松庵

シナリオライター
&絵コンテマンな
松浦の軌跡。

SF読みました(2日目)

2013-06-14 13:00:00 | 一般書籍で思うこと
シグマニオン―超限の闘争〈1〉
クリエーター情報なし
創芸社


『シグマ二オン』レビューの後半になります。
まず、非常に硬い印象なのですが、細かくみていくと、文字数は実はそんなに多くないことに気づきます。硬い文章だと感じるのは、翻訳を読んでいるような言葉の選び方によるところが大きいとみました。
そして何より視点です。最近のライトノベルで多いのが、主人公がイコール語り部であり、物語の世界を俯瞰しているというパターンです。
それに対して、本書は神視点です。
ナビゲーター役のキャラでもなければ、主人公でもない。もっといえば、小説の約束として著者の山野辺氏でもない。この作品世界の神です。

そして肝心のストーリーですが、こちらは実に簡単だったりします。
「軍の内部捜査機関に配属されたカイルくんが殺人事件に携わり、被害者の身元が判明するまでの間に関係した人々の記録」
といった感じです。
え? お前、四六判で250ページある小説を読んでそれだけかよ!?
という声もあるでしょう。
でも、考えてみてください。『戦闘妖精雪風』だって、
「凄い戦闘機のAIが自我に目覚めたよ」
っていう話じゃないですか。
なぜ、この作品はストーリー上の展開が多くないのか?
それはこの作品世界に関係する蘊蓄が、文章全体の半分くらいを占めているからですよ。
何よりわかりやすさが求められるライトノベルで、こうした短いエピソードを、細部まで詰めた設定で武装して世界観を伝えていく手法が成功するかどうかは、これからの評価や売り上げをみないとわかりません。でも、どんな読者層が形成されるのかは楽しみでもあります。
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