入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’24年「夏」(28)

2024年07月01日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   
  雨の降る中、追い上げ坂の横の急な斜面を登り、塩と栄養剤を混ぜた配合飼料を持っていくのはかなりの労力である。それでも牛たちが喜んでやって来て食べてくれればまだしも、あの問題牛たちは何をしに来たのだと訝し気に見たり、逃げようとまでする。さすがに力が抜けてしまう。
 すでに入牧して11日目になる。にもかかわらず、いまだ彼女らは広い放牧地に慣れず、草もあまり食べているようには見えない。
 今朝は群れが割れて下段に9頭、中断に1頭、そして塩場に2頭いたが、それぞれを確認するまではやはり不安で、気が落ち着かない。先ばかり急ぐことになる。
 
 と、牛の話は措いて、何年か前、1週間ほど小屋に泊まって地衣類の研究をしていた筑波大の学生がいた。当時から彼はその方面の研究者を志していて、後に芝平の石灰山では珍しい種を見付けたと伝えてくれたこともあった。
 希望通り今は、同大学の院の博士課程で研究を続けていると、通信欄に便りをくれた。あれから何年が過ぎたのだろう。来月、研究に関連する人々を案内し入笠を訪れるという。多少はその浮世離れした研究に協力もしたから、入笠と言えば覚えていてくれたようだった。
 しかし目的地はヒルデエラ(大阿原)で、単独ではないためここまで足を延ばせるかどうかは分からないとあった。
 たまに彼のことを思い出す。気晴らしにHALと一緒に遊び、確か高校時代はハードル競技をやっていたとかで、小屋の前の立入り禁止柵を軽々飛び越えていた。
 
 いろいろな人が訪れる。先日は撮影が終わって、主演の女優さんと一緒に写真を撮った。普段は絶対にそういうことはしないが、多分こっちが酔っていて、つい助監督の勧めに応じてしまったのだろう。
 後で、知る人ぞ知る人だと知って、よくこんなしかめっ面の横に立ってくれたものだとその気さくさに人柄を感じた。初対面は撮影中ながら「お邪魔してます」であり、現場に行けば「おはようございます」と先に声をかけてくれた。
 惜しむらくはあの写真、酔いと照れ臭さのせいで顔は歪み、引きつっていた。
 牛から学び、人から学び・・・、有難い職場ではないか。(6月30日記)

 きょうから7月。午前3時、雨音が激しい。牛とともに、鬱陶しい天気にまだ半月は耐えなければ。
 山小屋&キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
«      ’24年「夏」(27) | トップ |      ’24年「夏」(29) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

キャンプ場および宿泊施設の案内など」カテゴリの最新記事