モッチリ遅いコメの距離感

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仮想リスニングルームの壁面デザインについて④ -続・続・正面壁の考察 +α

2023-01-02 22:45:51 | オーディオ
正面壁は間接照明や音響処理をデザイン性のあるものにして相対していて飽きない、居心地の悪くないものにすべきという話に前回なった。
それ以前の考察では、正面壁の一次反射音は中低域優位の周波数特性を有しており、スピーカーより内側から到来する初期反射音は聴感上の明瞭さを損ないやすい。そのため正面壁の一次反射面は中域やできれば低域などにフォーカスを当てて激しい一次反射音がリスニングポジションに来ないように対処すべきだと述べた。

上記の2点(+可変性)を考慮したいとは思っているが、そもそも中低域を扱うと言っている以上は正面壁は生半可に対応してもうまくいかない可能性が高い。デザイン性や可変性も大事だが、まずは正面壁の一次反射面に効果的な施策を行うことを優先して行うべきだと考えた。そして正面壁からの反射を介して逆方向の側壁に音が飛び、定位を乱す現象もなるべく軽減したいと考えている。
まずはそこから設計することとした。

正面壁の一次反射面の処理ではあるが、拡散は基本的に中高域に作用するものであり、中低域に十分な効果は期待しづらい。とはいえ吸音は最初から行いたくない。
ということでリスニングポジションに向かう反射の方向を逸らすdeflectionを用いたReflection Free Zoneで対応すべきと考えた。結構昔に同じ結論で考察した気もするので同じ思考プロセスを2回繰り返してしまったことになる。学習効果とは。。。

正面壁の一次反射面を含めてリスニングポジションの座標を中心にクサビを作った。拡散などを組み合わせてもいいが、波長の大きい音の進行方向にしっかり影響を与えるには大きさ的にもdeflectionを目的にしたクサビの方が効果がある可能性が高い。
そして逸らされた反射波はスピーカーのある側の側壁に向かい、さらに反射する。これはASWを増加させ広がり感を与えるのに効果的な後期反射音になってくれる可能性がある。
音の明瞭感に悪影響が出る可能性が高い一次反射音を変換して音の広がり感の増大に寄与する後期反射音になってくれることが期待できる。マイナス要素をプラス要素に変えることを期待したものである。



ただ、「正面壁の一次反射面の反射波を逸らすこと」と、「他の壁やリスニングポジションに入るはずの反射波をスピーカー側の側壁に反射するように方向転換する」を達成するだけならここまで大きくする必要はない。
逸らし板によってスピーカー側の側壁に音波が流れるのは下記の部位だけだからである。



それ以外の場所は逸らし板があることで反射波の方向は変わるが、正の影響がないかもしれないし、負の影響があるかもしれない。
上記の図だとクサビというより側壁の案で示したようなフラップになっている。
今回はフラップのままの設計で良いのではないかと考えている。
なぜかというとフラップにするならドアのように蝶番で壁とフラップを接続することで可変性のある逸らし板にすることができる。角度を変えたり役立たなかったらしまったり取り外したりできるから可変性として優れている。
またフラップの裏側は逆ホーン型になっており、迷入した音の消音効果を期待できたり、消音できないにしてもスピーカー側の側壁に反射を返してくれる形態をしているので今回のコンセプトの目的に沿った追加効果が期待できる。


上記の設計を取り入れつつ、後壁の一次反射面をdeflectionや拡散もしくは吸音で処理する。そしてそれ以外の部分はできれば拡散、耳の高さ付近はできる場合は上に逸らすといった感じで、特別この場所はこうしなければという要素が思いつかない。
今回の石灰の反射波の挙動はこんな感じになる。


リスニングポジションに入射しない波も表示する。
スピーカー側の側壁からの入射波は残っているが、他の面からの音は抑制されている印象はあるので設計的にはいけそうな気はする。



この設計をベースにデザイン性や居住性や細かい部分を設計していく感じなるか。
コメント
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