どんぴんからりん

昔話、絵本、創作は主に短編の内容を紹介しています。やればやるほど森に迷い込む感じです。(2012.10から)

モスルの旱魃

2024年01月16日 | 昔話(中近東)

       新編世界むかし話集⑦/インド・中近東編/山室静・編著/文元社/2004年

 

 イスラエルの昔話とされる話。

 北バビロニアのモスルの町では、ユダヤ人と回教徒が、もう何代にもわたって平和と相互理解のうちに、となりあって暮らしていました。

 ある年のこと、この地方には少しも雨が降らず、空は大地をうるおすことをやめました。今年は旱魃になるらしいと、人々が心配していると、食料品の値段があがってきて、小麦の値段は、一週間、一週間ごとにあがりました。全回教徒がモスルの大寺院に参拝してお祈りをささげましたが、無駄でした。回教徒たちは、じぶんたちの祈りがきかれないのをみて、ユダヤ人の隣人のところにやってきて、きみたちも神に祈ってくれるよう訴えました。

 モスルの町のユダヤ人は、みなシナゴグ(ユダヤ人の会堂)にあつまって、それから彼らの先祖や賢いラビたちの葬られている旧墓地にいき、祈りを捧げました。「助けたまえ、われらの主よ、そしてこの土地に雨を恵みたまえ。どうしてわれわれとわれわれの子どもたちは、われらの回教徒の隣人とともに、死なねばならないのですか?」

 彼らが祈ったり訴えたりしているあいだに、空は重たい黒雲におおわれてきて、みるみる雨が降りそそぎはじめたのです。回教徒たちはこれを見ると、ユダヤ人たちを肩車して、歌ったり踊ったりしながら、彼らの家まで送っていったのです。

 それからというもの、モスルのユダヤ人と回教徒とのあいだには、ただ平和と愛情だけがあることになったのです。

 

(2004年の出版でありながら、イスラム教徒を回教徒と訳している理由がよくわかりません)

 イスラエルとパレスチナ(ハマス、ヒズボラなど)の戦争は、大量の虐殺をうんでいる。ユダヤ人とイスラム教徒が平和に暮らしていた昔話から、学んでほしいと思うが・・・。


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