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OTIS RUSH/TOPS

2012-08-03 11:47:54 | 日記
とある場末のブルース・バー、
店主は私が入っても、挨拶をするどころが怪訝な顔で私を見ている。

「ビールください」

「そこの冷蔵庫から自分で出してきてくれ」

「おっ、オーティス・ラッシュですね…、知らないな、
なんてアルバムですか?」

「…トップスだね。」

これが私が初めて江古田倶楽部にいった時のマスターとの会話だった。



『OTIS RUSH/TOPS』

今でも、このアルバムは私のブルース・ギターの理想である。
オーティス・ラッシュの代表作でもあると思う。

私にとってブルース・ギターは「間合い」に尽きる。それ以外はない。

普通ギターは上に太い弦があって下に行くにしたがい細い弦が張られて
いるものなのだが、この人の場合、右利き用のギターをひっくり返しただけ、
つまり1弦(いちばん細い弦が)が上にある。

いわゆるレフティー、アルバート・キングもそうだが、このレフティーには
ある種のハンディーキャップというか、特有の間合いがあって、
ギターを弾く人はわかると思うが、これが半端ではなく難しい間合いなのだ。
右利きのギタリストはこの恐ろしく長い間合いを埋めて行こうとする心理が
働いてしまうもののようだ。そういう意味では根性も必要だ。
自分としてもどうしてもこの間合いをモノにできなかった。つまり根性がない(笑)。


ともかく初めて江古田倶楽部にいった日からぐでんぐでんに酔っ払ってしまったのだが、
帰り際にマスターが、

「お前、ブルースやりたいのか」

「はい、やりたいです。」

「だったら毎日6時頃にここに来い、8時からは込んでくるからな…。
そして8時に帰れ、ここにある、どれでも好きなレコードもっていけ。
ちゃんと次の日に返せよ…。」

という。

それから私のブルースが始まった。

思えば、あの場所がいつも最初だった。
本名さんの音楽を聴いたのも、ゆうぞうさんやしんじろうさんに会ったのも。
しずおかさんやえんぞうさん、アイさん遠藤さん、大ちゃんコバちゃん、
オギちゃんにあったのも。

初めて江古田倶楽部に行くようになってからもう20年、
今、自分はもう一度、あの時の初心を思い出したい。

『OTIS RUSH/TOPS』を聴きながら、そんなことを考えた。


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