沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

浦添市と中北組合の広域処理を考える(予告編の総集編)

2016-01-16 11:18:22 | ごみ処理計画

新聞報道によると浦添市は今年度中に中北組合と広域処理に関する覚書を締結する予定としています。そこで、予告編も10編になったので、今日は広域処理に関する総集編として浦添市が覚書を締結する場合の条件と中北組合の事務処理について書くことにしました。

なお、浦添市の覚書の条件はこのブログの管理者が考えたものですが、国の補助制度や廃棄物処理法の規定、中北組合のごみ処理施設の現状や溶融炉の実態等を前提にすれば、下の画像にある条件とほぼ同じ条件になると思われます。

また、浦添市の条件に対する中北組合の事務処理も中城村や北中城村の現状を前提にすれば、下の画像にある事務処理とほぼ同じ事務処理になると思われます。

 

原寸大の資料(画像をクリック)

 

上の画像の中北組合の事務処理を整理すると次のようになります。

1.廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じない場合は溶融炉を廃止することができない。

2.代替措置を講じずに溶融炉を廃止する場合は廃棄物処理法の基本法方針に適合するごみ処理計画や地域計画を策定することができなくなるので広域処理を選択肢から除外することになる。

3.代替措置を講じずに溶融炉を廃止する場合は財産処分の承認手続と補助金の返還が必要になる。

4.代替措置を講じずに溶融炉を廃止した場合は自主財源により焼却炉の長寿命化を行うことになる。

5.代替措置を講じずに溶融炉を廃止した場合は自主財源により焼却炉の更新を行うことになる。

6.焼却炉の更新ができない場合は自主財源により北中城村に新たな焼却炉と建物を整備することになる。

7.焼却炉の更新ができない場合は廃止することになるため財産処分の承認手続と補助金の返還が必要になる。

8.北中城村に新たな焼却炉と建物を整備することができない場合は自主財源により焼却炉を更新することになる。

9.溶融炉を再稼動した場合は国の補助金を利用して長寿命化を行うことになる。

10.溶融炉を再稼動しても長寿命化を行うことができない場合は廃止することになる。

11.長寿命化した溶融炉が事故や故障等により稼動できなくなった場合は自主財源により新たな溶融炉を整備することになる。

12.自主財源により新たな溶融炉を整備できない場合は廃止することになる。

13.溶融炉を休止したまま焼却灰の民間委託処分を行い焼却炉の長寿命化を行わずに老朽化対策を行う場合は廃棄物処理法の基本法方針に適合するごみ処理計画や地域計画を策定することができなくなるので広域処理を選択肢から除外することになる。

浦添市のごみ処理施設の処理能力を中北組合の自主財源により30%以上アップして中北組合のごみ処理施設を廃止することも考えられますが、その場合は溶融炉を再稼動する場合よりも中城村と北中城村の村民の負担が多くなります。また、処理能力をアップするためにごみ処理施設を一時的に停止しなければなりません。そのための諸費用(外部委託費等)も中城村と北中城村の村民が負担することになります。そして、処理能力をアップすると溶融スラグや溶融飛灰の量も30%以上増加するので利用の推進や最終処分場の整備に関する課題も大きくなります。そのため、議会や村民に説明をしても理解と協力を得ることは困難になると考えます。

また、浦添市の溶融炉の処理能力を中北組合の自主財源により30%以上アップして焼却炉の長寿命化を行い溶融炉を廃止することも考えられますが、中北組合の焼却炉は流動床炉であり塩分濃度の高い焼却灰(飛灰)をストーカ炉の焼却灰を対象にした溶融炉に投入することになるため重油の消費量が増加して(飛灰の溶融は処理温度が高くなる)溶融スラグの品質も低下します。そして、水蒸気爆発のリスクも増加します。また、万が一、広域施設を整備する前に事故が発生して溶融炉の稼動が困難になると自主財源により新たな溶融炉を整備しなければなりません。なぜなら、浦添市の溶融炉は平成24年度に国の補助金を利用して長寿命化を行っているので、国の規定により10年以上(平成34年度まで)は稼動しなければならないからです。そのため、溶融炉の処理能力だけをアップする選択肢は除外することになると考えます。

なお、中北組合の溶融炉を再稼動して広域組合の資産とすることも考えられますが、その場合は浦添市民も中北組合の溶融炉のリスクを共有することになります。そのため、浦添市が市の議会や市民に説明をしても理解と協力を得ることは困難になると思います。

以上により、中北組合は溶融炉を廃止するために廃棄物処理法の基本方針に適合する代替措置を講じた上で、浦添市との広域処理を検討すべきだと考えます。

中北組合は平成26年3月に改正したごみ処理計画において最終処分場の整備を課題として抽出していませんが、浦添市との広域処理を行う場合は廃棄物処理法の基本方針に基づいて最終処分場の整備を課題として抽出しなければなりません。そして、広域組合において最終処分場を整備する場合はほぼ間違いなく北中城村に整備することになります。