どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

ただぼっさん・・岐阜

2022年01月20日 | 昔話(中部)

          岐阜のむかし話/岐阜児童文学研究会編/日本標準/1978年

 

 富士山をつくったという巨人伝説。

 美濃と近江の国境に、ただぼっさんという大きな男がおったそうな。背の高いことは星空にとどくようで、こしの太いことは、百艘の船の帆をまいても、まききれんほどじゃっだぞ。

 北のほうからふいてくる寒い風に、ただぼっさんが、「どっこからふいてくるだ」と聞くと、風は、ひろい海をわたってふいてくるとこたえた。

 南のほうからふいてくる風にも聞くと、「お日さまのま下の、あついあついすな原から、ひろい海をわたってふいてくるだよ」という。

 ただぼっさんが、海ってどこにあるだかと、みまわしても、どこにもみえない。おかのうえにあがってみても、それらしいもんは見えない。とうとう駿河の国まできて、はじめて海を見たが、いくら眺めても海のむこうは、かすんでいて見えなかった。

 ただぼっさんは、海のむこうをみたいと、近江の国から土を運んで山を作り、のぼってみたが、海はひろびろとして、そのむこうには なにもみえない。

 もっともっと高くしなきゃと、せっせと土をはこび山をつくり、やがてその山は、雲の上に頭をだすようになった。

 この山が、富士山で、土をとったあとは琵琶湖になり、もっこからこぼれおちた土が伊吹山になったんだと。

 ただぼっさんは、晴れた日に、富士山の上に顔をだすというが、これまでみたものは、だあれもないんだとさ。

 

 巨人の大きさの比喩もさまざま。ただぼっさんも、じつに壮大です。


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