入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’18年「初夏」 (23)

2018年06月07日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



                Photo by 海老名出丸氏(2作とも)

 昨日、関東甲信越地方にも梅雨入りが宣言された。これから始まる2ヶ月近くの雨期、雨の中を上ってくる時などは、南米ブラジル北部の森の中で現代文明と無縁に暮らすヤノマミのことをつい考えてしまう。火は扱うが裸に近い格好で、ハンモックに寝る。直径60メートルほどの広さの空き地を円形に小屋が取り囲み、集団生活をしているという。小屋に壁などないから、一切合切が公開された中での生活だそうだ。興味があれば「ヤノマミ」(国分拓著・NHK出版)に詳しい。著者は書く、「ヤノマミの世界には、『生も死』も、『暴も愛』も、何もかもが同居していた。剥き出しのまま」、「彼らは暴力性と無垢性とが矛盾なく同居する人間だ」などと。
 まあ、裸ではいないし、ここには一応の文明の利器もないではない。しかし、雨に濡れながら森の中を歩いていれば、ふと、彼らに限りない親近感を覚えたりする。きっと、彼らの暮らしの満足度や不満足度と、ここでの暮らしが、それとなく同調する時があると思えるからだろう。雨具を通して衣服は濡れ、足元もグショグショの状態では、彼らの裸姿と似たようなものだ。それでいて、彼らが森から逃げ出さないように、今のこういう暮らしを受け入れ、逃げ出そうとは思わない。
 ただ、ヤノマミをあのような暮らしの中に置いておくのが良いのか悪いのかは、誰にも簡単には出せない答えだ。取材から(著者はNHKの番組制作ディレクター)戻り、著者は簡単に文明社会に適応できない自分に、どこかが壊れたと感じる。しかしそれを「決して不快ではなかった」と書く。彼も、ヤノマミの中に同じ人間として肯定したくなるものを発見したり感じて、彼らに親愛の度を高め帰ってきたのだ。そして、「彼らが希望する生き方を全うできるよう」支援してあげたいというのが、著者の態度だ。しかしそれでも、この本が出版されてから7年が経つ。もしかすれば、ヤノマミの暮らす先住民保護区は、もう存在しないかもしれない。
 ところで、牧場の仕事を続けながらこれ以上に野生化が進むと、段々人との交流が上手くできなくなりはしないかと思ったりする。それでも、もう、残り時間(何の?)はあまりないから、それならそれでも構わない気もしている。その点、あの人、山奥氏はどうなんだろう。ウーン、あの人だって危ないかも知れない。クク。

  FAXでも予約や問い合わせに対応できるようになりました。ご利用ください。 入笠牧場の営業案内は「入笠牧場の山小屋&キャンプ場(1)」
「同(2)」をご覧ください。


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