どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

宝の槌・・静岡

2022年01月26日 | 昔話(中部)

          静岡のむかし話/静岡県むかし話研究会編/日本標準/1978年

 

 ぼろぼろの着物を着たみすぼらしいとしよりが、泊めてくれるようお願いしたのは、欲の深いおじいさんのところ。

 ここであいてにされず、心の優しいおじいさんの家にいって泊めてもらったとしよりは、宝の槌をお礼に差しだします。

 「ほしい物の名前を三度呼んでから横に振ると、名を呼んだものがでてくる。しかし二つの物を一度に出そうとよくばると、たいへんな不幸なめにあう」という。

 ここまでは、よくあるパターン。

 心の優しいおじいさんが、「こんな、はずかしいもんだけえが、まあ一つあがんなさいや」と、ほかやけのイモをとりだします。食べ物が具体的にかたられているのはめずらしく、冬だったら雰囲気が出ます。欲の深いおじいさんも、囲炉裏のはしにすわって、おいしいおかずで夕ご飯を食べているところに、みすぼらしいとしよりが、たずねてきます。

 おじいさんは、すぐには宝の槌をつかいません。日照りでお米の収穫不足が二年、三年とつづいたとき、宝の槌を思い出し、米をだすと、こまっているひとにも米をわけて、よろこばれます。

 うらやましがったのが、となりのよくばりじいさん。宝の槌をかり、米と、それをおさめる蔵を同時に出そうとします。それが「米食らぇー、米食らぇー」と聞こえて、ネズミがやってきて、少ししかない米を全部たべてしまい、ひどい貧乏になってしまいます。

 

 よくばりじいさんのところで、汚い物などがでてくるより親しみやすいでしょうか。


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