静岡のむかし話/静岡県むかし話研究会編/日本標準/1978年
同じ宿屋に泊まった駿河、相模、伊豆の三人がお国自慢。
駿河の人は、日本一高い富士山に、腰を下ろし駿河湾の水で足を洗うような男がいるという。
相模の男は、琵琶湖の水をたった三口で飲み干してしまう、とてつもないでっかい牛がいるという。
伊豆の男は、天城山に、でっかいケヤキの木があって、そのどうまわりの太さは、大の男がひとまわりするには、どうしても三日三晩は かかるという。
駿河の男が「そんなでっかいケヤキの木を いったいなににするんだな」と。伊豆の男にたずねると、「相模の国の大牛の皮を使って 太鼓をつくる。」という。
そんな太鼓ができても、だれがたたくかと、駿河の男が伊豆の男にたずねると、「駿河の富士に腰掛けている男に たたかせるのさね。どんなもんだ、どんなもんかねえ・・。」
オチがすっきりしている自慢話です。