4月13日(木)、いよいよ吉野に行く日がやってきた。
4時30分に起き、ホテルでおにぎりと味噌汁で朝食を済ませ
身支度を整えて近鉄奈良駅に向かう。
せっかく奈良世界遺産フリーきっぷがあるのだから、近鉄を利用しようではないか。
6時33分近鉄奈良駅発の神戸三宮駅行き快速急行に乗り、大和西大寺駅で乗り換え。
ところが…
大和西大寺駅で乗り換えのため、隣のホームに行こうと階段を上がったら
うっ!タバコ臭い
なに?この臭さは。
サードハンドスモークじゃない。
…と、辺りをキョロキョロしたら、なんと駅構内に喫煙所があり
ひっきりなしに出勤前のオッサン(あえてこう呼ばせてもらおう)が出入りしている。
ゲロゲロ
これは臭いはずだ。
ううっ、こんなことならきっぷが使えなくてもJRを利用すれば良かったと後悔する。
慌ててホームに降りるが、いったん吸いこんだ煙で吐き気がしてきた。
さらに、橿原神宮前駅行きの電車の中もタバコ臭い。
喫煙所で目いっぱいタバコを吸ってきたオッサン達が乗り込んで来るからか?
どわ~ん
案の定、頭痛もしてきた。
なんだよ~、やっと昨日(12日)の午後から体調が戻ったと思ったのに
これで台無しじゃん
橿原神宮前駅で吉野駅行きの急行に乗り換えたが、車内はすし詰めではないものの満員。
吐き気はするし、頭はズンドコズンドコしている。
吉野駅までは行かなそうな高校生の前に立ち、座れることを祈る。
すると、福神駅で高校生は大挙して降りていき、吉野駅まで座ることができた。
座った後、一瞬気を失ったかと思ったが、気がつくと吉野駅に着くところだった。
3年半前に吉野に来た時、12月だったからか吉野駅で降りたのは2人のみ。
人と会ったのも上千本の高城山展望台で二人連れと会ったのみだった。
サクラの開花情報と3年半前の記憶を頼りに、この日はどこをどう歩くかが懸案だった。
できれば、人が少ない所を歩きたかったのである。
8時8分、吉野駅に着くと、それなりに人はいたが、まだ混雑している感じではなかった。
すぐ先の駐車場に、中千本公園行きのバスが停まっているのが見える。
時刻表によると8時40分発だが、既に人がたくさん乗り込んでいるようだ。
サクラの開花情報をもとに上千本には行かないと決め、中千本公園行きのバスに乗る。
バスは渋滞することもなく、山の上へと走って行く。
如意輪寺バス停で下車したのは3人で、そのうち1人は山の方へ向かって行った。
さあ、如意輪寺をスタートに中千本から金峯山寺、下千本へと歩こう。
如意輪寺の境内は、奉納植樹された桜の若木がたくさん植えられていて
そのなかを縫って行くと、いちばんの高台に秀麗な多宝塔が建っている。
如意輪寺から中千本公園へと抜ける道は、ちょうど良い散歩コース。
如意輪寺を歩いているうちに、吐き気も頭のズンドコも治まってきた。
3年半前に吉野に来た時、桜本坊の僧とロープウェイの駅員に
「遠くから来てもらって、ありがとさんです。今度は春においでください。きれいでっせ。」
と言われた。
まさかこの時期に来られるとは思わなかったが、確かにきれいだな
こりゃすごい
この辺りが五郎兵衛茶屋と呼ばれる中千本公園で、大勢の人が景色を楽しんでいた。
谷を隔てた向こうの斜面に、如意輪寺が見える。
中千本公園を抜けて舗装道路に出た所が、桜本坊の裏にある吉野山中千本バス操車場だった。
そのまま舗装道路をダラダラと行くと、勝手神社の前で道が合流した途端に人が増えてきた。
吉水神社は、「一目千本」と言われる中千本のサクラの景色をカメラに収めようと
大勢の人でごった返している。
これがその景色。
空が青かったらなと思う。
吉水神社の参道脇から眺められる、サクラと蔵王堂。
ク~ッ、絵になるねぇ~
参道脇には出店も出ていて、筍と椎茸の串焼きを買い食い
こちらは境内のシダレザクラと多宝塔が美しい東南院。
さあ、いよいよお待ちかね、金峯山寺の蔵王堂(本堂)で、蔵王権現様とご対面だ。
4月1日(土)から5月7日(日)まで、仁王門大修理勧進のため、蔵王権現が特別にご開帳。
拝観受け付けを済ませると、なんと、しおりとともにミニ木札がもらえた。
これはすごい
さらにすごいことに、靴を脱いで蔵王堂に上がる時
下足入れとして蔵王堂のシルエットと金峯山寺のロゴ入りエコバッグがもらえるのだ。
これは良い記念になる。
堂内に入り、跪いて蔵王権現を見上げると、巨大な三尊が青いお姿で見下ろしていた。
写真で見てもこの青さと大きさに加え、足を上げたお姿から発せられる迫力が伝わって来るが
実際に見上げると、東大寺の大仏より大きく感じられる(実際は大仏の方が大きい)。
そして、ここから内陣に設けられた「発露の間」での参拝を希望する人は列に並び
希望しない人は順路に従い進んで蔵王堂から出るようになっている。
「発露の間」は、内陣に畳半畳ほどを障子で仕切った場所が儲けられており
一組ずつ入って蔵王権現の前で心の内を打ち明け、懺悔するための部屋である。
せっかくの機会なので行列の最後尾に並ぶが、僧が1時間待ちだと案内している。
こりゃ大変と思ったが、30分ほどで順番がやって来た。
ドンドッドッドッドッドッドッ ドンドッドッドッドッドッドッ
太鼓の音が響き渡り、いかにも修験の総本山らしい雰囲気に包まれる。
ちょうど先頭にいたぴすけは、なんと中尊の真ん前の部屋に案内された。
うわ~、蔵王権現、かわいいな~
懺悔するための部屋であることを忘れ、見とれる。
「発露の間」での参拝は、蔵王権現から降り注ぐ何かを至近に感じられる。
ぜひ皆さん時間を遣り繰りして、「発露の間」に入ることをお勧めする
ゴーン
時間を告げる鉦が鳴り、「発露の間」を後にしてから、懺悔をしていないことに気づいた。
まあ、いい
蔵王堂の出口で、大和四神めぐりの散華朱印を受ける。
ヒャッホー
これで西大寺・室生寺・朝護孫子寺・金峯山寺の御朱印が揃い、成満だ。
蔵王堂を後にして南朝妙法殿や仏舎利宝殿に参ったら、脳天大神龍王院に行ってみよう。
はい、どんどん下る。
これでもか、というほど下る。
谷底まで下っているようだ。
これは帰りが大変だ
こちらが脳天大神龍王院。
首から上の守り神だということで、次から次へと参拝者がやってくるのには驚いた。
しかし、帰りは大変だと思った階段の上りも、予想よりは楽だった。
金峯山寺に戻ると一気に人が増えていると感じたが、境内の外はこんなものでは済まなかった。
金峯山寺から吉野駅までの道は、これから山を上がって来る人がほとんど。
3年半前は12月だったからか、ほとんどの店が閉まっていたのに、この時期は大繁盛。
時刻はまだ11時40分。
朝が早かったのでお腹が空いたが、どこの店も満席なので、あっさり帰ることを決めた。
銅の鳥居は俗界と浄界を隔てる結界で、菩提心(悟りを求める強い心)を起こす所とされている。
ぴすけは浄界から俗界に。
吉野駅まで歩く間、出店で筍の天ぷらを買い食い
下千本も、きれいじゃないの。
うひょ~
これから山を上がる人を尻目に、山を下りる。
どひゃ~
ケーブル乗り場まで、長蛇の列ができている。
うへ~
列は吉野駅まで続いていた。
道路も渋滞が起きているようで、自動車はほとんど動いていないように見える
渋滞になったら、バスは運行時刻などあてにならないのかもしれない。
平日でこれだから、サクラの季節の休日は、とんでもないことになるのだろう。
早起きして、良かった~
さて、これからどうしよう。
とりあえず、早く来た電車に乗ってから考えることにして
12時37分発の大阪阿部野橋駅行きの急行に乗ったのだった。
今年は桜の開花が例年より遅れ気味で、上千本より上は咲き始めたばかりでしたので、きっぱり行かないと判断したのも良かったのだと思います。
3年半前に奥千本から歩いて、どんな感じかつかめていたことも大いに役立ちました。
とにかく早い時刻に行ける所まで行って山を下りてくるのがいちばん。
あとは1年前からサクラの開花時期を見込んで、吉野に宿を確保すれば良いのではないでしょうか。
私の場合、サクラはおまけ。
目的は蔵王権現に会うことと散華朱印を受けることでしたので、見事なサクラはご褒美だと思って眺めてきました。
めくれ上がった上唇や、上向きの牙、ぷっくりと膨らんだ頬もかわいいんです。
でも、参拝している皆さんは、口々に怖いと話していましたよ。
仁王様も子供の時から大好きで、まだ幼稚園にも行かない頃に病院の帰りに母にせがんでお寺に行き、仁王様を見たがった変な子でした。
ダーリンは西新井大師の裏で生まれ育ったのですが、仁王様が怖かったらしいです(やましいことをしているからか?)。
さて本題。
金峯山寺の蔵王権現特別開帳は、今年は5月7日(日)までです。
行かれるなら、ぜひ発露の間でのご参拝をお勧めします。
仏さま、、いいですねやっぱり。
これは仏様のみならず、生きている我々人間の顔にも言えることだと思います。
自重自戒して、心して生きなければなりません。
顔に出てしまいますから。
最近の政治家の顔はひどい。
見るに耐えません。