本屋を訪れ,なんか面白そうな本はないかと物色していたところ,マニアックな雑誌を見つけました。
今回見つけたのは「
歴史読本」の2007年7月号。
「歴史読本」自体は毎月本屋の店頭で見かけ,今まで特に買おうとは思いませんでしたが,今月の特集は「
検証 後南朝秘録」というもので,個人的にたいへん興味のある時期の内容で,思わず買ってしまいました

みなさんも日本史の授業で,「
後醍醐天皇が建武の新政を行った」とか「
足利尊氏が室町幕府を開いた」という程度は学習されたと思いますが,この時期の歴史的,政治的背景はものすごく複雑で,公家と武家がそれぞれの思惑をもち,時には力を合わせ,時には裏切り…といった泥仕合が繰り返されていました。
その勢力抗争の結果,朝廷も京都の北朝と吉野の南朝に分裂せざるを得ませんでした。
天皇が北と南に二人存在した時代,
南北朝時代の始まりです。
室町幕府3代将軍足利義満(一休さんのときの将軍さまですね)の時期に,分裂していた北朝と南朝がようやく合一されますが,このとき南朝側は結果的に極めて不利な条件で講和に応じました。
その後,南朝の天皇の後胤,忠臣たちが,時の政府に対して遺恨を残すことになるのは当然の流れであり,これらの人々は,政府転覆を目論む者たちに何度もクーデターの旗印として利用されることとなりました。
この南北朝合一後の,日の目を見なかった南朝を歴史学上「
後南朝」と称するとのこと。
正直私も,昨年,吉川英治の「私本太平記」を読むまでは,この時代の背景というのははっきりとは把握していませんでしたが,読んでみるとものすごく深いものが潜んでいることがわかりました。
今回の歴史読本の特集は,この知識をさらに補完するのに非常に役立ちました。
この南北朝の問題は,当時の政治問題だけではなく,明治時代には教科書検定に端を発し,「南朝と北朝の天皇はどちらが正当だったのか?」といった政治論争に発展し,政府でも議論が紛糾,最後には明治天皇が「南朝を正統」とする「聖裁」を下して収束したといった事件や,昭和には自らが南朝天皇の末裔であると名乗る者が正当性を裁判で争うといった事件も発生しており,南北朝の争いが,いかに後の世にも影響を及ぼしているかがうかがえます。
これらのマニアックな事件の一部始終も収録されている今回の歴史読本!
興味のある方は是非ご一読ください