自分で記事のタイトルをつけておきながら、ぷっと笑ってしまいます。
でも、そうなんです。
実は今まで誰にも話したことはなくって初めて言います。
ハードレーヴェットHardrevetを人前で弾きたくないのです。
理由の前に「ハードレーヴェットHardrevetとは一体ナニ?」というところから。
ニッケルハルパをご存知の方なら、説明するまでもない、エリック・サルストレムEric Sahlströmが作った曲です。
とても有名曲で、セッションでも定番。指の練習にもなるので、ちょっと弾き始めて次のステージに、という人に人気の曲なのです。
こんな曲です。このYoutubeで演奏している人は何度か日本に来ているので、あ!って気づく方もいるかと思います☆
ちなみにテーブルみたいのを「よっ!」と叩いてるように見えますが、あれはシットラCittraです。(チターのこと)
GåsAndersTräffen i Björklinge den 13 maj 2010
Hardrevetを英語にすると、hare hunting。野うさぎのハンティング。
前半は躍動感があって、後半は小刻みなリズムが続きます。
F-dur(F major)で、明るい曲とか速いテンポというより、何より優雅なメロディです。
この上品で美しい流れ、一人で弾いていると気付かないかもしれません。私も、最初の頃は、単調なリズムが続くけど練習になるなくらいに思って一人で弾いていました。おすすめは、2-3人でちょっとせつない系のコードかハーモニーをつけて弾くスタイルです。
なので、初めてスウェーデンでセッションで聞いた時にはこのフレーズの裏にある響きがあまりに美しくて印象的だったのを今でも思い出します。その時リードして弾いていたのは、Toboにあるニッケルハルパの学校ESIの男性スタッフでした。鼻の下に髭をはやした茶髪の彼が、一緒に弾く私を横目でちらっと見たのを、なぜかとってもとっても良く覚えています。
この小刻みな16分音符は、エリックのこの曲だけでなく、Byss-CalleやBingsjöポルスカでもあります。でも、やっぱり、このメロディにある、はかなさ、かげり。これがエリックの上品な曲の特徴だと思うのです。同じ地域の出身でよく比較されるヴィクスタ・ラッセViksta Lasseはアハハといつも笑っていますが、エリックは真面目。労働者でもあり貧しかったとも聞きましたが、その光と影のバランスがエリックらしさなのかもしれません。
そして、これを人前で弾きたくないワケ。あまりにも完成されたこの曲で、今現在の自分の全てが出るんです。他にもエリックは難易度の高い曲、同じように上品で速い曲はありますが、Hardrevetの持つシンプルさが全てをさらけ出させてしまうのです。
- 優雅ではかなげなのに、速くて小刻みなテンポを刻む -これは、ロボットのように正確に弾くこととは全く違います。特に、ポルスカのリズムが感じられないと、平べったい曲になってしまいます。
- 高音のテンポを刻むのに、シャープでクリアでエッジの効いた音を出さないといけません。これが、ぼあっとしたぼけた音になると(弾くの必死になると、そうなりがちです)ニッケルハルパらしさがなくなり、エリックの曲のもつ特徴もなくなります。
- 指も大きく開かないといけません。手が小さかったり十分に開かないならジャンプしないといけません。十分な柔軟性がないと、メロディのスムーズな流れがとまる要素があります。
でも他の曲はちょっとくらい下手でもそれで許されるけど、この曲は、そういうことがそろって初めてこのメロディになるんです。
(と、私が思っているだけですが…)
だから、時々この曲を自分で弾いてみて、あ~、まだまだだな~って。
人前では弾きたくない = いつか人前で完璧に弾きたい
裏を返すとこういう意味でもあります!!
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