スウェーデン音楽留学サバイバル日記 ~ニッケルハルパ(nyckelharpa)を学ぶ

スウェーデンの民族楽器ニッケルハルパを学ぶため留学。日々の生活を様々な視点からレポートします。

ノルディック民族楽器セミナー その1

2007-06-13 19:14:52 | スウェーデン生活
13日はストックホルムに着くとお昼までぶらぶらし、日本に持って帰ろうとライ麦パンや
ひまわりの種の入った黒いパンをたらふく買ってストックホルムの駅のコインロッカーに預けたバッグを取りに
必死で歩いていた。

すると「やあ!」
声の方を振り向くと、ニッケルハルパ職人のソーレン・オーケル(Sören Åhker)だ。
「え!こんなとこでバッタリなんて!ひょっとして今日のセミナーで?」
と聞くとやっぱりそうみたい。
「また会ったね!」もう一人いて声をかけられた。
「あ、ダニエル!こんちわ!」
ダニエルは卒業生でもあり、今は有名なプレーヤーだ。
「荷物とりにいくとこだから、向こうでね!」と言い足早に別れた。

セミナーは、私が楽器のことを色々とおそわったエスビョンの主催。
今年で14回目を迎える(初日の様子その他の写真)。
nordiska folkmusikinstrument、 北欧民族楽器セミナーと訳せる。

集まった人は、スウェーデン以外では、主にノルウェイ、フィンランドの楽器職人、ミュージシャン、研究者だ。
初日はストックホルム。その後も約1週間続くが私の参加はこの日のみ。

音楽博物館に到着すると、学校のスタッフ、校長、エスビョンなどなどみんなからZornの結果をオメデトウ!と言われた。

写真左上は、博物館外で雑談の様子。
右はダニエル。話している相手は研究家ペル・ウルフ。
ペール・ウルフの左は、Sigurd Sahlströmで、エリックサルストレムの息子。
さらにその奥、顔がちょうど見えないけど、ニッケルハルパ職人のウッレだ。

さっそく受付後はみんなでランチ。
すぐ側にある豪華なオペラ劇場の上のOpera Cafeにて。
写真のようにテラスでご飯は気持ちいい。
船着場を一望できる。
豪華なレストランなのにランチは日替わりで91krだった。
この日のメニューは、白身魚のフライ、ザリガニのタルタル、ポテトとパン。
ザリガニは初めてだったけど美味。
ロブスターっぽい食感で、海老より好き。
テーブルにはエストニア人の卒業生で、今はノルウェイに留学しているJの隣に座った。
ノルウェイでは、フィンランドのタルハルパ(と聞こえたが間違ってるかも)を使って音大に留学しているのだとか。
(その楽器は、上記リンクのセミナーの写真に写っている)
カンテレをちっちゃくシンプルにした形で弓で弾く。
色んな楽器があるものだ。

さて博物館に戻るとさっそくエスビョンの演奏とウェルカム・スピーチでセミナーの開始。
まずは参加者の自己紹介から。

なんと、Erika&Ceciliaのセシリアが来ていた。
「フランス製のニッケルハルパを弾いています」と会場に挑戦的な挨拶をしていた。(挑戦的と思ったのは私だけかもしれない

私の番になり一言だけ挨拶すると、エスビョンが割ってはいった。
「彼女は昨日Zornでディプロムをとりました。日本人初です。オメデトウ!」といい、最後列に座っていた私を
みーんな一斉に振り返り拍手がおきた。
内心「おい、おい…」と思ったが拍手はやまない。
日本人初とはいえ、まだディプロムはたいしたことないのに・・・
どうしようと思いながら「Tack, tack!(ありがと)」と言い大きく頷いてみせると静まった。

さてさて、初日のテーマはスウェーデンのニッケルハルパだ。

まずは博物館館長の挨拶、博物館の概要、本の宣伝など。

次はダニエル・ペテション(Daniel Pettersson)によるデモ演奏を交えながら、ペール・ウルフから最新の研究報告。

そしてグンナル・アルベックによる、スウェーデンでおきたフォークミュージック・リバイバルとニッケルハルパの状況変化について。

そして、さらに館員の宣伝が入り、FIKA(ティーブレイク)。
館の人は、「この博物館で展示されず保存している楽器は膨大です。みなさん、どうぞ使ってください。
ぜひこの財産を有効活用してください」と。
でも…私も使っていいって訳じゃないよね?きっと研究者向けなんだろうな、いいな。
ということで、保存庫から持ち出した貴重な楽器がずらっとならんでいる(写真右上)。
ちなみに手前は緑のハーディガーディ。

Fikaではまた卒業生に会った。
若手有望視されているニッケルハルパ職人のミカエルだ。
「最近、作ってないらしいね?」と言うと
「そうそう。大学(マスター)でギターの勉強してて、後1年。
それからはもっと作るよ。学業と同時だからまだ8台しか作ってないんだよね」
「え!?8台であの評判!?ウロフが推薦してるからかな。すでに名前、有名」と言うとたいそう喜んでいた。
日本のみんなにも、もう少し待ったらもっと作ると言っといてねと言われた。

8台は少ないけど、ウッレの300数台という数もすさまじいと思う。
ウッレの大量生産(作るスピードが速い)は有名な話。
この楽器を欲しがっている人の手に早く届けることができ、普及にとても貢献している。

さて、FIKAの後は、うちの学校ESIの校長プレゼンとSigurd(エリックの息子)の演奏だ。
国がこの伝統的な音楽や楽器にどう関わっているか、教育機関やその取り組みは?といった内容。

日本では、伝統音楽を政府がサポートしているか、雑談の中で聞かれたことがある。
どうなんでしょう。事情を知りません。
でも琴はローカルな民のための民族音楽ではなく宮廷音楽だと思う。
楽器や音楽の定義が難しい。
しかし、日本政府は炭鉱節のようなフォーク・ソングの普及と発展に税金を使いそうにない。
そういう意味では、北欧諸国は宮廷音楽ではなく、ローカルな民族音楽・民族楽器に税金を投入し、
真の伝統保存を真剣に考えている。

博物館の館長が言っていた。
「楽器職人、ミュージシャン、それだけでは成り立たない。
研究者が真の価値を見出し、その成果や価値を社会に訴えかけていく必要がある」

さて、最後にアンデシュ(Anders Peev, Godrunメンバー)が登場。
これからの新しいニッケルハルパの形として、通称ガンバ・ハルパ(テノールハルパ。ヨハン・ヘディン考案。
ペーデルシェルマン(Peder Källman)作)
を演奏した。
ガンバ・ハルパはバイオリン属ではなくガンバ属の形をしている。
そして4弦あり、チューニングはバイオリンと同じ。
そしてペーデル作の楽器は、一部、kvartston(半音の半分)がついている。

その後は貸切バスで全員でToboへ向かう。
(明日からのセミナーはToboで開催)
セミナーは時間がおしていて、バスの時間があるため最後はどたばたと切り上げて撤収。
私はフィンランドから来たタルハルパ研究者の車にのせてもらい、ペール・ウルフも同乗、Toboまでの道案内をした。

つづく
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ガムラ・スタン

2007-06-13 17:31:35 | スウェーデンのこと...
ガムラ・スタン(Gamla Stan)はストックホルムの旧市街。

13日の早朝、ストックホルムについたので、お店が開いてなくてもいいやと散策にでました。
荷物はストックホルム駅の地下のコインロッカーに預けました。

中世の面影をのこします。
でも、おみやげ物屋と人でごったがえし、とてもとても中世の気分には浸れません…

おススメは、朝早くか夜。人が半分くらいに減ります。
夏の夜なら日もいつまでも明るい。
冬の夜ならオレンジの街灯に照らし出された、ひっそりとした石畳がまるで中欧のよう。

でも、ごったがえす時間帯でも、ガムラスタン奥の人のいない方、いない方と細い路地の奥をすすむと、ひっそりしたエリアが。
雑貨屋やアンティークショップ、高級レストランがぽつりぽつりとあります。

写真中央は、そのひっそりしたエリアの高級レストラン(Fem Små Hus)前にある郵便受け。

写真右は、長くつしたのピッピ
知らないというスウェーデン人がいたらエセです!
アストリッド・リンドグレーン(Astrid Lindgren)の作った国民的キャラクター。
たしか生誕100周年か何かのはず。

ニッケルハルパで弾いているときも、誰かがよくこのテーマ・ソングを弾きはじめタ誰もかれも皆弾き出すということが
しょっちゅうありました。
映画版では、スモーランド地方のポルケッとを別のキャラクターが口ずさんでいたそう。
作者のアストリッドは、フォークをたくさん聞いて育ったらしい。
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