モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

「悪くない音、正しい音」と「感銘を受ける音、はっとする音」

2023-01-06 13:52:32 | オーディオ
Sound Reproductionはやはり良書ではあると思う。今回は自分にとっての疑問の解決と論点整理が進むという意味であるのだが。

音楽を作る側は良いと思う設計と音楽を聴く側が良いと思う設計に若干の違いが出る部分があるということを明確の述べてくれているし、周波数特性には悪影響はあったとしてもリスニングにはあった方がよいと言う要素をちゃんと優先すべき順位をつけて説明してくれている。
そういうものを明文化してくれなかったら、音楽を作る人間が好まない傾向がある、周波数特性には悪影響があるといわれていることに対して、そんな要素を付けたら音が悪くなる。邪道だ。ありえない。耳が悪い証拠だ。などという批判を懸念して採用するのを躊躇うケースが非常に多いと思う。
それを、音楽を作る人間は好まないことが多いし、周波数特性にも悪影響があるのは事実だ。けれども音楽を聴くときにはあった方が良いと感じるし、周波数特性への影響も部屋が広いなどの条件があれば問題ない程度だ。と言及してくれていることで救われるものがある。通り一遍の表面的な知識だけの書籍だとこういう救済をしてくれない中でSound Reproductionは拾ってくれているところが白眉ではあると思う。

またまた音楽再生の部屋はガチガチのソリッドな壁にした方が良いと言われているが、それは防音を目的としたものであって、バランスのよい低域を実現するためならそこまで分厚くない方が良いと言ってくれている。そういった部分もやはりそれなりの説得力のある立場の人が明言してくれることで救われる人はいるとは思う。

部屋の音響調整となると1番目に防音がきて、2番目に音響障害の解消が来て、最後に正しい特性が来る。そしてそこまでになってしまうことが多い。
ただ、コストがかかるものではあるし趣味性の高いものではあるのでやはり悪い所がない、正しい音が出るだけのためにそこまでやっても面白くないのではないか。
趣味のオーディオとして理想的な部屋の音響調整は1番目に最低限以上の防音を必要としてない立地がきて、2番目により好ましい音にする処理が来て、最後に音響障害の解消がくるというものではないだろうかと感じるところである。

音響設計としてITDGを10ms確保して床も一次反射面は吸音として定位を作り出す時間には直接音以外を入れないようにする。
10ms以降にスピーカー側の側壁からの一次反射音を積極的に入れる。一次反射音は正面から120°以上の角度をとってワイドにする。これによりASWを幅広くして広大な音像を作り出す。他の一次反射音は積極的には入れないようにする。
10ms以降に後期反射音を満遍なく入れてLEVまではいかずともライブ感を出しつつも音響障害にならない程度まで細かくし、なるべく上方からの反射音を多くして開放感を出すというようなものが良いのではないかと考える。残響の長さは拘らず明瞭さに欠けるようなら吸音部を作り、前の音で次の音がマスキングされるような印象がなければ小空間でできる残響時間を残しておく。

こういった設計にすると、定位は良い割にダイナミックな音像となり、広々とした空間の音になるのではないだろうか(実際にこれをやるには広々とした部屋が必要なのだが)。そんな音はすごいと思える音、気に入る音、好きになってしまう音ではあると思う。
もちろんこの設計だと周波数特性はベストではなく、明瞭さを最優先にしたものでもないが、ベストではないなりに許容範囲に収まるだろう。趣味としてやるならこういった音ではないかと自分では思えてくる。


コメント
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