墨汁日記

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平マ 267『マダム侵入』

2007-02-22 20:44:25 | 

 その頃、作者から死神の暗殺を命令されたマダムは途方にくれていた。『平成マシンガンズを読んで』の本編の世界に侵入したまでは良かったのだが。

「死神が何処にいるのかわからん」

 だが、マダムはこんな事ぐらいで諦める女ではない。ちゅーか、むしろ諦めは悪い方。てか、諦め方を知らない女だ。

 ピカッ!

 マダムの頭の電球が点灯した!

「そうだ。
 思い出した。
 私は占い師。
 占いの『マダム protozoa 』。
 失せ物から心の秘密、前世までなんでもござれ。
 占いで明かせぬ謎は無い。
 では、よし。
 今回は『木の根で転げた占い』!
 いでよ!
 ブログペットのこうさぎ『おいし』!」

 ピカッー!

 無駄な落雷とともに、マダムの召還獣である『こうさぎのおいし』が現れた。マダムはおいしに言う。

「わたし、ここ置く。
 ここに置いたこれ。
 これは木の根っこ。
 おまえ、転げる。
 この木の根っこで!
 オーケー?
 ラジャー?」

 おいしは首を振る。

「今日は腰が痛いから転げたくないと!
 でも、お前が転げてくれないと占いできない。
 占い出来ないとわたし困る。
 お前の転げ方で死神の行き先を占えるのに、転げないと占いできない。
 え、転んで怪我したら労災はきくのかだって?
 たぶんウサギに労災は適用されない。
 適用されても、せいぜい『動物保護法』だろう。
 じゃあ、イヤだって。
 生意気だなおまえ、畜生のくせに!」


平成マシンガンズを読んで 266

2007-02-22 20:07:28 | 

 大人の話によると、大人達が子供の頃には駅員の人がいちいち改札を通る人の切符を全て確認して、パチパチ切符にパンチをいれていたらしい。
 自動改札を通る度にその話を思い出して、いつもすごいなぁと思う。
 その頃の駅員さんはみんな、今の人にはもうきっと真似も出来ないような、すごいテクの持ち主だったに違いない。世の中が機械化される事により『匠の技』はどんどん消滅していってしまうんだなぁと思う。

 思いながらも、死神がくれた切符を自動改札に差し込むと、シュルンと飲み込まれてピュンてなかんじで向こう側に出てくる。
 面白い。
 自動改札は好きだ。『スイカ』はアクションがなくてつまらない。

「自動改札は好き」

「変なもんが好きなんだな」

 死神が答える。
 それと同時に駅舎内にある踏切がいきなりカンカンと音をたてて閉まりかけた。死神はあせって走り出しかけたが、私は死神のシャツの裾を引っぱって言う。

「大丈夫。踏切が開いてからでも余裕で乗れるから」

「さすが地元。西武線のプロだな」

「えへへ」

 なんとなく誉められて嬉しくなる。

 電車に乗り込むとクーラーがきいていて涼しい。ホッとひと心地つく。この時間の西武線はガラガラで、2人とも適当に座ったら、2人の間にだいたい1人分のスペースがあった。

 死神が言う。

「まぁ。アイドルは良いよ。テレビに出れば必ずアイドルになる」

「そ、そうかなぁ?」

「テレビも新聞も雑誌も、けして放っておけなくなる!」

「いやぁー、うそぉ。ソコまで言ぅかぁ!」

「その為には、ちゃんとやる事をやらないとな!」

 そうだった。
 私達はこれから『お笑い』に挑戦するのだ。
 ピンポイントに確実なツボをつき、視聴者の印象に残るようなギャグを披露しない事には、私のアイドル人生は訪れない。可愛いだけで生き残れるほど芸能界は甘くないのだ!

 死神は言う。

「テレビの生放送中に『子供達の復讐』を実行する。
 収録を観にきた観客をそのマシンガンで惨殺するのだ。
 そして、あんたは『復讐』の象徴としてカリスマ的アイドルとなるだろう。
 明日の新聞の1面記事は、全てあんたの記事で埋め尽くされる!」

「え?」