『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

りんごの季節がやってきた♪

2016-09-28 23:42:21 | 絵本


『エレンのりんごの木』カタリーナ・クルースヴァル作・絵 ひだにれいこ訳 評論社


なんだか蒸し暑さがカムバックの日々ですが、それでもりんごの季節がやってまいりました~。我が家子どもと私が紅玉に目がないのですが、宅配で今年初の紅玉を箱買いしました♪ 紅玉のあの酸っぱさと小ぶりの可愛さがたまらないんですよね~。アップルパイ焼きたいなあ、と思うそばからどんどん子どもたちが丸ごとそのままのりんごに手を出していき、ものすごいスピードでなくなっていきます

さて、そんな我が家に新しく加わった絵本が「エレンのりんごの木」。誕生日にMMちゃんからいただきました、ありがとう
私はいわゆるスタンダードと呼ばれる、3世代読み継がれる古典的な絵本が好きなので、2000年以降に出版されたものはあまり知らなかったりする。なので、新しい絵本と出会えるのはとても新鮮でワクワク

もうね、木がテーマの絵本はどれもこれも大好きなんです。自分の中にも居場所の木ができるというか、妄想の中でかなり遊べる(笑)。子どもたちも木の絵本を読めば「いいなー、いいなー!」を連呼。・・・いや、君たちかなり木登り実際にしているほうだと思うけれど・・・!?でも、“自分の木”っていうのに憧れるんだろうなあ、って思います

この絵本のエレンと近所のオッレはいつも庭にあるりんごの木に登るのが大好き。ほかに砂場もおもちゃがいっぱいの遊び小屋も大きな石もあるけれど、それより断然りんごの木!春は真っ白く咲いた花の中に、夏はまるで緑の洞穴のようで、秘密の隠れ家となるりんごの木。当然収穫の時期はワクワク楽しくて。スウェーデンハウスの絵も楽しい♪



そんな“居場所”であるりんごの木がある日雪で倒れてしまうんですね。木が出てくる絵本はたいていプロット(物語の筋)は同じで、死と再生のテーマが隠されてます。だから、木が折れちゃう。最初は認めたくない。でも、受け入れるしかないんですね。そして、そこに新たな命を紡いでいく・・・。

MMちゃんに昨年誕生日にあげた本も同じテーマでした。同じスウェーデンの絵本で訳者さんも同じ(笑)↓



オーサ・メンデル=ハートヴィッグ作 アネ・グスタフソン絵 ひだにれいこ訳 光村図書

こちらは2015年出版。在庫分売れたらそのまま絶版になりそうだな

木って不思議です。どっしりそこに根をおろしていて、動かないので家のようでもあるのに、花子とアン風に言うならば“想像の翼”を広げてくれる。木に登れば木が色んなところに連れて行ってくれるんです。実際に木登りできなくても、絵本を通じて心の中に自分の木を持っていたいなあ、と思うのです