その日、台風上陸により60番横峯寺への登山バスが全日運休しました。
かっちりとお遍路の予定を詰めていた私には想定外の出来事。
その後の予定を変えることができないのなら、横峯寺まで歩くしかありません。
道路には雨水が川のように流れ、道伝いに流れる川も増水していました。
山々や海を見下ろしながら、歩くも歩くもなかなか辿りつかず、足も棒のようになって思うように動かず、明るいうちに下山出来ないかも?という不安に駆られながらも、前に進むしかありませんでした。
車も通りません。
やがて絶望的だった私の前に1台の車が現れ、私の前に停まって下さいました。
レンタカーで逆打ち遍路のSさんには、心から感謝しています。
親切に61番香園寺まで送って頂き、お別れするときファザードを出して頂いたのが印象的でした。
Sさん本当にありがとうございました。
そんなわけで、私にとって61番香園寺は印象的なお寺となりました。
さて、香園寺は用明天皇(在位585〜87)の病気平癒を祈願して、皇子である聖徳太子が建立したと伝えられています。
子安大師堂には、背中にゴザ、右手に錫杖、左手に赤ん坊を抱いた大師の姿があります。
本堂と大師堂は、今まで見たことがないような近代的な建物で、大変驚きました。
1階で靴を脱ぎ、2階に上がります。
写真がボケてしまいましたが、建物内は中ホールのような雰囲気です。
これもまた、インパクト大ですね。
納経帳を頂くとき、お寺の方に「横峯寺へは今日行かれたんですか?」と尋ねられました。
聞くところによると、横峯寺はかつて地すべりが起きて、半年ほども孤立したそうです。
その時はヘリコプターで食料を運んだとか。
そのため、安全対策として、登山バスが運休したのだとか。
また、21番太龍寺、66番雲辺寺への2つのロープウェイも運休したそうです。
次の62番へは、小走りなら間に合いそうでしたが、その日宝寿寺の納経場は一日休んでいるとのこと。
四国霊場ではありえないことです。
他のお遍路さんたちも困っているのだろうと考えると、私は苦しいところを助けて頂いたりして、恵まれていると思いました。
その日は64番で終わる予定でしたが、その分明日頑張るしかありません。