1日、米ゼネラル・モーターズ(GM)の破産法審理がニューヨーク市の破産裁判所で始まった。
再建手続きは、複雑な利害関係から難航することも予想されているが、9日には「新生GM」の会長に米AT&Tの元会長兼最高経営責任者(CEO)のエドワード・ホイッタカー氏を起用する方針が明らかになった。
ついにチャプター11による再生を迫られることになったGMだが、2009年6月15日号のTIME誌でGMに関する問題や状況について、色々な数字をもとに整理されていた。
まず、登場するのが「8兆円」という資産規模だ。
メーカーとしては過去最大規模になる金額だが、リーマン・ブラザーズ:60兆円、ワシントンミューチュアル:30兆円、ワールドコム:10兆円、というように他の業界に目を向けると、それほど大きな規模でもないと言えるだろう。
但し、そうは言っても影響力はやはり小さくない。
今後数年間でディーラー数はほぼ半減し、工場も時間給で働く人も大きく減る見込みだ。
解体が進むGMの所有者は誰になっているのか? というのも非常に興味深い数字だった。
TIME誌によると、これまでGMを100%所有していた株主の持ち分は、新生GMにおいては全体の10%に過ぎないとのこと。
米国政府が60.8%、組合が17.5%、カナダ政府が11.7%など、今回新たに資金をつぎ込んだ人たちが株式のほとんどを所有する形態になった。
これまでの株主が経営監視の点において怠慢だったという意味で、その権利を縮小されたということだろう。
また、GMの販売先として特徴的なことは海外売上比率が64%(2008年)で、国内のそれよりも大きいということだ。
中国、ブラジル、英国、カナダという上位陣だ。中国だけで100万台の販売台数という数字を見ると、もし海外での展開をもっと上手にできていたら、GMは倒産せずに済んだかも知れないと感じるほどだ。
GMは先ごろトヨタに抜かれるまで、実に77年間もの長期間にわたって「世界一」の座を守り抜いてきた巨人に相応しく、その傘下には驚くほどブランド力のあるメーカーが揃っている。
今まさにそれら1つ1つの解体作業が始まろうとしている。
GMは1日、子会社の独オペルと英ボクソールの売却でカナダ自動車部品大手マグナ・インターナショナルと基本合意したと正式発表した。
また2日には大型スポーツタイプ多目的車(SUV)ブランド「ハマー」の売却で暫定合意したのは中国の民間重機メーカー、四川騰中重工機械であることを認めている。
さらに5日、小型乗用車を主体とする「サターン」ブランドについては、米大手ディーラーのペンスキー・オートモーティブ・グループに売却すると発表した。
今回の一連のGM解体ニュースの特徴として、ロシアを絡めて欧州進出への足がかりを築こうとする動きと連動している点に注目すべきだと思う。
マグナは今回のオペルとボクソールの買収にあたっては、ロシアの国営銀行ズベルバンク、ロシアの自動車大手GAZと手を組んでいる。
自らは委託生産のような形態をとりつつ、オペルとボクソールには激しいリストラを敢行することで収益化を図り、同時に余った人的資源をロシア自動車業界の再建に使おうという狙いではないかと思う。
カナダの自動車市場は決して大きくないので、この意図するところは十分に理解できる。
またGM再建の論点として、オバマ大統領が推し進めようとしている「エコカー政策」にGM単独で対応可能かどうか、というものがある。
私に言わせれば、ホイッタカー氏ではGMの経営は難しいので、トヨタから経営陣そのものを派遣するべきだと思う。
GMの負債総額は約16兆円、また雇用への影響も今までの破産企業とはスケールが違う大きさだ。
ここまで大きな規模になってしまうと、実質的にGMを救済できるのは、トヨタだけだろう。
そもそもオバマ大統領が言うところの環境問題と今回のGM救済問題を絡めてしまうから話がややこしくなるのだ。
重傷患者に対して言うべきことと、軽傷患者に対するものでは違うはずだ。オバマ大統領のポリシーを強引にGMに適用しないほうが良いと私は感じている。
仮に「エコカー政策」を実施していくならば、日本や欧州の企業に対しても米国内では同様に支援するべきで、GMが国家管理対象だからといって特別に優遇するのは、政府による過大関与と言えるだろう。
オバマ大統領には、ぜひ注意してもらいたいところだ。
今後、GM再建作業がどのように進んでいくのか注目していきたいと思う。
再建手続きは、複雑な利害関係から難航することも予想されているが、9日には「新生GM」の会長に米AT&Tの元会長兼最高経営責任者(CEO)のエドワード・ホイッタカー氏を起用する方針が明らかになった。
ついにチャプター11による再生を迫られることになったGMだが、2009年6月15日号のTIME誌でGMに関する問題や状況について、色々な数字をもとに整理されていた。
まず、登場するのが「8兆円」という資産規模だ。
メーカーとしては過去最大規模になる金額だが、リーマン・ブラザーズ:60兆円、ワシントンミューチュアル:30兆円、ワールドコム:10兆円、というように他の業界に目を向けると、それほど大きな規模でもないと言えるだろう。
但し、そうは言っても影響力はやはり小さくない。
今後数年間でディーラー数はほぼ半減し、工場も時間給で働く人も大きく減る見込みだ。
解体が進むGMの所有者は誰になっているのか? というのも非常に興味深い数字だった。
TIME誌によると、これまでGMを100%所有していた株主の持ち分は、新生GMにおいては全体の10%に過ぎないとのこと。
米国政府が60.8%、組合が17.5%、カナダ政府が11.7%など、今回新たに資金をつぎ込んだ人たちが株式のほとんどを所有する形態になった。
これまでの株主が経営監視の点において怠慢だったという意味で、その権利を縮小されたということだろう。
また、GMの販売先として特徴的なことは海外売上比率が64%(2008年)で、国内のそれよりも大きいということだ。
中国、ブラジル、英国、カナダという上位陣だ。中国だけで100万台の販売台数という数字を見ると、もし海外での展開をもっと上手にできていたら、GMは倒産せずに済んだかも知れないと感じるほどだ。
GMは先ごろトヨタに抜かれるまで、実に77年間もの長期間にわたって「世界一」の座を守り抜いてきた巨人に相応しく、その傘下には驚くほどブランド力のあるメーカーが揃っている。
今まさにそれら1つ1つの解体作業が始まろうとしている。
GMは1日、子会社の独オペルと英ボクソールの売却でカナダ自動車部品大手マグナ・インターナショナルと基本合意したと正式発表した。
また2日には大型スポーツタイプ多目的車(SUV)ブランド「ハマー」の売却で暫定合意したのは中国の民間重機メーカー、四川騰中重工機械であることを認めている。
さらに5日、小型乗用車を主体とする「サターン」ブランドについては、米大手ディーラーのペンスキー・オートモーティブ・グループに売却すると発表した。
今回の一連のGM解体ニュースの特徴として、ロシアを絡めて欧州進出への足がかりを築こうとする動きと連動している点に注目すべきだと思う。
マグナは今回のオペルとボクソールの買収にあたっては、ロシアの国営銀行ズベルバンク、ロシアの自動車大手GAZと手を組んでいる。
自らは委託生産のような形態をとりつつ、オペルとボクソールには激しいリストラを敢行することで収益化を図り、同時に余った人的資源をロシア自動車業界の再建に使おうという狙いではないかと思う。
カナダの自動車市場は決して大きくないので、この意図するところは十分に理解できる。
またGM再建の論点として、オバマ大統領が推し進めようとしている「エコカー政策」にGM単独で対応可能かどうか、というものがある。
私に言わせれば、ホイッタカー氏ではGMの経営は難しいので、トヨタから経営陣そのものを派遣するべきだと思う。
GMの負債総額は約16兆円、また雇用への影響も今までの破産企業とはスケールが違う大きさだ。
ここまで大きな規模になってしまうと、実質的にGMを救済できるのは、トヨタだけだろう。
そもそもオバマ大統領が言うところの環境問題と今回のGM救済問題を絡めてしまうから話がややこしくなるのだ。
重傷患者に対して言うべきことと、軽傷患者に対するものでは違うはずだ。オバマ大統領のポリシーを強引にGMに適用しないほうが良いと私は感じている。
仮に「エコカー政策」を実施していくならば、日本や欧州の企業に対しても米国内では同様に支援するべきで、GMが国家管理対象だからといって特別に優遇するのは、政府による過大関与と言えるだろう。
オバマ大統領には、ぜひ注意してもらいたいところだ。
今後、GM再建作業がどのように進んでいくのか注目していきたいと思う。