雪煙を上げる中央アルプス宝剣岳
今朝いつものようにブログ「海のおうち山のおうち」を読み出して驚いた。そして誠に恐れ入り、恐縮した。ドデンと写っていたのは、このブログの立ち上げに絶大な協力をしてくれた恩あるtoshyさんの足だ。何事かと思って読み進んで仰天した。2枚目の同じ写真にはマークが付され、なんとそれは一昨年のことであったか、キクが噛み付いた傷跡を示すものだった。そんな傷が残っていたとは、思ってもみなかった。
富士見の別荘地に愛妻chiyさんと暮らすtoshyさんは、大型犬サルーキを2頭も飼う抜群の動物愛好家だ。そんな人に、何を血迷ったかキクは、背後から噛み付くということをしでかしたのだ。このブログは、消息不明のまますでに2週間が経過したキクのことを気遣ってくれた、chiyさんの有難い配慮だ。それにしてもキクは、分からないことばかりしたがこの件も、その一つだ。
すでに書いたが、キクは川上犬の雌4歳である。初めて見たとき、5匹生まれた中で一番元気な子犬だった。狭いゲージの中で他の兄弟犬を無視して、コロコロ走り回っていた。家に来てからも、そのやんちゃな性向は強まるばかりで、しばしば雌犬であることを疑いたくなった。ただこの犬種の特徴と言われるが、飼い主にだけは服従した。ただしキクの場合は、3歳年上の姉になるHALと違って、それも繋がれている場合に限られた。自由の身になれば野生の血でも騒ぐのか、こちらの統制を無視することもあった。
HALは小さい頃よく散歩にも連れて出掛けたが、キクにはそれが不足していた。もう少し躾もすべきであったと、今になって思う。10メートル前後の強靭な策(3回切ったが)にカラビナを通し、3メートルばかりのリードに繋がれたキクにとっては、食べることこそが慰安であり、そうやって生きることに多少は不満があったかも知れないが、しかし受け入れていると思っていた。もっとも、仮にそうでなかったとしても、どうすることができただろう。牧場の仕事が続く7か月の間は、朝夕2度の給餌以外、2匹の犬の世話はどうしても怠りがちになってしまった。
今日もスキーに行く予定を変え、芝平まで行ってきた。失踪した12月22日、2匹の犬を車から降ろした同じ場所に、キクのために設けておいた”仮設住宅”は、何の変化もなかった。一緒に連れていったHALは今回も、それには何の関心も示さず、近付こうともしなかった。マットやシートには、キクばかりでなく自分の残臭もあるはずだというのに。
これがキクのための”仮設住宅”
しかしchiyさんの言うようにまだ、諦めてはいない。昔牧場から逃亡した牛でさえ、雪山の中で越冬したと聞く。1月半ばには雪下ろしを兼ねて上がるし、2月も予約が入っている。そのうち思いがけない所で、キクの消息を知ることになるかも知れない。
今日の宝剣岳の写真、提供してくれたNさんはピンボケを気にしていたけれど、素人らしくていいですよ。