どんっ

新入りのメタルスライムです。
ゴム製ですが・・
落とすとゴムボールのように弾んで
どこかに行ってしまいます。

レッスンを始めて1年位の生徒たちが
すぐに鍵盤から手を離して弾くので
このスライムを手の甲に載せてみました。
1回1回(一音一音)、この重いスライムが
手の上に載っていると思って弾いて、と。
ピアノの音が聞こえただけで本人たちは
弾けたと思い、手を離してしまいます。
教本を変えた時からこのような生徒はとても
多かったです。
ただ、指の支えがまだできていないこともあって
そうだった生徒もいます。
しかし、今回の生徒さんたちは、指は初めから
しっかりとしていて驚いたほどです。
ところが、この音を聴くことがなかなか
身に付かず、すぐに離してしまうので
重さが鍵盤上に載らず、結局音が鳴らない。
そうして迎えたのが1週間ほど前の発表会。
驚くほど音が聞こえず、教本を変えてから
この状態は初めてでした。
指がしっかりとしているので言えば音は鳴らせるのです。
ただ、自らそれをする意識は育っていない。
私の失敗だな、と思いました。
もうこの失敗はしたくないので、
徹底させようと決めました。
音を聴くことを知ってもらうことが一番ですが、
1年やってきてそれができていないということは、
この先もすぐには身に付かない可能性大です。
何か楽しいことで記憶に残そうと考え、
家にあったメタルスライムに登場してもらうことに。
使ってみましたら、初めてということもあり
思ったより鍵盤に手を載せておく意識を持ってもらえました。
発表会でその音で弾いたら全く別のものになっていたのに・・
です。

他にも使い道があったのが、
さんざん注意しても、なぜか次の音、
ひどい時はその次の音にまで指を置いて
手を広げたまま弾く生徒にでした。
ノンレガートからレッスンを始める利点は、
一音に腕の重さを載せることができることです。
それなのに、はじめから他の音に指を置いてしまっては、
スカスカの音になります。
それで1回1回スライムをひとつの鍵盤に
載せるように弾くと言って、一つ一つの黒鍵に
スライムを載せて見せました。
これを指でやるのだと。
そうしましたら指を広げて置かなくなりましたが、
きっと次には忘れていると思います。
話を本当に意識化させることは
子どものレッスンでも、大人のレッスンでも
骨が折れます。
あともう一つ、このスライムで使えたのが、
ピアノは上から弾くことが分からない生徒。
スライムを写真のように鍵盤の上に置いていき、
こうやって弾くのがピアノ、下からスライムを
よじ登らせるようには弾かない、と説明すると
そうだったのか、と思うようです。
これもどこまで理解できたかは本当の所は
わかりません。
不思議な音の国上巻でボールを使いますが、
その時に上から置いてもボールだからそうすると
思うのかもしれません。
人間の持つ感覚はそれぞれ違いますので、
特に子どもの場合は、説明してわかることは
まずありません。
体を使い、目に見えないものを教える難しさ。
目的の音楽にたどり着くのはずっと先だと感じます。