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ジョニー・ベンチ

2014-04-07 22:55:47 | 日記
小さい頃から野球選手にあこがれていた。
中学の時はキャッチャーをやっていて、毎朝走って、マスコットバットで素振りして、ジョニー・ベンチの本を取り寄せて一生懸命学んだ。

でもどうしてもかなわない奴がいた。室坂君、あいつはすごかった。
私の母校は小松辰雄さんという、とてつもない選手を輩出した学校だ。
室坂君は小松辰雄さん以来のすごい奴だと思う。

結局どんなに努力してもかなわなかった。

Tバッティングをやれば、ネットは倒れんばかりに揺れるし、なにしろパワーがすごい。
スポットに入ったボールは必ず場外に叩き込むようなすごい奴だった。

それで中学3年の春に私は野球をあきらめた。人生をゆるがすようなすごい挫折感だった
けど、おかげでその時、音楽に出会った。

私の父は英語の教師で、ものすごい文人気質で、いわゆるスポーツ馬鹿を徹底的に
嫌っていた。スポーツを生業とする人を嫌っているわけではないのだが、
それをとりまく連中、ただの観客にすぎないくせに、それに命をかけているような
言動をする奴らを徹底的に馬鹿にしていた。競馬で身をほろぼす連中とかわらない。

そういう父のもとで育った私もどっかでそういう人たちを軽蔑していたのかもしれない。

一度、小学生の時、町内の書初め大会に出たとき、会場が柔道場だったこともあると
思うが、「神前に向かって礼」とやらされた時は、子供ながら頭にきた。

「こっちは柔道も何にもやっていないんだぞ、お前らがわけもわからず、
意味もわからずに信奉している類のものになんで俺が頭をさげなきゃならないんだ。」

「神に礼をするのはいいが、少なくともあんたらの指図ではやりたくはない。」

ともあれ、そういう父だったが、よほど私がスポーツをあきらめたことがうれしかった
のか、私が音楽をやりたいといった途端、エレキ・ギターを買ってくれたのだ。

結局、それから30年以上になるが、いまだにエレキ・ギターを弾いている…。

アコースティック・ギターも弾かないわけではないが、やっぱりエレキだ。
それは全く違う性質のものだ。
アコースティックでは4回ストロークするところを、エレキは一発で表現するんだ。
それだけのパワーを背負わなきゃならないんだ、リズムを表現しなきゃいけないんだ、
わかるか?

しかし、ギターにしたって、一発でホームランを叩き出すようなすごい人がいる。
音楽ならなんとかなるかも、なんて甘い気持ちで始めた私を叩きのめすようなすごい
奴がいる。
これはいかんともしがたい現実だ。

ジョニー・ベンチには程遠い。




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