親の背中をみて子が育つというが、
二歳にもならない息子をもつ私が、それを実感することなどあろうはずもない。
(……)
まだ私が20代後半の頃、ある友人のさそいでライブを観に行った。
伝説のアナコンダ。私の友人はドラマーだった。
前座のバンドがムチャクチャで、ライブの最後に機材をぶん回すわ、
ドラムの上に上がるはで、演奏も態度もあまりに最低の奴らで
記憶になんにも残っちゃいないのだが、その後で、ドラムのセッティングを
する友人がぶつぶつ文句をいっていたのは覚えている(笑)。
ともかく、その後に登場したアナコンダ、こいつらが凄かった。
圧倒的な迫力、歌唱力のヴォーカルのコイケココロー、
シンプルなビートを爆音で叩きつける、ドラムのクマガイ(友人)、
堅実で、正確なベース(思うに彼がいちばん大人だったな…)
そしてギターのコウスケ…。
特にコウスケのギターには、正直体に電流が流れるくらい衝撃をうけた。
破天荒で、感性のおもむくままに弾いている感じなのだが、出てくる音の
キレ、タイミングのよさ、そしてなによりもあの「はっちゃけ感」…。
音が抜け出てきた時の幸福度の高さ。
とにかくすごい奴らがいたもんだと思ったものだ。
(……)
時は流れて、私は北澤孝一さんという、唯一無二、最高のドラマーと
ご一緒させていただくことになった。
お名前はきいていたのだが、ちょっとあまりに偉大すぎて、まさか
一緒にやれるなんて夢にも思っていなかった。
私がずっと20年間追いかけまわして、ようやく「いっしょにやろう」と
声をかけてもらった本名カズトさんのバンド「本名カズトTrio」に
なんと北澤さんがゲスト・ドラマーとして参加されることになったのだ。
始めてのリハ―サルは正直かなり緊張した。
しかし、その緊張が幸福感にかわった。
「ラブレター」(私のフェイバリットトップ3に入るくらい好きな歌だ)
をやっていた時に、北澤さんのシンバルがビシーッと抜けてきた。
きたーーー!!!!(脳内エンドルフィンがグワーッと背中を流れた)
うわー、すげー…。震えた、一緒にあわせていて涙が出そうになった。
(……)
北澤孝一さんはドラムで、コウスケ(北澤さんの息子)はギター、
手にする楽器はちがうのだが、あの「はっちゃけ感」が同じなのだ。
音が抜け出てきた時の幸福度が半端ではないのだ。
コウスケ君とは、たまに同じイベントで一緒になるのだが、
彼を観ていると、いつも孝一さんを思い出すのはそういうところなのだろう。
ロックもブルースも「継承の音楽」であるといわれる。
私たちが先人から受け継ぎ、また後進に伝えていかなければならないことは、
まさにこうした「ときめき感」なのだと思う。
いささか「こんまり」のような言い回しをしてしまった。
ともかく、私は息子のために部屋の整理整頓をしよう…。
翻訳会社オー・エム・ティの公式ウェブサイト
二歳にもならない息子をもつ私が、それを実感することなどあろうはずもない。
(……)
まだ私が20代後半の頃、ある友人のさそいでライブを観に行った。
伝説のアナコンダ。私の友人はドラマーだった。
前座のバンドがムチャクチャで、ライブの最後に機材をぶん回すわ、
ドラムの上に上がるはで、演奏も態度もあまりに最低の奴らで
記憶になんにも残っちゃいないのだが、その後で、ドラムのセッティングを
する友人がぶつぶつ文句をいっていたのは覚えている(笑)。
ともかく、その後に登場したアナコンダ、こいつらが凄かった。
圧倒的な迫力、歌唱力のヴォーカルのコイケココロー、
シンプルなビートを爆音で叩きつける、ドラムのクマガイ(友人)、
堅実で、正確なベース(思うに彼がいちばん大人だったな…)
そしてギターのコウスケ…。
特にコウスケのギターには、正直体に電流が流れるくらい衝撃をうけた。
破天荒で、感性のおもむくままに弾いている感じなのだが、出てくる音の
キレ、タイミングのよさ、そしてなによりもあの「はっちゃけ感」…。
音が抜け出てきた時の幸福度の高さ。
とにかくすごい奴らがいたもんだと思ったものだ。
(……)
時は流れて、私は北澤孝一さんという、唯一無二、最高のドラマーと
ご一緒させていただくことになった。
お名前はきいていたのだが、ちょっとあまりに偉大すぎて、まさか
一緒にやれるなんて夢にも思っていなかった。
私がずっと20年間追いかけまわして、ようやく「いっしょにやろう」と
声をかけてもらった本名カズトさんのバンド「本名カズトTrio」に
なんと北澤さんがゲスト・ドラマーとして参加されることになったのだ。
始めてのリハ―サルは正直かなり緊張した。
しかし、その緊張が幸福感にかわった。
「ラブレター」(私のフェイバリットトップ3に入るくらい好きな歌だ)
をやっていた時に、北澤さんのシンバルがビシーッと抜けてきた。
きたーーー!!!!(脳内エンドルフィンがグワーッと背中を流れた)
うわー、すげー…。震えた、一緒にあわせていて涙が出そうになった。
(……)
北澤孝一さんはドラムで、コウスケ(北澤さんの息子)はギター、
手にする楽器はちがうのだが、あの「はっちゃけ感」が同じなのだ。
音が抜け出てきた時の幸福度が半端ではないのだ。
コウスケ君とは、たまに同じイベントで一緒になるのだが、
彼を観ていると、いつも孝一さんを思い出すのはそういうところなのだろう。
ロックもブルースも「継承の音楽」であるといわれる。
私たちが先人から受け継ぎ、また後進に伝えていかなければならないことは、
まさにこうした「ときめき感」なのだと思う。
いささか「こんまり」のような言い回しをしてしまった。
ともかく、私は息子のために部屋の整理整頓をしよう…。
翻訳会社オー・エム・ティの公式ウェブサイト