ウィトゲンシュタイン的日々

日常生活での出来事、登山・本などについての雑感。

イタリア大使館別荘記念公園

2009-05-23 21:46:39 | 登山(雑記)
半月山から下山した我々は、中禅寺湖畔に沿って走る市道1059号線を
中禅寺湖バスターミナルに向かい歩いた。
途中、昭和3年にイタリア大使館の別荘として建てられ
平成9年まで歴代の大使が使用していたイタリア大使館別荘を
「本邸」は、床板や建具・家具などをできる限り再利用して復原し
「副邸」は、往時の歴史を紹介する「国際避暑地歴史観」として整備した
イタリア大使館別荘記念公園があるので、立ち寄った。



まずは本邸に入る。
玄関ポーチから玄関ホールに入り、部屋に足を踏み入れると、前面の窓が印象的で
とにかく清清しく、かつ、ゆったりと落ち着いて心地よい空間がある。

書斎・居間・食堂がワンルームで仕切りがなく
中禅寺湖側はそれらに跨る広縁がある。

書斎には、大使の机が置かれ、テーブルには、イタリアと日本の国旗が飾られている。
暖炉を背にして椅子が4脚あり、若干小振りなものは女性用の椅子だということである。

管理をしている方の計らいで、椅子に座って写真を撮ってもらったが
登山スタイルのうえ、方やタオルを首からぶら下げ
方や被った帽子が脱げず(髪の毛がとんでもないことに
なんだか場違いな、イタリアには程遠い写真が撮れた

決して華美ではないが、パターンを変えた杉皮張りで
要所要所を竹できちんと押さえており、縁取りの効果もあって美しい。
杉や竹など、まさに日本の素材を使ってここまで美しく仕上げてあるのは
日本人ではないアントニン=レーモンドの設計であるからかもしれない。
人は、往々にして、身近にあるものの美しさや素晴らしさに気付かない

書斎・居間・食堂をつなげる広縁にはソファが置かれ、焙じ茶のサービスもある

相変わらず帽子を被ったまま、くつろぐ人が…

懐かしい形のドアノブ。

この鍵も。

食堂の奥の部屋は、湖を渡る冷涼な風が、午後の暑さを和らげるにはもってこいで
女性や子供の休憩室だったそうだ。

2階に上がると、大使の間と呼ばれる主寝室がある。
1階とは異なり、杉皮張りの模様も落ち着いた配置で、色も統一されている。



隣の寝室には、現在は歴代のイタリア大使の写真が飾られているが
かつては寝室として利用されていたようだ。

さらに隣の寝室。

この寝室の窓から眺めた中禅寺湖の景色は、えもいわれぬ美しさである。

そして、ちょうど玄関ポーチの階上に当たる部分は
スリーピングポーチと呼ばれる休憩室になっており、午睡をするためのソファがある。

本邸の外に出て、広縁部分を眺めると、外壁の規則的な変化と窓の絶妙の調和で
うっとりするような美しさだ。



本邸の北東には副邸があり、中禅寺湖に面した本邸とは趣を異にして
まるで森の中にいるような雰囲気を漂わせている。

現在は、国際避暑地歴史館として、暖炉や調度が残され
国際的な避暑地としてその名を轟かせた往時の様子が展示・解説されている。
下山後の寄り道であったが、管理をしている方のお話も大変面白く
たいそう豊かな時間を過ごせ、満ち足りた気持ちになった。


イタリア大使館別荘記念公園を後にした我々は
日光レークサイドホテルの湖畔の湯で汗を流した
湯元温泉から引湯しているというが、大変素晴らしい硫化水素泉だ。
浴場に入ると、外国人観光客と思われる女性が1人、先にシャワーを浴びていた。
立ったままシャワーを浴びていたので、座って使うのだと説明し
スリッパも履いたままだったので、脱衣場で脱いでくるものだと伝えた。
と書くと、会話が成り立っているように思うかもしれないが
本当に片言で、単語の羅列もいいところである
それでも理解してくれ(たように思え)て、別れの挨拶もできて
ちょっぴり嬉しい温泉の時間だった。

中禅寺湖バスターミナルでは、西に傾いた太陽に照らされる男体山を眺めつつ
帰途に就いた我々であった。





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