『今日の一冊』by 大人のための児童文学案内人☆詩乃

大人だって児童文学を楽しみたい、いや、大人こそ読みたい。
ハッとする気づきのある絵本や児童文学をご紹介♪

ケーキの絵本

2016-02-11 23:25:23 | 絵本
 三男の三歳のお誕生日を通っている青空自主保育でお祝いしていただきました。
緑の木々とあたたかいまなざしに囲まれて、田んぼの前でイチゴの豆腐クリームタルトをいただく。
な~んて贅沢なのでしょう

絵本にケーキが出てくるとそれだけでもう大人気間違いなし。
ケーキが出てくる絵本はたくさんあるけれど、特に好きなのがこの2冊↓


 『かみなりケーキ』(作・絵 パトリシア・ポラッコ)

明るく楽しいというよりも、ちょっと暗さ漂うのは女の子の雷への恐怖心のせい???
ケーキ作りを通じて、雷への恐怖心に打ち勝つ克服物語。また、おばあちゃんとの思い出の物語。
食と思い出って、もうそれだけでこみあげてくるものがある。
雷の鳴る間隔で近づいてくる距離をはかり、音が鳴るたび材料を外に取りに出るので、ハラハラします。トマト入りのケーキを作るには違った意味の勇気がいるけれど、最後にレシピも載っています♪雷が鳴ればいつもこの絵本を思い出し、この女の子とおばあちゃんの思い出は、また私の思い出にもなっていたのでした。



『ケーキやさんのゆうれい』(ジャクリーン・K・オグバン作 / マージョリー・プライスマン 絵)

こちらは絵も大好き!ちょっとデュフィを思わせる絵。
もうね~、こちらに出てくるケーキの美味しそうなこと!しかも次々と!たまりませぬ。
ケーキ屋を譲るまいとする幽霊になった元店主のおばあちゃんコーラ・リー・メリーウェザーが、強烈。豪快にめちゃくちゃにしてくれる。みな逃げ出していく中で、一人きちんと向き合おうとするのが黒人パティシエのアニー・ワシントン。

この二人のすさまじい取っ組み合いといったら、「彼は私のものよ!」なーんて髪の毛をひっつかみあう不倫女と妻のよう。(あくまでも私の勝手なイメージです
最高のケーキを作ったら、店を譲るというのが幽霊の条件で、大乱闘の末、毎晩毎晩夢のようなケーキが幽霊のために作られていくのですが、これが、まあ、ひたすら美味しそう
アニーの凛とした姿勢や自立心あふれる女性像は見ていてとっても気持ちがいい!この人好きだわ~そして、最後は不覚にもホロリ。そうなの、そうなの、結局は愛なの、み~んな愛されたいの、としみじみ思わせてくれる絵本です。大人にもおすすめ。