入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       Ume氏の入笠 「初冬」 (2)

2014年10月24日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨夜はまたしてもPCの暴走で、帰宅できず。幸い、キャンパーのY氏の支援を受けてなんとかアップすることができた。

 朝、Y氏を伴い第1牧区から第3牧区と巡回する間、氏は初めて目にする広大な景色に、ただただ「すごい」を連発するばかり。きょうは抜けるような青空が広がり、遠く白馬のさらに向こう、三国境まで見えていた。第3牧区にあるJXAの観測所の辺りから一望すれば、富士山が秀麗な姿を雲の上に浮かべ、さすがと言うべきか、すでに中腹まで冠雪していた。

 10時過ぎ、お師匠現れ、お供して北原新道の整備に出掛けた。またしても師の”草刈力”には圧倒されることに。何しろ、何もしないでただ登るだけでもあそこはかなり急で大変だが、80ウン歳の北原のお師匠は、そこを草を刈りながら登っていくのだ。草と言っても殆どは厄介なクマ笹で、相当の体力が要る。弟子は登り口の古くなった木材を取り替えたり、草を刈ったり、なんやかんや昼飯抜きで5時間ばかり、精を出し、出し尽くした。



 そしてまた、夜が来た。今夜からかんと氏、TBI氏のコンビが、星々をもとめて無窮の遠(おち)へと船出する。かんと氏は、天気次第では三夜の船旅になるとか。Y氏は黒川牧場から戻り、今夜ももここで焚火しながら二日目の夜を過ごすことに決めたよう。
 
 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。明日もキャンプの予約あり。五領丸さん(「突然の行動」はどうしたんですか)、火星で会いたいさん、H子さんコメントありがとうございました。
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       Ume氏の入笠 「初冬」(1)

2014年10月23日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 雨は降ったり止んだりを繰り返している。時折雨が強まると霧は薄れ、渋さを増した森の紅葉が白い靄の向こうから見えてくる。落葉松の葉はいつしか黄色に赤味が加わり、またすでに大方の葉を散らした小梨の木々にも、紅く色付いた小梨の実だけが、まるで紅葉しているようだ。全体に色彩のトーンが赤色を増してくすんだ分、陰影が深まり、雨のせいもあってか重く、暗い。
 雨の中を大沢山へ電気牧柵の撤収にいくと、伊那の谷は厚い雲の下でも上空には、薄青色した空が小さく見え、北アルプスの常念岳が影絵のように浮かんでいる。朝見回ったときは気付かなかったが、マナスル山荘の裏手の小梨の林に鹿が1頭罠に掛かって暴れている。以前にタヌキを捕獲した場所だ。つい先日、雷電様の近くで捕えた雄鹿には苦労したが、この鹿は雌だから、あれほど手を焼かずに済むだろう。 
                                                                    ・
 きょうは二十四節気のうちの「霜降」で、この時期から、霜が降りたり、北風が吹くようになると物の本にある。そこで、早い気もしないではないが、タイトルをきょうより「初冬」として、Ume氏の入笠シリーズを続けることにしたい。

 心配した天気もようやく回復の兆しを見せてきた。町田から来たというY氏も、キャンプの準備を済ませたようだ。どうか夜は、素晴らしい星空を堪能して欲しい。そうそう明日は北原のお師匠も登ってきて、ようやく北原新道の整備・草刈ができる。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。

 
 
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        雨の管理棟にて

2014年10月22日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

きょうのPHは飛び入りで


 下も雨、上も雨。登ってくる途中「六道原(ろくどうっぱら)」という、昔はキツネ、タヌキ、ムジナの類しか棲まなかった文字通りの原野で、戦時中は飛行場として使われたという広々とした、今は大半が田畑に変わってしまったところを毎日通ってくる。あるところまで来たらきょうは、雨の降る蕎麦の畑に何羽もの伝書鳩が見えた。
 中学生のころ、伝書鳩を飼うことが結構子供たちの間で流行った時代があったが、今でもそんな子供がいるのだろうか。蕎麦の実ならぬ麻の実を買いに、自転車通学が許された中学生のころ、学校帰りに鳥屋に寄り道し、交通量の多い道路に怖気ながら帰ってきたことを覚えている。
 1か月も飼えば新しい巣箱や飼い主になつくと言われ、待ちどうしかったその間を辛抱し、耐えてていよいよ放してやる。すると、飼い主の努力は呆気ないほどに裏切られ、鳩は前の飼い主の元へと飛び去っていった。
 何度かそんな苦い経験をした後、何羽かの伝書鳩が居着いてくれたが、さてその後あの鳩たちがどうなったのか、とんと記憶にない。不思議だ。このころのことは割かしよく覚えている方だと思っていたが、雨の中で懸命に蕎麦の実をついばむ伝書鳩に、思いがけずもそんな昔の記憶だけでなくその空白も教えてもらった。


 チビと57番、番長


 クロ

 好評のUme氏の写真を差し置いて、出来の悪い写真を載せたのは、「管理人の写真でもいいから、牧を去るときの牛の写真を載せろ」という要望を頂戴したからです。珍しくキャンプ場の予約を含めて、多数コメントをいただいています。ありがとうございました。みんな良い人ばかりで、再訪をお待ちいたします。東京野歩路会のIさんのブログは、入笠の案内としても要所が押さえられていて素晴らしく、是非紹介させてください。「Jホーム みちしるべ」で検索できると思います。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。
 





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       Ume氏の入笠 「晩秋」(7)

2014年10月21日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 右端にチラッと見える雪を被った山は、噴火前の御嶽山

 きょうは白岩岳(2267M)に登る予定でいたが、天候も期待できず断念した。この山は南ア北部に位置し、釜無山と横岳のほぼ中間にある。横岳からは南方に鋸岳、甲斐駒と続き、多くの登山者に知られている。しかし釜無山から白岩岳や横岳へは、登山道もない尾根を強行するしかないようで、かねてからそういう山に是非とも登ってみたかった。で、とりあえず今回は白岩岳一本にしぼり、小黒川林道からかろうじて残る踏み跡らしきを辿って、山頂に至ろうとしたのだ。
 いつか将来、山頂付近に避難小屋でもできれば、入笠山から釜無山、さらに白岩岳、横岳、鋸岳、甲斐駒と登山道が整備され、入笠山は文字どうり「南ア北端」の山となることが期待できる。
 来週もう一度、好天を利して登ってみようと考えている。
                                                                    ・
 

 山をおりた牛たちは、新しい環境で元気にしているだろうか。牛のいない殺風景な牧区を歩いてみると、曇り空ということもあってかいつにも増して枯草が目立ち、風景はいっそう侘しさがつのる。
 ところが雷電様の近くまで来て、ふと葉を落としてしまった山桜の枝に目をやったら、もう新しい小さな赤い芽が出ていた。秋、とりわけ晩秋は滅びの予兆ばかりが目に付くと思っていたら、再生の予兆もあることを知り、少し気分も和んで帰ってきた。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。
 コメントを2本頂戴しました。1本は久しぶりで懐かしく、もう1本は初めての人から。どちらも嬉しく、ありがたく。
 
 帰るころになって、青空も見えてきた。その空のすじ雲をかすめるように、音もなく一機の飛行機が南の方へ飛んでいく。飛行機雲は引いていない。明日は天気が回復するのだろうか。
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Ume氏の入笠 「晩秋」(6)

2014年10月20日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 あっという間に稲が刈り取られてしまったと思っていたら、もう、新米が市場に出回るようになった。寒々とした田園の風景に慣れるまでにはもう少し時間がかかるが、それにしても機械化が進み、田で見かける人の数は昔とは比較にならない。
 
 中央アルプスのことを伊那の人たちは「西山」と呼んでいたが、その西山に日が落ちるころには、一日の長い農作業が終わる。一足先に妻と子を帰し、夫は片付けをしたり翌日の段取りをする。そしてそれが済んでようやく、心地良い疲労感と充足感に押されて家路を急ぐ。風呂があればまず夫が入り、野菜と漬物ばかりの夕餉が始まる。一本の燗酒とサンマでも食卓にのぼれば夫の機嫌も一変して、日中ビックリするような大声で叱った妻のことを心で詫び、愛しさが深まる。妻がしまい風呂を済ますころうたた寝から目覚めた夫は、子供を気遣いながらも古い重い寝布団にくるまり、妻にさらにやさしくなろうとする・・・。
 いつのころの話だろう。まだ機械化がそれほど進まず、せいぜい耕耘機ぐらいが頼りだった半世紀近い昔のことだ。



 
 農機具メーカーのくれたロゴ入りのつなぎを着て、大型トラクターを動かせば、みるみるうちに稲は刈り取られてしまう。もう、大人にまじって農作業を手伝う子供の姿はどこにもない。田圃の畔でお茶を飲みながら談笑するオバサンたちも、いつにか消えてしまった。田園風景の中の平凡な人々の営みは、今では心象として残るだけだが、それとていつまでもあるわけではない。

 2匹の犬を可愛がってくれたO夫妻も去り、山も牧場もすっかり寂しくなった。午後からは雨となり、秋はそろそろ新しい季節に移ろうとしている。高いところは雪になるかも知れない。雷電様の近くに仕掛けた罠に、また1頭の雄鹿がかかっている。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては9月5,6日のブログをご覧ください。また、あまり遅くならないうちに、冬季計画についてもお問い合わせください。FC/Nさん、ありがとうございました。援護射撃を期待してます。TDS君のねぎらいの言葉「頭数は少なくとも、した苦労は同じでしょう」、哭けた。
 
 
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