前回、民主党のマニフェストを見ても、そこには「哲学・考え方」が欠けており、国会議員として基本的に勉強不足だという点を指摘した。
大々的に発表したマニフェストも、いずれ忘れ去られるに違いない。
では、これに対して自民党のマニフェストはどうなのか?と言うと、残念なことに「どんぐりの背比べ」状態だ。
4年前の総選挙時に自民党が示したマニフェストにしても、私に言わせればまともに実施されたものは殆どない。
今回の総選挙に当たっては、自民党は民主党を揶揄して、「責任ある政党としては、経済のパイを大きくする必要があるが、民主党にはそれができるのか」という趣旨のことを述べているが、聞いていると呆れてしまった。
一体、自民党はこの4年間にどれだけ日本経済のパイを大きくしたのか? 日本のGDPを押し上げることができたのだろうか?
私は2003年9月に、自民党の国家戦略本部事務局から頼まれて自民党用のマニフェストを執筆したことがある。
原稿用紙40ページ(約1万6千語)に及ぶ草案の中で、私は「日本をどういう国にしたいのか」という全体像を提示した。
しかし、国家戦略本部の事務総長だった保岡氏によると、「長すぎる」という理由で本草案を小泉元首相は読まなかったという。
そこで「原稿用紙2ページにしてくれ」と言われて、その通りにしたが、今度はその2ページを机の上に置いて、小泉元首相は「オレは勘が鋭い。あまり勉強するとその勘が鈍くなる」と言って、結局読まなかったそうだ。
こうした事例は小泉元首相に限らない。多くの政治家は私が政策の説明をしても、その本質を理解しようとするのではなく、何とか記者会見を乗り切るために「要するにキーワードは何なのか?」ということだけを聞き出そうとする。
しかし蓋を開けてみれば、記者会見で記者から質問を受けると、まともに受け答えが出来ないという有様だ。このようなことは、この数十年の間に幾度となく見てきた。
結局今回も各党のマニフェストを見ても、まともなものは1つもなかったが、不勉強な日本の政治家の現状に鑑みれば、当然の結果だと思う。
本来、マニフェストは「この国の問題点はこれだ」「この国をこういう国にしたい」という全体像を提示するものだ。
冒頭でも紹介したが、私自身が2003年に自民党から依頼されて執筆したマニフェストを、今回、一般に公開した。
若干古いものだが、皮肉なことにその後何も実現していないので陳腐化はしていないと思う。「私が政党の党首ならこのような形で訴える」という雛形としてぜひ一度ご覧頂きたい。
ここではその骨子として、日本が抱えた大きな問題点について紹介しておく。
日本という国が抱える大きな問題の1つは、中央集権に傾聴しすぎていることだ。
官僚が政策を立案し、それに予算を付けて実行していくという官僚主導・中央集権の日本型システムそのものが時代に合わなくなってきている。
さらに、80年代以降は官僚組織そのものが自己目的化し、国全体のことを考えるよりも細分化した官僚組織それぞれが局所最適化を始めてしまった。
このシステムそのものが、日本の再生にとって致命的な障害になっていると私は思う。
政治家や官僚といった政治を預かる人の視野が狭く、時代遅れのセンスしか持ち合わせていないということも問題だ。
今、世界はものすごいスピードで変化を遂げている。「この国をどうするべきか」を考える立場にある人は、世界のことを見て、知り、そして世界標準の感覚を持っていなければ務まらない時代だ。
ところが日本の政治家を見ると、世界のことを知らず、ステレオタイプの考え方に固執している人が殆どだ。
小選挙区制が導入され、今では人口25万人くらいの地域から1人の国会議員が選出されることもある。人口だけを見れば、横浜「区長」レベルだ。こうした状況も、日本の政治家の意識の低さを助長していると思う。
不勉強で世界を知らないという点では、官僚も同様だ。
外務省にしたところで、私から見れば30~40年前の頭脳しか持ち合わせていない。
例えば、北方領土問題をはじめとする外交問題について、外務省に新しい外交戦略を期待できるだろうか?と問われたら、答えは「NO」だろう。
日本の政治家は、ブレーンを作って、もう少し自ら勉強する機会を作るべきだ。今の状況を見ていると、いくつもの勉強会は開催されているが、圧倒的に勉強時間が足らない。
遅刻してきたり、途中退席してみたり、といった実態から推測すると、まともに勉強している時間は1日数分くらいだろう。
中身のないマニフェストと広告宣伝のような選挙キーワードを並べて選挙戦に臨み、結局選挙が終われば、マニフェストなど忘れてしまう。そんな悪循環はいい加減に断ち切ってもらいたいと強く感じている。
大々的に発表したマニフェストも、いずれ忘れ去られるに違いない。
では、これに対して自民党のマニフェストはどうなのか?と言うと、残念なことに「どんぐりの背比べ」状態だ。
4年前の総選挙時に自民党が示したマニフェストにしても、私に言わせればまともに実施されたものは殆どない。
今回の総選挙に当たっては、自民党は民主党を揶揄して、「責任ある政党としては、経済のパイを大きくする必要があるが、民主党にはそれができるのか」という趣旨のことを述べているが、聞いていると呆れてしまった。
一体、自民党はこの4年間にどれだけ日本経済のパイを大きくしたのか? 日本のGDPを押し上げることができたのだろうか?
私は2003年9月に、自民党の国家戦略本部事務局から頼まれて自民党用のマニフェストを執筆したことがある。
原稿用紙40ページ(約1万6千語)に及ぶ草案の中で、私は「日本をどういう国にしたいのか」という全体像を提示した。
しかし、国家戦略本部の事務総長だった保岡氏によると、「長すぎる」という理由で本草案を小泉元首相は読まなかったという。
そこで「原稿用紙2ページにしてくれ」と言われて、その通りにしたが、今度はその2ページを机の上に置いて、小泉元首相は「オレは勘が鋭い。あまり勉強するとその勘が鈍くなる」と言って、結局読まなかったそうだ。
こうした事例は小泉元首相に限らない。多くの政治家は私が政策の説明をしても、その本質を理解しようとするのではなく、何とか記者会見を乗り切るために「要するにキーワードは何なのか?」ということだけを聞き出そうとする。
しかし蓋を開けてみれば、記者会見で記者から質問を受けると、まともに受け答えが出来ないという有様だ。このようなことは、この数十年の間に幾度となく見てきた。
結局今回も各党のマニフェストを見ても、まともなものは1つもなかったが、不勉強な日本の政治家の現状に鑑みれば、当然の結果だと思う。
本来、マニフェストは「この国の問題点はこれだ」「この国をこういう国にしたい」という全体像を提示するものだ。
冒頭でも紹介したが、私自身が2003年に自民党から依頼されて執筆したマニフェストを、今回、一般に公開した。
若干古いものだが、皮肉なことにその後何も実現していないので陳腐化はしていないと思う。「私が政党の党首ならこのような形で訴える」という雛形としてぜひ一度ご覧頂きたい。
ここではその骨子として、日本が抱えた大きな問題点について紹介しておく。
日本という国が抱える大きな問題の1つは、中央集権に傾聴しすぎていることだ。
官僚が政策を立案し、それに予算を付けて実行していくという官僚主導・中央集権の日本型システムそのものが時代に合わなくなってきている。
さらに、80年代以降は官僚組織そのものが自己目的化し、国全体のことを考えるよりも細分化した官僚組織それぞれが局所最適化を始めてしまった。
このシステムそのものが、日本の再生にとって致命的な障害になっていると私は思う。
政治家や官僚といった政治を預かる人の視野が狭く、時代遅れのセンスしか持ち合わせていないということも問題だ。
今、世界はものすごいスピードで変化を遂げている。「この国をどうするべきか」を考える立場にある人は、世界のことを見て、知り、そして世界標準の感覚を持っていなければ務まらない時代だ。
ところが日本の政治家を見ると、世界のことを知らず、ステレオタイプの考え方に固執している人が殆どだ。
小選挙区制が導入され、今では人口25万人くらいの地域から1人の国会議員が選出されることもある。人口だけを見れば、横浜「区長」レベルだ。こうした状況も、日本の政治家の意識の低さを助長していると思う。
不勉強で世界を知らないという点では、官僚も同様だ。
外務省にしたところで、私から見れば30~40年前の頭脳しか持ち合わせていない。
例えば、北方領土問題をはじめとする外交問題について、外務省に新しい外交戦略を期待できるだろうか?と問われたら、答えは「NO」だろう。
日本の政治家は、ブレーンを作って、もう少し自ら勉強する機会を作るべきだ。今の状況を見ていると、いくつもの勉強会は開催されているが、圧倒的に勉強時間が足らない。
遅刻してきたり、途中退席してみたり、といった実態から推測すると、まともに勉強している時間は1日数分くらいだろう。
中身のないマニフェストと広告宣伝のような選挙キーワードを並べて選挙戦に臨み、結局選挙が終われば、マニフェストなど忘れてしまう。そんな悪循環はいい加減に断ち切ってもらいたいと強く感じている。
先月末あたりから、拝読させて頂いています。
選挙にしろ、国会答弁・マニュフェスト等にしろ…
以前から言われてますが、「広告業者」の濾過(スレット?)を通してからの「言論」になってしまったのではないでしょうか?
(言ってみれば、「嘘も方便」式の…)
単に国民受けを狙(ねらった)だけで、相手がある事を言ったから…
それではこちらは何を言えばいいか広告業者に頼ったり…
自分どう言えば受けるかだけを考えたり…
漫才師や芸能人でもないのにその計算だけを考えただけの意見の場合があったり…
時に他人に受けるのは、悪い事ではなく、どちらかと言えばいい価値観でしょう。
私生活の件まで全否定はしませんが…
ただこれを最優先にしている日本の風潮が蔓延(まんえん)しているようです。
以前ある飲み屋さんで、偶々隣に座った方が…
「消費税反対の話をすると女の子にもてるんだよね!」
と自慢げに話されてました。
(賛否は別にして、飲み屋さんで「消費税」の話をするのは…
但し、実話です。)
政治家の方の発言の裏の原動力が単にそういったもの(選挙での投票獲得のみ)になったら、日本の将来が心配ですね!
広告業界がどの程度、代議士のPRの企画
だからCO2で温暖化してるのかどうかははっきりわからない・・・というか違うらしいのです。
では何が一番温暖化に貢献しているかというとやはり太陽らしい・・・とのこと。
実際のことは学者もはっきり示せないんでしょうね。
CO2を悪者にした方が儲かるからかもしれません。
だからといってはなんですが、高速道路が利用料無料だからと言って、今まで以上に当然年間利用が増えるとしても果たして倍掛けで増えるとは思えない。
せいぜい+数十%ってところじゃないでしょうか?
自動車の場合エンジンは高回転で回っている方がCO2発生は理論的には少なくなるはずでしょうし。
だから、たいした問題では無いのは確かと思われます。
福沢諭吉を始め時代の先を行く方は庶民に考えが理解されるのに時間がかかるとは思います。少なくとも私は大前先生を存じ上げて以来、“自分の頭で考える事”を意識する様になり感謝しております。