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Jaco Pastorius - Word of Mouth

2011-08-03 15:03:57 | 日記
震災以来、自分でも「ちょっとおかしいな」と思ってしまうくらい、
心も体も不調だった。体の方はまだ完全な回復とはいえないのだが、
心の方は8月に入って急速に回復してきた気がする。

ひとつには、7月にあれほど低迷していた仕事が8月になって少しずつ
動き出してきたことがあるが、努めて週末は外出したり、いわゆる
気晴らしを行うようにしたことが功を奏していると思う。

そんなこんなで、いろんな出会いがあった。

人との出会いはもちろんなのだが、
どういえばよいのか、「新しい世界観」に出くわしたというか、
目の前にいままでとは全く異なる世界が広がっているのに気がついた。

そう思わざるを得ない要因の一つがこのCDであり、私にとっては事件だった。


『Jaco Pastorius - Word of Mouth』

私のようなギタリストはどうしてもギター演奏にばかり耳がいってしまいがちで、
どうしてもリスニングを楽しむ、音楽を楽しむという聴き方がおろそかに
なってしまいがちなのだが、今回は大丈夫。なぜならギターが入っていないから(笑)。

まあ、純粋にこのCDを楽しんでいる。

本当に楽しい。心がウキウキする。
なんかいいことが起こりそうな予感がする。
ワクワクする。

こんなの初めての経験である。

ジャコ(じゃこと入力すると「雑魚」と変換される(笑))といえば、
史上もっとも際立つ才能をもつベーシストであり、超絶のテクニック、
まったく新しい感性、時に激しく、また時にリリカルに…。
まあ、今までのベースとは全く違うことをやった、ギターでいうなら
ジミヘンみたいな人、いわゆる革命児だ。

もちろん、このアルバムでも彼のテクニックは際立っているのだが、
それにもまして圧倒されるのが、オーケストリゼーションを含むアレンジ力、
その世界観、懐の広さだ。

まさか、ジャコのアルバムに、古きよきアメリカが、ジャズの伝統が、
ガーシュウィンが、デューク・エリントンが潜んでいるとは誰も思うまい…。
まるでギル・エバンスのように現代印象派的視点からそれを俯瞰してみせ、
最後は日本刀のようなロック魂ですべてを叩っ切ったりする。
おそろしいぞ、これは!!

最後の曲「John and Mary」はジャコの二人の子供の名前。
スチールドラムのサウンドが「この世の楽園」「戦争や人種差別のない
平和な世界」を連想させる。

これほどの慈愛にあふれた世界観を提示できるなんてすごいことだ!

晩年は誰も手がつけられないくらいの薬中で、喧嘩で殺されたジャコの
頭の中にこんなに平和で素敵な世界がひろがっていたなんて、まるで
奇跡を、夢を見ているみたいだ…。

エンディングで流れるゴスペルのコーラスは、マジで泣けてくる。
聴くたびに涙が出そうになる。


ところでこのアルバムのもうひとつのセールスポイントは、
なんといっても数多くの豪華ミュージシャンの参加であろう。

特に際立ってすごいのが、ドラムのジャック・ディジョネットである。
はっきりいってオーケストラの指揮をやっているのは彼?と思わせる
くらいにサウンドにマッチしている。ドラムの1音、1音があまりに
ハマっていて、カッコよい。彼のドラムを聴くだけでも、このCDを
買う価値はある。絶対お得(笑)。

1枚のCDが自分の人生に与える影響などという言い方をすると、
まるで自分の人生そのものがちっぽけなものに思えてしまい、
少し悲しい気もするが、それでもいいさ。

そのくらいこのCDが好きだ。

そしていつかこんなCDを自分でも作れたらいいいな、と思う。
夢の世界だ。

ところで私の今後を方向づけるような事件が他にもいくつかあった。
それは後日報告いたします。

大丈夫、日本!!
翻訳会社オー・エム・ティの公式ウェブサイト

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