上は雪かも知れない、などと独り言(ご)ちる。曇天、不愛想極まりない冬の空で、里でも白いものが舞いかねない天気だ。などと思ったら、気温は意外に高く、陋屋の室内気温は暖房無しでも只今(午前8時)13度である。
11月の半ばに雪が降り、それが融けもしない山道を下ってきたのが昨日のこと、ところがきょうは炬燵も要らないほどの里の暖かさ、一体この惑星はどうなってしまったのだろう。
いつの間にか青空が拡がっている。今まで田中淳夫著「獣害列島」(イースト・プレス)を読んでいた。まだ読了してないがこの本では、有害動物が増えた理由としてよく言われる狩猟者の高齢化と減少、オオカミという天敵の絶滅、などに対して、日頃から漠然と抱いていた疑念だったが、やはりいい加減な俗説、こじつけであったと納得できるように分かりやすく説明している。
また野生動物がここまで人里へ出没するようになった理由として、実は里にある多量の餌、つまり商品化できずに放棄された野菜や果実が、かれらの活動域を拡げた理由として挙げていてこれにも納得させられた。
それだけでなく、奥山や里山の荒廃が動物たちにとってはより棲みやすい環境になっている例も挙げていて、これにも同意できる説明がなされていた。
鹿の駆除に関しては、静岡県農林技術研究所が開発した硝酸塩入りの餌を紹介していたが、これを食べると酸素欠乏症に陥り、結果死ぬのだと。しかし、殺すまでのことはないと思うし、動物愛護団体がまた騒ぎ出しそうだ。避妊薬で充分対応できる。
里へ出没するクマに関しても、鹿と同じような対応の遅れ、誤りを繰り返せば、そのうち人を怖れなくなるクマが増えてくることが懸念される。強いつよいと思っていたら、人間は存外臆病で弱いと知れば、もっとゾロゾロと里へやってくるのではないだろうか。そうなれば鹿どころの騒ぎではない。
それにしても、いま行われている学習放獣など、どれほどの効果があるのだろうか。クマの行動範囲の広さからすれば、人にとっては奥山でも、クマにしたら裏山程度でしかない。
以前に学習放獣に立ち会ったことがあったが、罠にかかったクマを麻酔銃で眠らせ、車まで運び、細密な個体調査の資料作りにも協力したが、役所の担当者は放獣をどこで行うかは明かさなかった。入笠周辺の国有林だろうと想像したが、その場所が伊那側であろうと富士見側であろうと、クマにとっては多分散歩の範囲内に過ぎないだろう。
本日はこの辺で。