入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’23年「冬」(11)

2023年01月16日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 天気が良ければ今の季節、夕映えの仙丈岳が開田からはこんなふうに見える。夜間でも視界の奥に、月明かり、あるいは星明りに照らされた堂々たるこの山を知ることができて、饒舌な冬の星座とともに夜の散歩では欠かせない楽しみである。もう少しこの方向に歩いてから左に折れて北方に向かうのだが、それでもこの山が背後に感じられ、もっと行け、もっと歩け、と励まされているような気分になる。
 昨日は生憎の天気だったが、今年になって初めての散歩に出掛けた。他に目的があり、夜でなく小雨の降る中であったが枯れた野や林を歩き、渓を流れる水の音を聞いた。幾つかの場所で神妙になり、幾つかの場所で気の安らぐ思いがした。
 
 また、その前日の土曜日、これも今年初めての瞑想をしたのだが、こちらの方は1時間30分の間ひたすら時の経過を意識しながら、線香が1本いっぽん3本燃え尽きるまでの間、乏しい火とたゆたう煙を眺めつつ日常の外へ出ようと努力した。
 しかし、果たしてその入り口くらいまで行けたかどうかと自問するもはなはだ覚束ない。散歩の方は続けるのに全くやぶさかではないが、瞑想の方はあまりにも捉えどころのない空疎の中にいて、それでもそのうち、この時間にも何らかの色彩が見えてくるのどうなのか。もしかすれば、意味の分からぬ経でも長々と聞きつつ、いたずらに有難がっているのと同じかも分からない。

 実は3日ばかり、西域の一部と言われる地方を旅していた。もちろん本の上でだが、中国、モンゴル、チベット、ネパール、インド等々それなりの長旅だった。
 もうずっと昔だが、明治のころに鎖国をしていたチベットへ潜入した黄檗宗の僧侶、川口慧海の本を読んだことがあった。パーリー語やサンスクリット語、チベット語で書かれた古い仏典を求めて同師は苦労の旅をした。詳しい旅のことは師の残した著作に譲るが、帰国後も肉食、妻帯をせず、還俗しても僧としての節を守った生涯だったように聞く。世田谷の九品仏にある記念碑を訪ねたこともある。
 その後も、宗教的な理由で僧侶が、あるいは冒険家が知られざる僻遠の地を目指して旅をし、幾つもの旅行記を残している。ひょんなことから内モンゴルへは行ったことがあるが、ネパールのカトマンドゥへは約束をしただけで果たせず、それでもこの地域への関心はまだ消えずに残っていた。
 
 本日はこの辺で。

 
コメント
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