防音についての日本音響学会の論文をもう1つとりあげてみる
中空二重板構造の低周波数における遮音性能向上について——軽量かつ高剛性な材料の内挿効果——*
小 泉 穂 高,松 岡 明 彦
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/78/11/78_662/_pdf/-char/ja
この論文では基本的には100Hz以下のかなり低域の防音をメインに扱っている。
透過損失は 1 次固有振動数において最小となるがそれ以下の周波数では増加し,これは剛性則と呼ばれる。剛性の強い厚く重い壁では固有振動の周波数が低いため透過損失が小さい(音漏れの小さい)が、剛性の小さい板材でも曲げ変形をさせることで遮音できる周波数を低いところまでカバーができるとのことである。
また、扉などの内部の中空構造になっている素材は内部の中空部分に破損防止を目的としてハニカムコアが入っていることが多いという。ハニカムは軽量ながら剛性が高いという構造的特徴を有しており,低周波数の遮音性能への寄与が期待される。
曲げ板やハニカムコアが防音にどのような影響を与えているかを調べている論文である。

まずは板を曲げたを中空に挟んだ場合の透過損失の実験結果

波形の屈曲板が入っている場合が最も透過損失が大きくなっているが、普通に屈曲させた板の場合は平板とは透過損失に大差がないように見える。
印象としてはそこまで大きな効果が期待できなさそうというのが個人的な感想である。屈曲による空間の占有であったりコストであったり、実際の応用の場合積極的に用いるというよりは、平坦な壁よりは曲げた方が壁の剛性が上がるので、壁を屈曲させるデザインが採用できる場合には採用すれば若干のプラスにはなる程度の認識で扱う程度が良さそうである。

もう1つのハニカムコアの研究

ハニカムコアを挿入することにより、全体的には透過損失は大きくなっており、遮音性は向上しているように見える。一部の周波数ではハニカムコアによって性能が下がっている部分があるが、大きく遮音性が落ち込む周波数がなく全体的なバランスも良くなっている。
接着剤は両面に塗った方が性能が遮音性能が良いようである。これも極端に性能が上がる訳では無く、単純に幅広い周波数で防音をするならグラスウールの方が良いのかもしれない。
ただハニカムコアは2枚の板を連結しつつ、板の補強ができるというメリットがあり、プラスアルファで遮音性が高めることができるというメリットがある。
板の鳴きなどを抑えることもでき、遮音性が高いと言っても、反射の際にハニカムコアの摩擦熱に置換され吸音される分もそれなりにありそうだと考えると、上手く使えば音響建築でも使いどころがありそうにも思えてくる。
中空二重板構造の低周波数における遮音性能向上について——軽量かつ高剛性な材料の内挿効果——*
小 泉 穂 高,松 岡 明 彦
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jasj/78/11/78_662/_pdf/-char/ja
この論文では基本的には100Hz以下のかなり低域の防音をメインに扱っている。
透過損失は 1 次固有振動数において最小となるがそれ以下の周波数では増加し,これは剛性則と呼ばれる。剛性の強い厚く重い壁では固有振動の周波数が低いため透過損失が小さい(音漏れの小さい)が、剛性の小さい板材でも曲げ変形をさせることで遮音できる周波数を低いところまでカバーができるとのことである。
また、扉などの内部の中空構造になっている素材は内部の中空部分に破損防止を目的としてハニカムコアが入っていることが多いという。ハニカムは軽量ながら剛性が高いという構造的特徴を有しており,低周波数の遮音性能への寄与が期待される。
曲げ板やハニカムコアが防音にどのような影響を与えているかを調べている論文である。

まずは板を曲げたを中空に挟んだ場合の透過損失の実験結果

波形の屈曲板が入っている場合が最も透過損失が大きくなっているが、普通に屈曲させた板の場合は平板とは透過損失に大差がないように見える。
印象としてはそこまで大きな効果が期待できなさそうというのが個人的な感想である。屈曲による空間の占有であったりコストであったり、実際の応用の場合積極的に用いるというよりは、平坦な壁よりは曲げた方が壁の剛性が上がるので、壁を屈曲させるデザインが採用できる場合には採用すれば若干のプラスにはなる程度の認識で扱う程度が良さそうである。

もう1つのハニカムコアの研究

ハニカムコアを挿入することにより、全体的には透過損失は大きくなっており、遮音性は向上しているように見える。一部の周波数ではハニカムコアによって性能が下がっている部分があるが、大きく遮音性が落ち込む周波数がなく全体的なバランスも良くなっている。
接着剤は両面に塗った方が性能が遮音性能が良いようである。これも極端に性能が上がる訳では無く、単純に幅広い周波数で防音をするならグラスウールの方が良いのかもしれない。
ただハニカムコアは2枚の板を連結しつつ、板の補強ができるというメリットがあり、プラスアルファで遮音性が高めることができるというメリットがある。
板の鳴きなどを抑えることもでき、遮音性が高いと言っても、反射の際にハニカムコアの摩擦熱に置換され吸音される分もそれなりにありそうだと考えると、上手く使えば音響建築でも使いどころがありそうにも思えてくる。