の争いという解釈に基づく他動詞の項目2b、「争う」がありますが、これは前提が「馬(など)に乗って(レースなどを)・・・」とあるので、残念ながら適用されません。従って、G4は「仮面ライダー」という名が残念ながら適用されません。
 続いて「仮面ライダー龍騎」の13ライダーたち。劇中にはミラーワールドへの移動手段としてライドシューターというマシンがあるので、全員使用していれば適用されるでしょう。しかし、劇中確認出来る限りだと、全員使用している描写がなく、しかもちゃんとしたバイクを使用しているのは、龍騎とナイトのダブルサバイブのみです。ここで注目すべきなのが他動詞の項目6a、「(・・・を)支配する」です。そう、ミラーライダーたちはカードの力でモンスターと契約、そのモンスターの力を使役しています。つまり、「モンスターを支配する仮面の戦士」という意味合いで、龍騎の13ライダーは全員「仮面ライダー」という名が適用されることになります。
 「映画・仮面ライダー555 パラダイス・ロスト」に登場した仮面ライダーサイガと仮面ライダーオーガ。彼らは帝王のベルトで変身する、スマートブレインの切り札的な存在です。注目点は「帝王」です。これは同じく他動詞の項目6a、「支配する」そして「圧政する」に繋がります。事実映画の設定だと、人類のほとんどがオルフェノクとなり、人間はその圧政に苦しんでいます。つまり、「帝王」=「支配する者、圧政する者」の意味で、サイガとオーガにも「仮面ライダー」の名が適用されます。

 長くなりそうなので、ブレイド以降の考察は近日中すぐにでも。