「竹取物語」の第三の目的=ゴールは森づくりです。
どういうことかというと・・・。
まずネマガリタケを刈ることは、実は自然の摂理に適っているのです。
タケやササは地下茎でつながって増殖(栄養繁殖)しますが不思議なことに
60~70年に一度、一斉開花してから枯れ果てます。
その後タケやササが回復するまでの数年間は苗木にとって千載一遇のチャンス。
この時にうまく育てばササを越えて大木となることができます。
私たちはこの「ギャップ」と呼ばれる樹木の更新を人為的に起こして森の成長を促します。
つまり「次世代の森」のはじまりに立ち会っているのです。
次世代の森はどうあるべきでしょうか。
竹取物語の舞台・鉢伏山の頂上付近はミズナラなどの明るい雑木林です。
薪や炭を産する森でも今はニーズが無く、放置されたら元に戻ってしまいます。
針葉樹の植樹もよく行われていますが森が単調になるだけでなく人の管理が不可欠です。
実際は放置林となって荒れているのが現実です。
一番よいのは自然の摂理に合わせて鉢伏山を本来の姿であるブナ林に戻すこと。
しかし鉢伏山の頂上エリアにはほとんどブナは残っていません。
そこで鉢伏山山域に残されたブナ林(白滝自然林)から種を拾って蒔いたり
稚樹を移植したりして少しずつブナを増やすことを来春から始めたいと思います。
ちょうど佐渡の朱鷺のように。
人の手で自然本来の姿に戻す森づくり。
それは環境の世紀となる百年後に向けた私たちのメッセージとなるでしょう。