日々雑記

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集団的自衛権と解釈改憲ーーー各党の立場

2014-11-24 09:00:00 | 日記

集団的自衛権の問題について各党の立ち位置を先の国会の論戦から整理してみました。(1)集団的自衛権の行使を容認するかという問題と、(2)現憲法のもとで解釈だけで容認することが出来るかという問題の二点を中心に考えてみました。

【自由民主党】

(1)言わずと知れた集団的自衛権行使を容認し、推進する立場です。

(2)憲法の解釈は総理大臣が行うという立場。解釈改憲という以上に憲法無視の立場を表明しました。「最高の責任者は私。政府の答弁に対して私が責任を持って、私たちは選挙で国民から審判を受ける。審判を受けるのは、法制局長官ではない、私なんですよ」

(3)付け加えると、首相はいわゆる「新三要件」があるから全面的容認ではないと主張するが、「新三要件」に該当するか否かは「政府が・・・判断する」といい、何の歯止めにまならない。

 

【公明党】

公明党は与党協議の中でさまざまな抵抗をしているかのように報道されました。しかし結局妥協し7月1日の閣議決定を迎えました。

与党協議の公明党側の中心を担った北川一雄議員は「政府の恣意的な判断が入る余地はないということで理解したい。」「平素から日米間の緊密な連携が出来るようになる。そのことによってまさしく我が国を守る抑止力が向上してくるんだと私は理解している」などというようになり、閣議決定に繰り返し「理解」を示すようになりました。

それ以後の公明党から閣議決定への批判的見解は聞かれません。

 

【民主党】

(1)(2)新聞などでは反対の立場のように描かれることが多いようですが、細かく見ると意見は統一されていません。内容とは別に政府に対する対決のポーズは見せています。民主党議員の見解は少しずつ違いますが、それぞれの意見を載せておきます。

大野元裕議員は「私自身、個人的には、生存権を含む基本的法益をないがしろにしてまでも、今のがちがちの解釈を維持するべきではないと強く思っている。しかしながらプロセスには反対。」といいました。行使容認には賛成だけど、政府のやり方には反対ということでしょう。

小西洋之議員は「あなた(首相)の非常にゆがんだ、立憲主義を破壊する野望、それをこっぱみじんに打ち砕く」と首相の権力的な姿勢だけに攻撃の矢を向けました。集団的自衛権の行使容認自体には賛成ということでしょうか。

長島昭久議員「…集団的自衛権をめぐる我が国のスタンスが曖昧なまま時を浪費すれば、ガイドラインをめぐる実質協議の時間がどんどん減ることになる。…日米協同の抑止力も張り子の虎となる。」と早く決めることを要求し、行使容認をあおりました。

海江田万里代表も「国民の議論を無視して決めてしまうやり方には反対」と手続きについてだけ反対している。

海江田代表をはじめとして、手続きだけに反対して、行使容認を黙認する立場は危ういものに見えます。

 

【日本維新の会】(当時の党名でまとめました)

(1)4月16日に集団的自衛権行使容認の立場を決めました。

中丸啓議員は「同盟国である米国と連携しつつ、同盟の包括的な抑止力を強化すること、すなわち・・・・集団的自衛権の行使という同盟上必要な憲法解釈是正は当然かつ論理的ステップであり、絶対に避けて通れません」と主張しました。

集団的自衛権行使容認の立場は明確です。

(2)村上政俊議員は「『内閣法制局…を飛ばして内閣で閣議決定をしてはならない』(という意見は)、私からするとちょっと違うんじゃないか」といって、立憲主義を守れという意見に敵意を見せ、首相にすり寄りました。解釈改憲を認める立場も明確です。

 

【みんなの党】

(1)3月20日に松田公太議員が「心配無用かも知れま三けれども集団的自衛権、これ、ぶれずに、曲げずに、崩れずにやっていただきたい」、と主張し、4月4日には井上義行議員が「…集団的自衛権の行使容認、敵基地攻撃能力を保有できる国にしていくこと・・・政治の役割」といいました。

(2)閣議決定の後になっても浅尾慶一郎議員が「今までできなかったことを出来るという風に解釈することが、結果として日米同盟の強化になり、抑止力の向上になることだと思う」と安倍内閣の立場に完全に同調しました。

 

【社会民主党】

(1)  福島瑞穂議員は「アメリカが戦争するときに…日本はノーと言えなくなる。武力行使するのが当たり前の国になる。それは許さなれない。」と安倍首相の集団的自衛権行使容認論を批判しました。

(2)  さらに「日本国憲法下で集団的自衛権の行使は出来ない、これは法理論として変更できない」明確に批判しました。

(3)しかし一方で福島議員は「その点について言えば、私は谷垣さん(法相)に頑張ってもらいたい」といい、吉田忠智党首は「公明党のみなさんに、(与党協議の中で)最後まで頑張っていただきたい」など、与党内の矛盾の拡大に期待するような発言をして、見事に裏切られました。

 

【日本共産党】

日本共産党は集団的自衛権容認に対する徹底的批判者でした。

(1)集団的自衛権の行使に反対であること

(2)現在の憲法のもとで解釈によって、憲法の解釈による行使容認は認められない

という立場を貫いていました。

その上で集団的自衛権の行使容認とはどのようなことかを明らかにするように努め、国民の前にその危険性を示しました。その一端を紹介すると次のようなことがありました。

3月4日には、小池晃副委員長が「集団的自衛権とは、日本に武力攻撃が加わっていなくても(自衛隊の)武力行使が可能になることだ」と指摘し首相に認めさせました。山下書記局長は「集団的自衛権とは、『自衛』という文字が入っているが日本の『自衛』、アメリカの『自衛』とも関係ないもの」と主張しました。

5月の集中審議では志位委員長が質問に立ち、集団的自衛権の行使が容認された場合に、アメリカが起こした戦争に自衛隊が「戦闘地域」まで行って軍事支援を行うことに、これまでのような歯止めがないことを明らかにしました。井上哲士議員は、首相が「(機雷掃海は)受動的かつ限定的な行為」。「…敵地に攻め込んでいくというような行為とは性格を異にする」という言葉で言い訳したのに対し、さらに岸田外相に質問して「国連憲章上、武力の行使について、受動的あるいは限定的といった類型は存在しない」という答弁を引き出し、首相のごまかしを暴露しました。

7月の集中審議では、自衛隊が平たん活動に従事しているときに攻撃されたらどうするかと聞かれた小野寺防衛相が「考えすぎだ」という無責任な答弁をしました。

 

以上各党の見解をまとめてきましたが、簡単に言うと

1.自民党が行使容認を主張。それも解釈改憲で認める

2.公明党は自民党に反対するポーズを示したが、結局は完全に同調した。

3.日本維新の会、みんなの党は行使容認という点で自民党と一致している。

4.社民党は集団的自衛権行使容認にも、現憲法のもとでの解釈改憲にも明確に反対している。
しかし与党内の矛盾に期待するなど他力本願であり、頼りにならない。

5.日本共産党は一貫して集団的自衛権の行使容認にも解釈改憲にも反対してきた。また問題の本質を国民の前に明らかにする努力をすすめ、国民運動を進め得ようとしている。

 

 

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