
ここと里の標高差が1千㍍。100㍍につき0.6度の気温差だから、その違いは6度ほどになると前にも呟いた。昨日はそのことを痛感して、再び上に帰ってきた。
山を下っていた時は気付かなかったが、下に着いたのが11時少し前、その時になって初めて里の暑さに驚いた。
用事を済ませて家にも立ち寄った。「やはりわが家は涼しいな」と思ったが、ガスコンロで湯を沸かしたらたちまち室内温度が上昇し、即エアコンを点けた。22年前に都落ちした時は、エアコンの人工的な冷気を必要としない田舎の夏が何より嬉しかったというのにだ。
そもそも当時わが家には冷房機などというものは無かった。必要なかったからで、それを買ったのは夏対策ではなく、冬の寒さ対策だった。信州では暖房にエアコンは無理だと思い込んでいたら有効だと言うからだったが、あまり世話にはなっていない。
起きた時、居間を暖かくしておきたかったからだったが、例によって取り扱い説明書を読むのが嫌で、設定の仕方をよく知らないからだ。石油ストーブ、炊飯器、風呂、どれも右に同じ。
里の暑さに辟易して戻ってきたら、ここはすこぶる快適だった。刈り払い機の歯を新しいものに換えて、法華道の草刈りに出掛けた。雨は止んでいたが、何時降り出すか分からないような天気で、雨具も用意した。
イヤー、新調したばかりの歯の切れ味の良さはまさに感動ものだった。その前に一度、超硬チップ付の新品で試し刈りをしたら意外と期待外れで、そのためそれまで研いでは使っていたのと同種の歯、もちろん新品でやってみたのだ。
林業関係者が帰る時、車に積んだ刈り払い機から歯を外しているのには気付いていた。思うに、やはりあの人たちはチェーンソーと同じく切れ味が悪くなればその都度ヤスリで研いでいたに違いなく、その際には面倒でも歯を刈り払い機から外して研磨作業をやっていたのだろう。
待て、こんなことをいくら呟いても、山にいて都会の「うだる」ような暑さを想像するのが難しいように、刈り払い機など使ったことのない人にとっては、さながら愛刀の試し斬りの話でも聞くようなものかと、いや失礼しました。
それにしても夕暮れ時の古道の雰囲気がことのほか味わい深く、降り出した雨に「もう帰れ」と言われても、去りがたかった。きょうも行く。
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本日はこの辺で。