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沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

浦添市と中北組合の広域処理を考える(予告編10)

2016-01-14 15:13:08 | ごみ処理計画

今日の午前中に書いた記事は「北中城村」に関する記事でした。そこで、午後は「浦添市」に関する記事を書きます。

なお、この記事において中北組合のごみ処理施設は「青葉苑」という略称を用いています。 

1.広域組合を設立すると青葉苑は広域組合の施設になる。

2.広域組合を設立すると広域組合において新たなごみ処理計画を策定することになる。

3.広域組合において国の補助金を利用して広域施設を整備する場合は廃棄物処理法の基本方針に適合する地域計画を策定しなければならない。

4.青葉苑には溶融炉が整備されているので、広域組合において廃棄物処理法の基本方針に適合する地域計画を策定する場合は焼却灰の民間委託処分を続けることはできない。したがって、休止している溶融炉を再稼動することになる。

5.広域組合において地域計画を策定する場合は、第一期計画として廃棄物処理法の基本方針に従って青葉苑の設備の長寿命化を行い、第二期計画として広域施設の整備を行うことになる。

6.国の補助制度により第二期計画は第一期計画おいて長寿命化した設備を10年以上稼動する前提で策定することになる。

以上により、第二期計画は第一期計画が終了する2年から3年前に着手することになる。

ただし、

7.広域組合を設立する前に中北組合において国の基本方針に適合する地域計画を策定すれば国の補助金を利用して青葉苑の長寿命化を行うことができる。

8.中北組合において青葉苑の長寿命化を行っていれば広域組合における地域計画は第二期計画だけになる。

9.中北組合において青葉苑の長寿命化を行っておけば広域組合において第二期計画に着手する時期を前倒しすることができる。

以上により、広域処理の覚書を締結するときに浦添市は中北組合に対して青葉苑の長寿命化に着手することを求めることになる。ただし、平成28年度に地域計画を策定しても青葉苑の長寿命化を行うのは平成29年度になるため、広域組合において広域処理を開始するのは平成40年度以降になる。その場合、浦添市の清掃工場は平成24年度の長寿命化から15年以上稼動させることになるので自主財源による老朽化対策が必要になる。したがって、中城村と北中城村もその費用の一部を負担することになる。

そして、

10.広域組合の設立後は青葉苑も広域組合の施設になるので、溶融炉が事故や故障等により稼動できなくなった場合は自主財源により新たな溶融炉を整備しなければならない。

11.青葉苑は中北組合の施設ではなく広域組合の施設になるので自主財源により新たな溶融炉を整備する場合は浦添市も費用の一部を負担することになる。

12.青葉苑の溶融炉は塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)を単独で処理する燃料式の溶融炉であり、事故や故障のリスクが高く、国内で稼動している事例や長寿命化が行われた事例もないので、中北組合が再稼動する場合は実施可能な長寿命化計画(維持管理計画を含む)を策定して浦添市の確認と同意を得る必要がある。

以上により、中北組合が青葉苑の溶融炉の長寿命化計画を策定しなければ浦添市は覚書を締結することができないことになる。したがって、中北組合における平成28年度は青葉苑の溶融炉を再稼動して長寿命化計画と地域計画を策定する年度になる。なお、中北組合が代替措置を講じれば溶融炉の再稼動と長寿命化を行う必要がなくなるので、浦添市は青葉苑の焼却炉の長寿命化を行うことを前提に広域処理に関する覚書を締結することができる。

 <まとめ>

13.浦添市は広域組合を設立することによって広域施設の供用を開始するまでは青葉苑の溶融炉に対するリスクを共有することになる。

14.中北組合の焼却炉は事例の少ない流動床炉であるが国内において稼動している事例も長寿命化が行われた事例もあるので浦添市にとってはリスクにならない。

15.中北組合が代替措置を講じれば溶融炉の再稼動を回避することできるので、広域処理における浦添市のリスクを最少化することができる。

以上により、浦添市は広域処理に関する覚書を締結する前に中北組合に対して溶融炉の再稼動を回避するための代替措置を講じることを求めることになる。

※浦添市は広域処理を行う場合であっても「中北組合が選定した青葉苑の溶融炉のリスクを共有することができない」というのがこのブログの管理者の結論です。


浦添市と中北組合の広域処理を考える(予告編9)

2016-01-13 19:17:16 | ごみ処理計画

複数の市町村がごみ処理の広域化を行う場合は、それぞれの市町村に新たな役割分担が生まれます。

したがって、市町村がごみ処理の広域化を推進する場合は、事前にその役割分担がどうなるかを議会や住民に説明して理解と協力を得ておく必要があります。

市町村がこの事務処理を怠ると、広域計画が具体化したときに反対運動の火種になります。

浦添市と中北組合には最終処分場がないので、特に最終処分場の整備に関する役割分担については重要なポイントになります。

そこで、浦添市と中北組合が検討している広域処理に当って、北中城村の役割分担に関する備忘録を作成してみました。

 

原寸大の資料(画像をクリック)

 

北中城村の担当職員が議会や住民に対してどこまで同村の役割分担について説明を行っているかは分かりませんが、常識的に考えれば広域組合における最終処分場の候補地は間違いなく北中城村になります。なぜなら、浦添市と中城村には清掃工場がありますが北中城村にはないからです。

このブログの管理者は、北中城村の担当職員は多分このこと(北中城村の役割分担)については、議会や住民に詳しく説明していないと考えています。

では、中城村の担当職員はどうか?

中城村には現在、中北組合の清掃工場がありますが、浦添市との広域処理を推進すれば同村から清掃工場がなくなるので反対する理由はほとんどなくなります。また、広域組合で最終処分場を整備することになっても中城村が候補地になることはない(北中城村が候補地になる)ことは分かっているので、中城村の役割分担について議会や住民に詳しく説明していなくても問題は発生しないことになります。その意味では、浦添市と中北組合の広域処理については中城村の役割分担が一番少なくなります。

つまり、中城村は浦添市との広域処理を推進することによって、清掃工場や最終処分場の整備に関する事務処理から解放されることになります。そのことに対して反対する住民はほとんどいないと思われます。したがって、住民が反対しなければ議会も反対しないということになります。

一方、北中城村は広域処理を選択することで役割分担が一番多くなります。なぜなら、浦添市には広域施設を整備するための土地が既に確保されているからです。しかし、北中城村は広域処理を選択することによって、浦添市と中城村を含む1市2村を対象にした最終処分場の候補地を探して議会と住民の理解と協力を得なければならないからです。人口約15,000人の村に人口約150,000人を対象にした最終処分場を整備することは容易なことではありません。

このように、浦添市と中北組合の広域処理については、北中城村の議会と住民の理解と協力が最重要課題になります。

※中北組合の管理者は北中城村の村長なので、浦添市との広域処理については北中城村の村長がリーダーシップを発揮しないと、新たな広域組合が設立された瞬間から、北中城村の約15,000人の住民が最終処分場の整備に関する課題を抱え込むことになります。


浦添市と中北組合の広域処理を考える(予告編8)

2016-01-11 16:43:42 | ごみ処理計画

中北組合が平成26年3月に改正したごみ処理計画は国の補助金を利用しない(廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理計画になっているために国の補助金を利用できない)計画になっています。

しかし、同組合が浦添市と広域処理を行う場合は、当然のこととして国の補助金を利用して広域施設を整備することになります。

ただし、平成27年度において浦添市との広域処理は決定していません。

その場合、平成28年度以降の同組合のごみ処理計画はどうなるか?

ごみ処理計画は廃棄物処理法と地方自治法の規定に基づいて策定する市町村の自治事務に関する規定になりますが、地方公務員法の規定により市町村の職員は市町村の規定に反する事務処理を行うことはできないことになっています。したがって、同組合が平成28年度以降において浦添市との広域処理に関する事務処理を行うためには今年度中にごみ処理計画の見直しを行わなければならないことになります。

なお、このブログの管理者は同組合は既存のごみ処理施設を単独更新するつもりはないと考えています。

その前提で下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

上の画像にあるように、中北組合がごみ処理計画を見直す場合の注意事項は次のようになります。

(1)平成26年3月に改正したごみ処理計画には既存のごみ処理施設を廃止する計画や広域処理を行う計画は書き込まれていないので、既存のごみ処理施設を単独更新する計画になっている。

(2)浦添市との広域処理は既存のごみ処理施設の単独更新を行わない計画になる。

(3)浦添市との広域処理は現時点では決定していない。

(4)浦添市との広域処理は選択肢の1つでしかないので広域処理が実現しなかった場合を想定した計画(既存のごみ処理施設の単独更新を行わないための計画)も策定しておかなければならない。

(5)浦添市との広域処理を選択肢の1つにする場合は平成26年3月に改正したごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合するごみ処理計画になるように見直さなければならないので、焼却灰の民間委託処分は中止しなければならない。

以上により、中北組合が既存のごみ処理施設の単独更新を行わない場合は、広域処理以外の計画を策定した上で、平成28年度から溶融炉を再稼動して長寿命化を行うか、溶融炉の再稼動を回避する場合は廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置(溶融処理以外の方法で焼却灰の資源化を推進する措置)を講じなければならないことになります。

※中北組合が溶融炉を再稼動した場合は長寿命化を行い10年以上稼動しなければなりません。したがって、このブログの管理者は平成28年度から中北組合が溶融炉を再稼動する場合は広域処理に対する浦添市の同意が得られないと考えています。なぜなら、同組合の溶融炉は再稼動をしても長寿命化を行うことが難しい溶融炉であり長寿命化を行っても安定的に稼動することが難しい(国内では稼動している事例や長寿命化が行われた事例がない)溶融炉だからです。


宮古島市の不祥事を考える(続報)

2016-01-09 14:10:39 | 備忘録

久しぶりに宮古島市の不祥事に関する新聞報道があったので備忘録に残しておきます。

市民有志が市を提訴/不法投棄ごみ残存問題

「違法公金支出」と訴え/下地市長らに賠償請求

宮古毎日新聞 2016.01.09

不法投棄ごみ残存問題で住民監査請求を「却下」された市民有志6人が8日、那覇地方裁判所に住民訴訟を提起した。訴状では、違法な公金支出で宮古島市に損害を与えたとして下地敏彦市長を含む市の幹部職員4人に2014年度に実施した不法投棄ごみ撤去事業の予算額2251万8000円全額を市から4人に請求するよう求めている。疑問と疑惑が次々と出ていながら、いまだに全容解明に向けた糸口すら見いだせていないこの問題は、司法の場で判断されることとなった。

同日、提訴した市民と代理人の沖縄合同法律事務所の喜多自然弁護士と赤嶺朝子弁護士が宮古空港で会見を開き、訴状の内容や今後のスケジュールについて説明した。

訴状では、今回の事業でいろいろな不正により、市が損害を覆ったとして下地市長のほか、長濱政治副市長、平良哲則生活環境部長、宮国高宣会計管理者の4人に損害賠償を請求している。

喜多弁護士は「この事業の契約では3カ所をきちんと撤去すると明記されているが大部分のごみが撤去されていないこと自体が債務不履行になる。業者の問題もあるが、実際には市長を含め当局の責任が非常に大きい」と述べた。

訴状の中では、委託料の毎月の支払いがどういった経緯でなされたかを問題視している。

喜多弁護士は「この事業の委託料については毎月20%の部分を撤去して最終的に100%を撤去するとし、支払いも5分の1ずつ5回に分けて支払う契約。毎月、その出来高に応じて払っていくことが必要とされていたがそういった確認作業を全く何もしていない。非常にずさんなチェック体制で漫然と5回の支払いがなされたことが一番の問題」と述べた。

さらに「地方自治法でも契約をした場合は必要な確認作業が記されている。そういった部分からも法律に反した違法な公金支出がなされていると考えている」と訴えた。

訴えた市民を代表して岸本邦弘氏は「この訴訟は不法投棄ごみ残存問題についての責任の所在をしっかりとした場所で考える裁判になる。弁護士によるとこの裁判は2~3年かかるとしている。その間に多くの市民が自分たちの問題としてしっかり、考えていく機会になることを願っている」述べた。

住民訴訟が提起されたことについて、長濱政治副市長は「正式に市の方に訴状が届いたらそれを精査して弁護士と相談して対応したい」と述べた。

原告の市民は、岸本代表のほか、仲松義雄氏、長濱幸男氏、下地博盛氏、砂川洋子氏、岸本和子氏。今後、裁判は那覇地裁で行われる。

※住民感情としては訴訟もやむを得ないと思いますが、個人的には新聞社に地方自治法や廃棄物処理法の規定に基づく国や県の事務処理に対する取材をして貰いたいと思っています。なぜなら、国や県には市町村が行うごみ処理事業に対して法令に基づく適正な技術的援助(助言、勧告等)を行う責務があるからです。


ごみ処理施設(設備)の単独更新と広域更新を考える

2016-01-06 13:00:04 | ごみ処理計画

ごみ処理施設を単独で整備している市町村(一部事務組合を含む)が施設を単独で更新することを「単独更新」と言います。また、施設を単独で整備している複数の市町村(一部事務組合を含む)が広域処理を前提に新たに共同で広域施設を整備することを「広域更新」と言います。

そこで、今日は広域処理を検討している浦添市と中北組合をモデルにしてこの「単独更新」と「広域更新」の違いを考えてみます。

なお、「広域更新」は設備を単独で整備している市町村(一部事務組合を含む)が「単独更新」を行う場合よりも財政的なメリットがあることが前提になります。したがって、「広域更新」に当って新たに広域施設を整備する場合は国の補助金を利用して整備することが前提になります。

また、国の補助金を利用して「広域更新」を行う場合は、①各市町村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していること、②全市町村が共同で廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することが条件になります。そして、③全市町村が既存の施設(設備)の長寿命化を行ってから10年以上経過していることが条件になります。

その前提で下の画像をご覧下さい。 

原寸大の資料(画像をクリック)

 

上の画像にあるように、浦添市は国の基本方針に従ってごみ処理を行っている(設備の長寿命化も行っている)ので、平成35年度には「単独更新」を行うことができます。

しかし、中北組合は平成26年度から溶融炉を休止したまま焼却炉の長寿命化も行っていない(廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っている)ので、まず、今のごみ処理計画を見直して「単独更新」が可能になる状況(廃棄物処理法の基本方針に適合する状況)にしなければなりません。その上で「広域更新」を行うことになります。

そうなると、浦添市と中北組合の「広域更新」が可能になるのは早くても平成40年度以降になります。また、中北組合のごみ処理計画の見直しが遅れると「広域更新」の時期は更に遅れることになります。

その場合、浦添市はどう考えるか?

浦添市は平成35年度には「単独更新」を行うことが可能です。しかし、中北組合と「広域更新」を行う場合は約5年スケジュールが遅れることになります。その間、浦添市は長寿命化した設備の老朽化対策が必要になります。

このブログの管理者は、浦添市が平成24年度に長寿命化した設備を15年以上も更新を行わずに稼動して行くことは住民や議会の理解が得られないと考えています。なぜなら、浦添市にとっては人口の少ない中北組合と広域処理を行ってもあまり財政的なメリットがないからです。

普通、人口の多い自治体と人口の少ない自治体が広域処理を行う場合は人口の少ない自治体に広域施設を整備することになります。しかし、浦添市と中北組合の場合は人口の多い浦添市に広域施設を整備する予定になっています。

したがって、浦添市の市民や議会としては1年や2年であれば「広域更新」が遅れても我慢ができますが、5年以上も遅れるとなると諸手を挙げて賛成という具合にはなかなかならないと考えます。

しかも、中北組合が溶融炉を再稼動した場合は前例のない長寿命化を行うことになるので、市民や議会の理解を得ることは更に困難になると考えます。

この辺りのことをどう考えるかは浦添市が決めることなので、第三者であるこのブログの管理者がこれ以上考えても意味がありません。

しかし、少なくとも中北組合は浦添市に対してごみ処理計画を見直す時期と設備の長寿命化を行う時期を説明して、同市の合意を得ておく必要があると考えます。もちろん、浦添市としては広域処理の「白紙撤回」を回避するために議会の承認を得ておく必要があると考えます。

なお、国が廃棄物処理法の廃棄物処理施設整備計画に適合しないごみ処理計画(代替措置を講じずに溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行う計画や焼却炉の長寿命化を行わない計画等)を策定している市町村(一部事務組合を含む)に対して補助金の交付(財政的援助)を行った場合は廃棄物処理法第5条の4の規定に違反することになります。

<廃棄物処理法>

第5条の2 環境大臣は、廃棄物の排出の抑制、再生利用等による廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。 

第5条の3 環境大臣は、廃棄物処理施設整備事業(廃棄物の処理施設の整備に関する事業で政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)の計画的な実施に資するため、基本方針に即して、5年ごとに、廃棄物処理施設整備事業に関する計画(以下「廃棄物処理施設整備計画」という。)の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

第5条の4 国は、廃棄物処理施設整備計画の達成を図るため、その実施につき必要な措置を講ずるものとする。 

※中北組合がごみ処理計画の見直しを行わない場合は、自主財源により「単独更新」を行うことが決定します。