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「映画芸術」の最新号(第444号)は、公開の日が近づいてきた『共喰い』の特集号である。1月に大島渚が逝き、3月に梅本洋一が逝き、9月には青山真治の兇暴なる怪物的作品『共喰い』が公開される。これが2013年という年である。残された者はなんとかして悲愴の中から勇壮を奮い出していかなければならない。そういう固有名詞の連なりである。
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あるじを失った部屋は鍵が閉められ、ドアのガラスから覗くと、室内は夏の強烈な日差しを受け、明るい静けさばかりが強調されていたが、彼のデスクも椅子もMacも、そして書庫もDVDの棚も、愛用のデ・ロンギ製エスプレッソ・マシーンさえ、そのままだった。トリュフォーのポスターは半分剥がれかかっている。ブラックの椅子は、あたかも彼が最後にそこから立ち上がった際のアクションに反応したままのごとく、斜め横に回転していた。
私が次の機会にここへ来たとしても、もうまったく別の空間になっていることだろう。おそらく新しいあるじを迎えているかもしれない。そういう惜別の思いを空間に差し向けながら、私はiPhoneのシャッターボタンを押した。そこには何が写っているのだろう? さっきまで前期試験を受けていた、今年の生徒のひとりが、廊下でシャッターを押している私に後ろから声をかけてくれた。「ブログ、いつも読んでます。」 彼のこの一声のおかげで、この廊下での無性の淋しさ、心細さが、少し和らいだ。
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