
忙しい日々が続いた。まだその余韻が治まらずにいる。幾人かの懐かしい顔に出会えたし、仕事も無事済んだ。一瞬が、1時間が、そして1日が瞬く間に過ぎ、それが充実した山行の後のように、快く長く後を引く。
夕暮れの風が吹き荒れた草原、黎明の光に安堵した早朝、冬眠から目を覚ましたばかりのクマも、里から上がってきた鹿も、背後の藪から息をひそめて人間の行動を見ていたに違いない。



ようやく、庭のボケの白い花が咲いた。カタクリも一株だけながら薄紫の花を付け、雪間に花を見せた「あの花」は、新しい光沢のある葉が古い葉と交代した。イカリソウも枯れた葉や茎の間から新しい芽を出すようになった。しかし、今年も赤い花は目にすることができても、白い花の方は山の暮らしが始まった後になるだろう。年々数を減らし、そのことも気になる。
そんなふうに、春は少しずつその気配を強めつつあるが、山はそうではなかった。伊那側には大量の雪が依然として残り、それがいつ消えるのか予想もつかない。きょうの雨はまだ続き、この先も土曜日以外は好天を見込めそうにない。それでどれほど雪が融けたとしても、初日の19日は途中から車を捨てて歩くことを覚悟した方がよさそうだ。
もう、どこか関係者に訴えたり、お願いするなんてことはしない。やるだけのことはしたのだから、もういい。
週末は「福島村カレー騒動」が起こる、始まる。明日はしっかりと包丁を研ぎ、その仕込みをしなければならない。愉快なことがあり、口惜しいことがあり、笑って怒って、春は遅い歩みを少しづつ早めていく。
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本日はこの辺で。
