五箇山といえば世界文化遺産に登録された合掌造りの山里です。
ひと山隔てて白川郷がありますが白川郷荻町は岐阜県側、
五箇山の菅沼や相倉集落は富山県側になります。
エコツーリズムのセミナーは合掌造りの民家「竹中家」が会場でした。
さすが五箇山です。
すべて天然素材で作られ自然と同化しているような人の住む家。自給を基軸にした生業の濃さ。
合掌造りの里は見渡す限り観光コンテンツの塊です。さすが世界遺産。
国際的なミシュランガイドにもしっかりと載っています。
ここならなんでもうまくいくんじゃない?とうらやましくなってしまいます。
・・・ところが。
「観光客の事前期待が高いことは、期待に応えるハードルが高いというデメリットでもある。
本当に地域を大切にしているか。それが真剣に問われる。
地域の利潤を増やすことを第一優先で考えているか。
その意識共有ができているか。市場の評価に対する危機感を持っているか。
20年後・30年後のこの地を、皆さん、どうしたいか描けてますか?」
講師・山田桂一郎さんの問いかけに会場が静まります。
かつて高く評価された「結」に基づいた村落共同体は高齢化や後継者不足が深刻で
世界遺産といえども世の大きな流れの例外ではありません。
観光に対するスタンスも観光業者・組合員・住民によって違いがあり、年代や立場によっても
大きな隔たりが見受けられます。実際に今、人がどんどん来ている地域でステークホルダーが
まとまることはむずかしいのです。
個別の問題の現れ方は千差万別でそれぞれ違いながらも、同じようなテーマ性がみられます。
だからこそ、リピーターを生み出す「らしさ・ならでは」の観光によって地域を活性化するモデルが
有効なのです。
例えば能登半島まで来る首都圏の人の大半は富山県を通過しながらその魅力を感じるはずです。
逆に富山県へ来た人がその先にある能登半島の魅力を知ることもできるはずです。
ヨソモノ目線では北陸全体がひとつのまとまった文化圏であり自然環境圏なのです。
北陸の本質的な価値を提供する体験プログラム・お宿・お食事・物産が点々と輝けば
旅人は自ら選択的にその点を結び線をつなげながら全域を巡ります。
それがこの地の本質に触れる旅となれば、再訪を心に誓うことになるでしょう。
前回の氷見と合わせて富山県の観光関連の方々とつながりができたのはよかったです。