◆ TOKYOMX「ニュース女子」の差別報道
BPOに入権救済を申し立て (週刊新社会)
◆ 掟破りを
日本社会は、一度走り出したら止まることができない。
ひどいことをしてもどうしていいか分からず、なかったことにして見て見ぬふりを決め込む。やがて、いやこれは必要なんだとか、加害者側に立って無理やり理屈をこね始める。
その典型が歴史修正主義者だ。
沖縄と在日へのヘイトでは、現在進行形で犯罪行為が行われている。
高江と辺野古で起きていることは国家による無法行為であり、人権侵害であり、政治弾圧である。山城博治さんの不当な長期拘束などその典型だ。
しかし歴史修正主義者たちは、基地反対派は過激派で、東京から雇われて行ったのだという言説を振りまこうと必死になっている。
そうした政権の尖兵の一つが、TOKYOMXテレビの情報番組「ニュース女子」だ。
この番組は、新年1月2日の放送で、基地反対派は過激派のテロリストであり、彼らは金で雇われていて、操っているのは「のりこえねっと」の辛淑玉だ、辛淑玉は親北派で、どこからか金がジャンジャン集まり、それで反日活動をしているという趣旨の内容を流した。
現地取材もせず、「のりこえねっと」や私への取材も一切なく、デマと妄想だけで番組を作ったのだ。
しかも、笑いながらデマを垂れ流した。「死ね」「殺せ」のヘイトデモをする連中が、一様に笑いながら差別扇動をするのと同じである。
しかしこちらは、電波の枠が限られている地上波での放送だ。ネットに流れるデマなどとは訳が違う。
テレビで流されるのは、デマが社会的に公認されたことを意味するからだ。
この番組の司会者は長谷川幸洋(東京・中日新聞論説副主幹)。
彼は、放送直後に多くの人が指摘した問題には向き合わず、取材もしていない内容をそのまま正しいとして開き直り再度垂れ流した。
出演者は、共上和彦(軍事ジャーナリスト)、藤井肇(国際問題アナリスト)、武田邦彦(中部大学教授)、上念司(経済評論家)、須田慎一郎(経済ジャーナリスト)と、それらの男たちから解説を受ける女性タレントたち。
長谷川は、「発言に責任を持てなどと言われたら言論の自由はない」と、本当にジャーナリストなのかと疑いたくなる発言をした。
デマは言論の自由の対象ではない。
番組を制作したDHCシアターの親会社DHCの会長は、日本には在日が驚くほど住んでいて、日本のために頑張っている人は問題ないが、似非日本人はいらないという差別扇動を堂々とホームページに出している。
DHCシアターは、「のりこねっと」の抗議に対して、話を聞く必要はないと居直ったあげく、問題の放送をネットで公開し続けている。
多くのメディアが取材の有無を問題にしていたが、彼らは最初から取材などどうでも良かったのだ。ただデマを流せれば、それで目的は達成されたからだ。
これは、デマによって国民を洗脳し、国家にまつろわぬ者を国民の手で抹殺させるための、公開処刑の始まりなのだ。
1月27日、私は、BPO(放送倫理・各番組向上機構)に人権救済の申し立てをし、記者会見に臨んだ。
◆ 袋叩き状態続いている
TOKYOMXテレビのヘイト垂れ流し番組「ニユース女子」に対する抗議の記者会見が、沖縄と東京の2力箇所で合同開催された。
基地反対派は金をもらっている過激派だとしたこの番組に対して、沖縄からは池宮城紀夫(弁護士)、目取真俊(作家)、高里鈴代(平和市民連絡会共同世話入)、岡本由希子(平和市民連絡会)、安慶名奈々(名護在住)さんらが登壇した。
東京からは、私と「のりこえねっと」事務局長の川原栄一、弁護士の金竜介らが登壇した。
高江から40キロ以上も離れている二見杉田トンネルの前で、ここから先は危険で取材ができないと発言した井上和彦(軍事ジャーナリスト)の「現地取材」がいかにバカバカしいものか、そして、基地反対運動をしている人たちを貶めるために、どれだけウソを並べ立てれば満足するのか、番組への怒りが東京の会見場にも届いた。
番組の中では、ウチナーンチュを使って反対派を叩き、沖縄の人はみんな米軍が大好きで大多数が基地に賛成と、選挙の結果にも沖縄の民意にも反する放送をした。
この番組に出演していた「ボギーてどこん」こと手登根安則と我那覇真子は、右派のチャンネル桜沖縄支局の常連メンバーであ
る。
地元住民だという依田啓示という男性もその仲間で、彼は高江でヘリパツド建設に反対していた女性の顔をこぶしで殴りつけ怪我をさせた人物でもある。
そして、井上和彦とともに右派メディアの常連なのだ。
沖縄を叩くときには沖縄人を使う。このやり方は、まさに植民者の手法そのものだ。
目取真さんは、これが地上波の東京ローカル局で放送されたことについて、沖縄の問題に向き合うことで後ろめたさを感じたくないからだと、このような言説を支持する者たちの卑怯さを語った。
それにしても、ヘイトデマへの反証を叩かれた側がしなければならないというのは、私にとっても沖縄で声を上げている人たちにとっても、しんどい作業だ。
◆ 差別構造温存の責任 日本社会の悪癖である
記者会見後、NHKがニュースとして流し、朝日新聞も社説を出した。
沖縄2紙は徹底抗戦の構えで、「辛淑玉さんを支持する」と、その紙面で表明してくれた。闘いは、始まったばかりだ。
BPOの放送倫理検証委員会は、TOKYOMXテレビに対して番組について報告を求めたが、勧告が出るかどうかはまだわからない。
しかし、笑いながらデマを振りまき開き直っている輩を野放しにすることは、まさに言論への弾圧になる。
マイノリティは、いつも恐怖ゆえに沈黙を強いられるのだ。
すでに、私のホームページには、「さっさと帰れ」と書かれたメールが飛び込み、記者会見場に来ていたネトウヨの撮影した動画がユーチューブに流されていて、袋叩き状態が続いている。
あえて言う。
差別構造を温存している責任はマジョリティの側にあるのだ。沖縄の人や在日におんぶにだっこでは、到底社会変革などできようがない。
マイノリティは市民運動の下請けではないのだ。
日本社会の悪癖である「見て見ぬふり」をし続けていれば、最後はあなたの命をも奪われることになると、ここで明言しておく。
※詳細はここのアドレスに
http://www.norikoenet.org/top2
抗議文の下には、内容の検証の詳細とマスコミ報道など関連の情報が整理されています。
『週刊新社会』(2017年2月14日、21日)
BPOに入権救済を申し立て (週刊新社会)
のりこえねっと共同代表 辛淑玉
◆ 掟破りを
日本社会は、一度走り出したら止まることができない。
ひどいことをしてもどうしていいか分からず、なかったことにして見て見ぬふりを決め込む。やがて、いやこれは必要なんだとか、加害者側に立って無理やり理屈をこね始める。
その典型が歴史修正主義者だ。
沖縄と在日へのヘイトでは、現在進行形で犯罪行為が行われている。
高江と辺野古で起きていることは国家による無法行為であり、人権侵害であり、政治弾圧である。山城博治さんの不当な長期拘束などその典型だ。
しかし歴史修正主義者たちは、基地反対派は過激派で、東京から雇われて行ったのだという言説を振りまこうと必死になっている。
そうした政権の尖兵の一つが、TOKYOMXテレビの情報番組「ニュース女子」だ。
この番組は、新年1月2日の放送で、基地反対派は過激派のテロリストであり、彼らは金で雇われていて、操っているのは「のりこえねっと」の辛淑玉だ、辛淑玉は親北派で、どこからか金がジャンジャン集まり、それで反日活動をしているという趣旨の内容を流した。
現地取材もせず、「のりこえねっと」や私への取材も一切なく、デマと妄想だけで番組を作ったのだ。
しかも、笑いながらデマを垂れ流した。「死ね」「殺せ」のヘイトデモをする連中が、一様に笑いながら差別扇動をするのと同じである。
しかしこちらは、電波の枠が限られている地上波での放送だ。ネットに流れるデマなどとは訳が違う。
テレビで流されるのは、デマが社会的に公認されたことを意味するからだ。
この番組の司会者は長谷川幸洋(東京・中日新聞論説副主幹)。
彼は、放送直後に多くの人が指摘した問題には向き合わず、取材もしていない内容をそのまま正しいとして開き直り再度垂れ流した。
出演者は、共上和彦(軍事ジャーナリスト)、藤井肇(国際問題アナリスト)、武田邦彦(中部大学教授)、上念司(経済評論家)、須田慎一郎(経済ジャーナリスト)と、それらの男たちから解説を受ける女性タレントたち。
長谷川は、「発言に責任を持てなどと言われたら言論の自由はない」と、本当にジャーナリストなのかと疑いたくなる発言をした。
デマは言論の自由の対象ではない。
番組を制作したDHCシアターの親会社DHCの会長は、日本には在日が驚くほど住んでいて、日本のために頑張っている人は問題ないが、似非日本人はいらないという差別扇動を堂々とホームページに出している。
DHCシアターは、「のりこねっと」の抗議に対して、話を聞く必要はないと居直ったあげく、問題の放送をネットで公開し続けている。
多くのメディアが取材の有無を問題にしていたが、彼らは最初から取材などどうでも良かったのだ。ただデマを流せれば、それで目的は達成されたからだ。
これは、デマによって国民を洗脳し、国家にまつろわぬ者を国民の手で抹殺させるための、公開処刑の始まりなのだ。
1月27日、私は、BPO(放送倫理・各番組向上機構)に人権救済の申し立てをし、記者会見に臨んだ。
◆ 袋叩き状態続いている
TOKYOMXテレビのヘイト垂れ流し番組「ニユース女子」に対する抗議の記者会見が、沖縄と東京の2力箇所で合同開催された。
基地反対派は金をもらっている過激派だとしたこの番組に対して、沖縄からは池宮城紀夫(弁護士)、目取真俊(作家)、高里鈴代(平和市民連絡会共同世話入)、岡本由希子(平和市民連絡会)、安慶名奈々(名護在住)さんらが登壇した。
東京からは、私と「のりこえねっと」事務局長の川原栄一、弁護士の金竜介らが登壇した。
高江から40キロ以上も離れている二見杉田トンネルの前で、ここから先は危険で取材ができないと発言した井上和彦(軍事ジャーナリスト)の「現地取材」がいかにバカバカしいものか、そして、基地反対運動をしている人たちを貶めるために、どれだけウソを並べ立てれば満足するのか、番組への怒りが東京の会見場にも届いた。
番組の中では、ウチナーンチュを使って反対派を叩き、沖縄の人はみんな米軍が大好きで大多数が基地に賛成と、選挙の結果にも沖縄の民意にも反する放送をした。
この番組に出演していた「ボギーてどこん」こと手登根安則と我那覇真子は、右派のチャンネル桜沖縄支局の常連メンバーであ
る。
地元住民だという依田啓示という男性もその仲間で、彼は高江でヘリパツド建設に反対していた女性の顔をこぶしで殴りつけ怪我をさせた人物でもある。
そして、井上和彦とともに右派メディアの常連なのだ。
沖縄を叩くときには沖縄人を使う。このやり方は、まさに植民者の手法そのものだ。
目取真さんは、これが地上波の東京ローカル局で放送されたことについて、沖縄の問題に向き合うことで後ろめたさを感じたくないからだと、このような言説を支持する者たちの卑怯さを語った。
それにしても、ヘイトデマへの反証を叩かれた側がしなければならないというのは、私にとっても沖縄で声を上げている人たちにとっても、しんどい作業だ。
◆ 差別構造温存の責任 日本社会の悪癖である
記者会見後、NHKがニュースとして流し、朝日新聞も社説を出した。
沖縄2紙は徹底抗戦の構えで、「辛淑玉さんを支持する」と、その紙面で表明してくれた。闘いは、始まったばかりだ。
BPOの放送倫理検証委員会は、TOKYOMXテレビに対して番組について報告を求めたが、勧告が出るかどうかはまだわからない。
しかし、笑いながらデマを振りまき開き直っている輩を野放しにすることは、まさに言論への弾圧になる。
マイノリティは、いつも恐怖ゆえに沈黙を強いられるのだ。
すでに、私のホームページには、「さっさと帰れ」と書かれたメールが飛び込み、記者会見場に来ていたネトウヨの撮影した動画がユーチューブに流されていて、袋叩き状態が続いている。
あえて言う。
差別構造を温存している責任はマジョリティの側にあるのだ。沖縄の人や在日におんぶにだっこでは、到底社会変革などできようがない。
マイノリティは市民運動の下請けではないのだ。
日本社会の悪癖である「見て見ぬふり」をし続けていれば、最後はあなたの命をも奪われることになると、ここで明言しておく。
※詳細はここのアドレスに
http://www.norikoenet.org/top2
抗議文の下には、内容の検証の詳細とマスコミ報道など関連の情報が整理されています。
『週刊新社会』(2017年2月14日、21日)
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