沖縄のごみ問題を考える

一般廃棄物の適正な処理に対する国の施策と県の施策と市町村の施策を比較しながら「沖縄のごみ問題」を考えるブログです。

北中城村のごみ処理計画の見直し案を考える(最終処分場編)

2016-01-30 13:54:25 | ごみ処理計画

今日は午前中に広域処理と最終処分場の整備に関する記事を書いたので、午後は北中城村における広域処理と最終処分場の整備に関する記事を書きます。

北中城村は平成26年3月にごみ処理計画を改正していますが、あえて廃棄物処理法の基本方針には適合しない計画に改正しています。

市町村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していない場合は、ごみ処理施設の整備に当たって国の補助金を利用することができなくなりますが、なぜ、北中城村はそれでも廃棄物処理法の基本方針に適合しない計画に改正したのか?

それは、溶融炉を休止しても最終処分場の整備を行わない計画にしたかったからだと思われます。なぜなら、改正するごみ処理計画を廃棄物処理法の基本方針に適合させると最終処分場の整備を課題として抽出しなければならないからです。

ちなみに、廃棄物処理法の基本方針は5年ごとに変更が行われており、平成22年12月に変更された基本方針は今年の1月21日に変更されています。ただし、最終処分場の整備に関する方針は変更されていません。したがって、北中城村が見直すことになるごみ処理計画は最終処分場の整備が課題になります。

なお、廃棄物処理法の基本方針は市町村に対してごみ処理計画における処理体制を住民に十分に周知することを求めていますが、広域処理における「処理体制」とは関係市町村の「役割分担」と同じ意味になります。また、市町村にとっては住民に対するごみ処理計画の「告知」が最も効果的な「周知」の手段になります。

という前提で下の画像をご覧下さい。画像の一番右が、最終処分場の整備に関する見直し案です。

原寸大の資料(画像をクリック)

 

北中城村は「旧知の仲」ともいえる中城村と申し合わせて、最終処分場の整備を行わずに溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行うごみ処理計画を策定していますが、浦添市との広域処理を目指して行くとなると浦添市とも一定の申し合わせが必要になります。しかも、浦添市とは「旧知の仲」ではないので、ごみ処理計画の見直しを行う場合は浦添市に対してそれなりの配慮が必要になります。その配慮が足りないと浦添市との間に感情的な「シコリ」が残ることになります。

特に、北中城村や中城村が廃棄物処理法の基本方針に従わずに焼却灰の民間委託処分を行っていることについては、なんらかの形で「ケジメ」を付けることが不可欠になります。なぜなら、このまま浦添市が北中城村や中城村と広域処理を行うと浦添市も廃棄物処理法の基本方針に従わないごみ処理を行うことになってしまうからです。

浦添市は廃棄物処理法の基本方針に従って溶融炉の長寿命化を行い溶融スラグや溶融飛灰の利用を推進していますが、仮にそうなった場合は、溶融炉を休止して焼却灰の民間委託処分を行っている北中城村や中城村のために広域施設の整備に当たって国の補助金を利用することができなくなります。

広域施設は浦添市に整備することになるようですが、国の補助金を利用するためには1市2村のごみ処理計画が廃棄物処理法の基本方針に適合していなければなりません。したがって、2村のごみ処理計画が基本方針に適合していない場合はアウトということになります。

以上により、北中城村が廃棄物処理法の基本方針に従ってごみ処理計画の見直しを行う場合は、上の画像にあるように北中城村において最終処分場の整備を行う「覚悟」があることを浦添市に対して明確に示す必要があるというのがこのブログの管理者の考えです。

※北中城村は平成28年度から浦添市との広域処理を目指して事務処理を行っていくことがほぼ決定しているので、今年度中にごみ処理計画を見直すことになります。もちろん、中城村と中北組合も同様にごみ処理計画を見直すことになります。

※北中城村が最終処分場の整備に関する北中城村の「役割分担」等をスルーしてごみ処理計画の見直しを行った場合は、沖縄県におけるウチナーンチュ同士の礼儀や北中城村の歴史や文化を知らない第三者(内地のコンサルタント等)が見直しに関わっていることになり、北中城村はその第三者にごみ処理計画の見直しを丸投げしていたことになると考えます。

北中城村ごみ処理計画(平成26年3月改正)

廃棄物処理法基本方針(平成28年1月21日変更)


広域処理と最終処分場の整備を考える

2016-01-30 11:33:06 | 備忘録

河北新報に広域処理に関する山形県の鶴岡市と三川町の記事が出ていたので備忘録に残しておきます。

鶴岡市が合併するときに三川町が合併を拒否しているため、地元では感情的な「シコリ」が残っているようです。

沖縄県では浦添市と中城村と北中城村との広域処理に関する検討が行われていますが、「シコリ」の有無はともかく、北中城村の立場は三川町の立場に良く似ているので、北中城村の皆様は浦添市に対する十分な配慮が必要になると考えます。

<ごみ処理>合併協議しこり 受託継続で対立

河北新報 2016.01.30

鶴岡市が隣接する三川町のごみ処理の受託継続に難色を示している問題で、阿部誠三川町長と榎本政規鶴岡市長は29日、それぞれ記者会見を開いた。阿部町長は「単独でのごみ処理は困難」と述べ、榎本市長との直接協議を求めたが、市長は過去の合併協議のしこりを背景に拒否した。

阿部町長は午後3時から町役場で記者会見し、「ごみ処理に関する協定書には委託期限の定めはない。町単独で処理すれば40億~50億円かかるとみられ、不可能という試算が10年前に既に出ている」と強調した。

鶴岡市が総事業費約112億円を投じ、2020年度までに整備する新ごみ焼却施設にも触れ「鶴岡市から協議の依頼があれば、人的な負担も含め、応分の負担をする用意がある」と語り、受託の継続を求めた。

榎本市長は午後4時半すぎ、市役所で記者会見。「新しい焼却施設ができれば、新たな協定が必要」との認識を示し、「応分の負担をすれば解決する話ではない。市が進めている最終処分場のエリア選定など、これまで職員がかいてきた汗は計り知れないコストだ」と反論した。

「鶴岡市に押し付けるばかりでなく、三川町で何ができるのか検討してもらいたい。最終処分場の立地などが受け入れられるのであれば、テーブルを設けて話し合いが進む余地がある」とも語り、2月中にあらためて三川町の方針を文書で問う考えを明らかにした。

鶴岡市と三川町のごみ処理は、両市町を含む旧7市町村の一部事務組合が行っていた。2004年に三川町が7市町村の合併協議から離脱。残る6市町村で05年に新鶴岡市を発足させると、ごみ処理は市直営に変わり、三川町が業務を委託した。07年に結んだ協定には期限の記載はないが、歴代の鶴岡市長は業務受託を「三川町が自立するまでの当面の措置」との認識を市議会などで述べている。

榎本市長は合併協議の離脱に触れ「感情的でないとは言い切れない。三川のごみを鶴岡で処理することに、不満を抱く市民感情もあり、それを抜きに事業は進められない」と語った。

阿部町長は「今は鶴岡市との合併を考えるステージにないが、いずれ庄内地域は一つにならなくてはいけないとの認識ではいる」と話し、将来的な広域合併に前向きな姿勢を見せた。

※浦添市と中城村と北中城村が広域処理を行う場合に最終処分場の整備が必要になれば、必然的にごみ処理施設のない北中城村が候補地になります。そのことを北中城村が拒否すると、感情的な「シコリ」が生まれるため広域処理が「白紙撤回」になる可能性があると考えています。