『すえっこOちゃん』エディス・ウンネルスタッド作 ルイス・スロボトキン絵 石井桃子訳
フェリシモ出版1955年(原書初版) 2003年(翻訳復刻版)
シリアのこととか、書きたいことは山ほどあるのだけれど、『今日の一冊』は、ほっと一息つけるほっこり児童文学。
たまに、こういう文学がむしょうに読みたくなります。安心できて、あたたかいものが流れてくるの。
スロボトキンの挿絵も、主張しすぎず、でも想像をかき立てるには十分ですごくイイ。
雰囲気的には、リンドグレーンの『やかまし村』やハムズンの『小さい牛追い』に通ずるかな。
«『すえっこOちゃん』あらすじ≫
Oちゃんは、いま五歳。スウェーデン・ノルチェピング市にある古めかしいアパートに住む、ピップ=ラルソン家の七人きょうだいのすえっ子です。なかなかおませで、おにいちゃんやおねえちゃんがやることは自分もやってみたいという年ごろ。それでいつもまわりのきょうだいやおとなたちを楽しませています。楽しませるなんてつもりは、Oちゃんにはないのですけどね。さて、Oちゃんはいったいどんなことをやってくれるのでしょうか…?小学校1年生以上~大人まで。(BOOKデータベースより転載)
【ここがポイント】
・大家族って素敵!大家族をちょっと味わえる(7人兄弟!)
・Oちゃんの言動がとにかくカワイイ
・子どもの不可解な言動は、フムフムこういう流れなのか、と自分の幼い頃を思い出させられる
・低学年の子への読み聞かせにも
・あとがきにある、もともとの共訳者故下村隆一氏と石井桃子さんのエピソードも泣ける
Oちゃんが適当にかけた電話が縁で、家に子犬がやってきたり、長女のデッシの卒業試験合格を、みんなでお祭り騒ぎでお祝いしたり、ちび兄ちゃんと自分たちの小さなおうちを作ったり。
私のお気に入りは、サワーミルクの中でもカエルが泳げるかな?と思って浮かべたら、お母さんに怒られてしまう場面。
子どもの頃、こういうのあるある!なんで、怒られるのかワカラナイのね。
ちび兄ちゃんとじゅうたんを身体に巻き付け、ぶらんこをラクダに見立てて自分たちがアラビア人の隊商になる場面もお気に入り♪
こういうごっこ遊びって、めちゃめちゃワクワクしたなあ。
幼い頃のワクワクがぎゅっと詰まった物語。
幸せな幸せな子どもの文学。
ああ、Oちゃんに出会えてよかった、ピップ=ラルソン家と知り合いになれてよかった、そんなことを思える一冊です。