沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

改めて中城村北中城村清掃事務組合のごみ処理計画を考える

2016-01-05 12:24:06 | ごみ処理計画

中城村北中城村清掃事務組合は廃棄物処理法の基本方針に適合しない(国の補助金を利用できない)ごみ処理計画を策定していますが、なぜそのような計画を策定しているのか?

改めてその理由を考えてみたいと思います。

(1)そもそも既存のごみ処理施設を単独更新するつもりがない。

(2)焼却処理の「外部委託」によって既存のごみ処理施設の単独更新を回避しようと考えている。

(3)焼却処理の「外部委託」が困難な場合は他の市町村との広域処理によって既存のごみ処理施設の単独更新を回避しようと考えている。

このように考えれば、同組合が溶融炉を休止したまま浦添市との広域処理を検討している理由が良く分かります。

しかも、

(4)溶融炉を休止したままでも浦添市と共同で広域施設を整備する場合は国の補助金が利用できる。

と考えているように思われます。そうでなければ、同組合は浦添市との広域処理を検討する前にごみ処理計画を見直して溶融炉を再稼動しているはずです。

間違っているかも知れませんが、少なくとも(1)については当っていると思います。

では、同組合が(1)の単独更新を回避するためにはどうすれば良いのか?

市町村が(2)の焼却処理の「外部委託」を継続して行くことは不可能だと考えます。なぜなら、ごみ処理は市町村の「自治事務」であり、やむを得ない理由がある場合に限り一時的に「外部委託」が認められているからです。したがって、同組合が既存のごみ処理施設の単独更新を回避するためには他の場所にごみ処理施設を整備しなければならないことになります。しかし、同組合は自区内に新たにごみ処理施設を整備することは考えていないと思われます。

そうなると、選択肢は(3)しか残っていないことになります。

しかし、広域施設の整備に当って国の補助金を利用することができないとしたらこの選択肢は消えることになります。仮に中城村と北中城村の村民や議会が自主財源により広域施設の整備を行うことを認めたとしても、相手方の市町村の住民や議会は間違いなく反対します。なぜなら、相手方の市町村には自主財源によりごみ処理施設を整備する理由がないからです。

このように考えると、同組合の選択肢は1つしか残っていないことになります。それは、広域施設の整備に当って相手方の市町村が国の補助金を利用できるようにするために組合のごみ処理計画を見直すことです。

そして、見直す場合は問題の多い溶融炉の再稼動を回避するために国の基本方針に従って代替措置を講じた上で焼却炉の長寿命化を行う。

このブログの管理者は、それが同組合にとっての「最良のシナリオ」になると考えます。

※中城村北中城村清掃事務組合が「最良のシナリオ」を選択する場合であっても、広域処理を行う相手方の市町村(今は浦添市)のことを考えた場合は、広域施設の整備に1年でも早く着手するために今年度中にごみ処理計画を見直して平成28年度に代替措置を講じる必要があると考えます。


浦添市と中北組合の広域処理を考える(最悪のシナリオ)

2016-01-05 11:01:11 | ごみ処理計画

予告編が長くなっているので、この辺で「最悪のシナリオ」について考えてみることにします。

(1)中北組合が平成27年度中にごみ処理計画の見直しを行わなかった場合

・平成28年度における広域処理に関する協議は非公式になる。

(2)平成29年度に広域処理に関する協議会を設立した場合

・協議会を設立してから中北組合のごみ処理計画の見直しを検討することになる。

(3)平成30年度に広域処理に関する「地域計画」を策定する場合

・「地域計画」を策定する前に中北組合のごみ処理計画を見直すことになる。

・平成31年度に中北組合の溶融炉を再稼動して焼却炉と一緒に長寿命化を行うことになる。

・平成32年度から平成41年度までの10年間は長寿命化した焼却炉と溶融炉を稼動することになる。

(4)平成35年度に広域施設の整備に着手して平成37年度から供用を開始する場合

・国の補助金を利用することができないので自主財源により整備することになる。

・国の補助金を利用する場合は平成40年度頃に広域施設の整備に着手して平成42年度から供用を開始することになる。

・浦添市は平成42年度までの約15年間は老朽化対策を行いながら既存のごみ処理施設を稼動することになる。

(5)長寿命化した溶融炉が事故や故障等により使用できなくなった場合

・自主財源により新たな溶融炉を整備することになる。

以上により、浦添市における「最悪のシナリオ」は平成42年度まで広域処理を開始することができないことになります。

また、中北組合における「最悪のシナリオ」は長寿命化した溶融炉が事故や故障等により使用できなくなった場合になります。

なお、自主財源により広域施設の整備を行うことは浦添市と中北組合にとって「非現実的なシナリオ」になると考えます。

※中北組合は長寿命化した溶融炉を稼働率100%で10年以上稼動しなければならないので、稼働中に事故や故障等が発生すると広域処理を開始する時期が更に遅れることになります。


浦添市と中北組合の広域処理を考える(予告編7)

2016-01-05 08:22:47 | ごみ処理計画

沖縄県(本島)において市町村が単独でごみ処理を行っているのは浦添市と名護市だけです。その他は一部事務組合を設立してごみ処理を行っています。そして、一部事務組合というのは、まさしく広域処理を行っている自治体ということになります。

そこで、今日は広域処理を行った経験のない浦添市の担当職員になったつもりで中北組合との広域処理を考えてみることにします。

浦添市と中北組合の共通点はどちらも「焼却炉+溶融炉」方式を採用していることですが、浦添市は「ストーカ炉+溶融炉」、中北組合は「流動床炉+溶融炉」を採用しています。そして、浦添市は廃棄物処理法の基本方針に従って焼却炉と溶融炉の長寿命化を行っていますが、中北組合は平成26年度から溶融炉を休止しており焼却炉の長寿命化も行っていません。

このことは、浦添市の担当職員としては中北組合は共同で広域処理を行う自治体としては不適格な自治体という評価になります。

そのために、浦添市が中北組合と広域処理を行う場合は、まず、中北組合が浦添市と同じように廃棄物処理法の基本方針に従ってごみ処理を行っている自治体になる必要があります。なぜなら、廃棄物処理法の基本方針に適合しないごみ処理を行っている自治体はごみ処理施設の整備に当って国の補助金を利用することができないからです。

なお、市町村がごみ処理施設の整備に当って国の補助金を利用する場合は事前に廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定する必要があります。このため、浦添市が中北組合と共同で広域施設を整備する場合は共同で廃棄物処理法の基本方針に適合する「地域計画」を策定することになります。ただし、中北組合は「地域計画」を策定する前に平成26年3月に改正したごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合する計画になるように見直す必要があります。そして、浦添市と共同で「地域計画」を策定するときには見直したごみ処理計画に従って実際にごみ処理を行っている必要があります。

その前提で下の画像をご覧下さい。

原寸大の資料(画像をクリック)

上の画像は中北組合が廃棄物処理法の基本方針に従って設備の長寿命化を行い10年以上稼動することが前提になっています。なぜなら、それが国の補助金を利用して広域施設を整備するときの条件になるからです。したがって、浦添市はまずその前提で中北組合との広域処理を考えることになります。

ところで、浦添市が中北組合との広域処理を考える場合に最大の問題になるのが中北組合が平成26年度から溶融炉を休止していることです。

廃棄物処理法の基本方針は国の財政が逼迫していることから処分制限期間を経過した設備であってもストックマネジメントの手法を取り入れて長寿命化を行い延命化を図ってから更新することを求めています。浦添市は基本方針に従って長寿命化を行っていますが中北組合はまだ長寿命化を行っていません。しかも、溶融炉は休止しています。

この場合、中北組合は溶融炉を再稼動して焼却炉と一緒に長寿命化を行うか、溶融炉の再稼動を回避したい場合は代替措置を講じた上で焼却炉の長寿命化を行う必要があります。

しかし、中北組合の溶融炉は浦添市の溶融炉とは違って国内では稼動している事例のない特殊な溶融炉です。また、長寿命化が行われた事例のない溶融炉です。

そうなると、中北組合が溶融炉を再稼動することはギャンブルに近い事務処理になります。というよりも、地方公務員が判断する事務処理としては、ほとんどギャンブルになります。

中北組合の溶融炉が浦添市と同じストーカ炉の焼却灰を処理する溶融炉であれば問題はありませんが、塩分濃度の高い流動床炉の焼却灰(飛灰)を単独で処理する溶融炉は「実験炉」に近いものなので、メーカー側もやってみなければ分からないところがあります。

さて、このブログの読者の皆さんが浦添市の担当職員であったらどのように考えるでしょうか?

このブログの管理者が浦添市の担当職員であったなら、中北組合に対して溶融炉の再稼動は回避して代替措置を講じること求めます。そして、焼却炉だけを長寿命化することを求めます。

※中北組合が平成26年3月に改正したごみ処理計画には広域処理に関する計画は書き込まれていません。また、溶融炉を再稼動する計画や長寿命化を行う計画も書き込まれていません。そして、溶融炉の休止に対して廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じる計画も書き込まれていません。したがって、これから浦添市が中北組合との広域処理に関する協議を行っていくためには、まず今年度中に中北組合のごみ処理計画を見直す必要があるというのがこのブログの管理者の結論です。